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ブロードバンドの利用状況と有料映像配信ビジネス

富士通総研 田中秀樹

2001年はブロードバンド元年と言われた。ADSLサービスの「ヤフーBB」を契機としたプロバイダー各社の料金値下げ競争で、ブローバンド利用者が急増したからだ。ブロードバンドの一般化を見越して有料映像配信ビジネスが動き始めたが、ユーザーの利用はなかなか盛り上がりを見せない。

ADSLの普及でブロードバンド比率は20%に

ブロードバンドとは、映像や音楽などの大容量コンテンツを快適に送受信できる、高速アクセスが可能なインターネット接続環境のことをいう。「高速」に明確な定義はないが、一般にはアクセス速度が64kbpsのISDNより遥かに速い、Mbpsクラスが想定されている。

家庭の回線をブロードバンド化する接続技術は、(1)電話回線を使うxDSL、 (2)ケーブルテレビの回線を使うCATVインターネット、 (3)光ファイバーのFTTH(Fiber To The Home)、 (4)無線のFWA(Fixed Wireless Access)  の4つに分けられる。

このうち2001年初頭まではCATVインターネットの普及が先行していたが、昨年9月の「ヤフーBB」登場をきっかけとした低価格競争によりDSLの加入者が急増した。総務省の調査によると、昨年9月末は65万だったDSLサービス加入回線数は、毎月約30万回線のペースで増え続け、今年の3月末には238万回線に達した。2月末のCATVインターネット回線数は140万であり、既にDSLが追い抜いたことになる。

DSLとCATVインターネット累積加入回線の推移

一つの回線を家族で利用することもあるので、実際のブロードバンド利用者数は加入回線数より多くなる。ビデオリサーチネットコムは、2月時点のブロードバンドユーザー数は590万人で、ネットユーザーの約20%に達すると推計している。

有料映像配信ビジネスが期待されるが

ブロードバンドユーザーの増加に伴い、動画や音楽などを配信し、直接ユーザーから料金を徴収する、有料映像コンテンツ配信ビジネスが注目されている。

ソニー・ミュージックエンタテインメントは、音楽ビデオクリップやアニメーションをストリーミング(逐次再生)形式で有料配信する、ブロードバンド専用サイト「MORRICH」を2001年6月に立ち上げた。

また、スカイパーフェクト・コミュニケーションズは、CS放送で放映されたスポーツやエンタテインメントなど500種類以上のコンテンツが月額100~2000円で楽しめる「SKY PerfectBB」の有料トライアルサービスを今年の2月から開始している。スムーズな映像配信を実現するため、特定プロバイダーに専用配信サーバーを設置し、その加入者だけが利用できるようにしたサービスだ。

しかし、このようなブロードバンド専用コンテンツの利用はまだまだ少ないようだ。

Web視聴動向を調査するネットレイティングスによると、ブロードバンドユーザーの訪問率が高いWebサイトのトップ25ランキングでは、自分が使っているADSLサービスの実際のアクセス速度を計測するサービスのサイトがトップ3を占め、それ以外はプロバイダーやアダルトのサイトだという。

現時点では常時接続を生かした利用が多い

その他にブロードバンドユーザーの利用が多いのは、映像を無料でストリーミングするサイトやソフトウェアのダウンロードサイトの他、ネットオークションや掲示板など更新頻度やページ数が多い文字情報中心のサイトだ。

ブロードバンドには、高速で大容量のアクセスが可能という以外にも、通信費用を含めたアクセスコストが安価で定額という常時接続の特徴もある。このため、ブロードバンドユーザーは料金や時間を気にせずインターネットにアクセスでき、ネットオークションや掲示板を好きなだけ見ていられるようになった。

実際、ネットレイティングスのデータでは、128kbps未満のナローバンドユーザーの月間平均インターネット利用時間が7時間24分に対し、ブロードバンドユーザーは17時間45分にのぼり、利用頻度も約2倍になっている。そのアクセス方法も、ビデオリサーチネットコムによると、テレビを見ながら利用する人が45%、雑誌を見ながら利用する人が23%、と「ながら視聴」が多く、ブロードバンド専用の大容量コンテンツを楽しむというより、今のところナローバンドでもアクセスできる文字や画像のコンテンツを楽しんでいるユーザーの姿が伺える。

ひとりあたり月刊平均時間・利用頻度

現時点の映像コンテンツは、画面サイズや品質の面でテレビに劣り、わざわざお金を払ってまで見たいと思うようなコンテンツも少ない。多くのユーザーがブロードバンド専用の映像コンテンツを有料で楽しむようになるには、しばらく時間がかかりそうだ。

この文章は、2002年4月16日付けの電気新聞「IT時代を読む」掲載原稿を一部加筆したものです。


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