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米国デジタル音楽配信に急展開 大手のサブスクリプション・サービスが今夏一斉スタート

大手レコード会社5社がAOLタイムワーナーとリアルネットワークス、ヤフーを交えて二手に分かれ、それぞれに新しい音楽サブスクリプション・サービスの計画を発表した。長らく訴訟問題ばかりがクローズアップされてきたデジタル音楽配信の分野で、4月第1週を境に、さまざまな変化が顕在化しはじめている。
(富士通総研 倉持真理 2001年4月25日)

AOL/リアル/EMI/ベルテルスマンの「ミュージックネット」

4月2日、EMIグループとベルテルスマン(レコード会社BMGの親会社)、AOLタイムワーナー、リアルネットワークスの4社が、インターネットを通じた音楽サブスクリプション・サービスのプラットフォームを開発する計画を発表した。プラットフォームは「ミュージックネット」と名付けられ、4社が出資するジョイントベンチャーとして運営される。

サブスクリプションとは、1日いくら、1カ月いくらのように、一定期間の利用に対して金額を設定するコンテンツの課金方式だ。デジタル音楽の場合、ジャンルやテーマ、アーティスト別などに分けた曲のプールのなかから、料金を支払うと一定期間、好きなだけダウンロードできる形態を指す。すでにMP3.com、Eミュージック・コムなどネットベンチャーの音楽サイトが、この形態のサービスを実現している。

ミュージックネットは出資企業3社のレコード会社(EMI、BMG、ワーナー・ミュージック)の曲の販売ライセンスを取得し、音楽サブスクリプション・サービスのプラットフォームを開発、それを音楽ECサイトなどに提供する。音楽ECサイトはプラットフォームを利用し、EMI、BMG、ワーナーの曲を組み合わせたオリジナルのサブスクリプション・サービスを消費者に販売できる。まず最初に、AOLとリアルネットワークスが消費者向けサービスに乗り出す計画だ。

ミュージックネットは非独占契約で曲のライセンスを取得し、いずれ3社以外のレコード会社の曲のライセンスも取得していく方針だ。ミュージックネットのプラットフォームを採用した音楽サブスクリプション・サービスは、今年夏から秋にスタートすると予想される。

ソニー/ユニバーサルの「デュエット」がヤフーと提携

ミュージックネットの発表から2日後、ソニー・ミュージック・エンタテインメントとユニバーサル・ミュージック・グループが昨年設立したジョイントベンチャーの「デュエット」も、この夏からヤフーを通じて音楽サブスクリプション・サービスを開始することを発表した。

デュエットのビジネスモデルもミュージックネットと同様、曲の非独占ライセンスを取得し、契約したポータルや音楽ECサイトを通じて、消費者に音楽サブスクリプション・サービスを販売するというものだ。スタート当初は、ソニーとユニバーサルの曲をストリーミングで提供し、その後、曲のダウンロード機能を追加する。また、曲を再生する順番を設定できるプレイリストや、リストをほかのユーザーと共有する機能なども合わせて提供するという。

ヤフーは「ヤフー・ミュージック」などを通じてデュエットのサブスクリプション・サービスを販売し、その収入の一定比率をシェアすることになる。

大手レコード会社+ポータル中心へ

ミュージックネットとデュエットによる今回の発表は、権利を守ることばかりに目を向けていた大手レコード会社が、やっとデジタル音楽配信に本格的に取り組む姿勢になってきたことを示している。AOLやヤフーなどの大手ポータルは、デジタル音楽配信をできるだけ多くの消費者に販売し、本格的なビジネスとして立ち上げるために不可欠な存在だ。これにより、これまでMP3.com、Eミュージック・コム、ナプスターなどのネットベンチャーが担ってきたデジタル音楽配信は、大手レコード会社とポータルを中心に動きはじめることになる。

この流れを裏付けるように、翌週の4月9日には、ユニバーサルがEミュージック・コムを約2500万ドルで買収する計画を発表した。また、大手レコード会社5社から著作権侵害で訴えられているナプスターは3月以降、裁判所の命令に従い、著作権付きの曲の交換を遮断する機能を導入したが、各方面から機能の不備を指摘され、このままでは存続が危うい状況となっている。

しかし、ミュージックネットとデュエットのサービス開始をきっかけに、この夏からすぐにも大手レコード会社主導のデジタル音楽配信が軌道に乗るかといえば、そうとも考えにくい。課題の一つは、大手レコード会社が二つの別のプラットフォームで曲を販売しようとしていることだ。これは消費者にとってのサービスの魅力や使い勝手の面で、あまり好ましくない。ミュージックネットとデュエットは、いずれも出資レコード会社以外の曲のライセンス取得を進める方針を表明しているが、どこまで実現するかは不透明だ。

さらに、根本的な問題として、消費者が本当に有料のサブスクリプション・サービスを利用するかということがある。レコード会社のライセンス料設定が、サブスクリプション・サービスの最終価格にも影響する。デジタル音楽配信を本格化させるために検討すべき課題は多い。

MTV/リオポートも曲のダウンロード販売に挑戦

なお、4月第1週には、ミュージックネットとデュエット以外にも、デジタル音楽配信に関する発表があった。MTVのインターネット部門であるMTViグループがリオポートと提携し、デジタル音楽のダウンロード販売を今月から開始するというものだ。MTViはリオポートのプラットフォームを採用し、新たにオープンした「ラジオMTV.com」と「VH1アットワーク・ラジオ」のサイトを通じて、インターネットラジオのサービスとともに、曲のダウンロード販売を実施する。MTViは5大レコード会社のライセンスを取得しており、シングルは1曲99セントから2.45ドル、アルバムは9.99ドルから17.99ドルで販売する。

既存のMP3.comやEミュージック・コムなどのダウンロード販売は、インディーズ・レーベルの曲が中心だったため、ダウンロード販売収入は規模的に小さかった。MTViが大手レコード会社のメジャー・アーティストの曲を販売することで、状況がどのように変わるのかも興味深い。

米国のインターネット音楽販売市場(単位:百万ドル)
1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
インターネット音楽市場 387 836 1469 2259 3181 4219 5364
(全音楽市場における比率) 2.7% 5.5% 9.1% 13.3% 17.4% 21.3% 24.6%
米国のインターネット音楽販売市場(内訳)


出典:Jupiter Media Metrix


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