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茨の道を行くアマゾン・コム。収益確保の決め手を模索

アマゾン・コムが、収益確保のための新たな方策を次々と打ち出している。米国経済の減速などにより、急激な成 長鈍化に見舞われる同社は、2001年の売上げ予測を下方修正する一方で、第4四半期の黒字転換を公に宣言した。しか し、コストを切り詰め、利益を捻出し、なおかつ世間が納得する売上げ成長率を達成するのは至難の技だ。厳しい状況 に追い込まれたアマゾン・コムの動向をレポートする。
(富士通総研 倉持真理 2001年2月21日)

アマゾン・オナー・システム

2月6日にスタートした「アマゾン・オナー・システム」は、既存の「1クリック」という支払いの仕組みを利用した 中小コンテンツ・サイト向けの課金サービスだ。

優良なコンテンツを持つ中小サイトは、運営資金の確保に苦労している。主な収入手段は広告だが、それも昨今のイン ターネット広告の不振で覚束ない。質の高いコンテンツを見るためなら、少しくらい払ってもよいと考えるファンがい ても、これまで適当な支払い手段がなかった。オナー・システムはこの状況に目を付け、中小サイトが小額でコンテン ツを販売したり、ファンから寄付を受け取れる仕組みを提供する。

中小サイトは、アマゾンのサイトで15分程度の手続きと設定を済ませるだけで、このシステムを利用できるようになる 。導入費用は無料。コンテンツのダウンロードを有料化したり、運営資金の寄付を募るといった利用の仕方が可能で、 1ドルからの小額課金に対応する。

アマゾンの「1クリック」は、ユーザーが名前やクレジットカード番号を登録すれば、次回からの買い物では、クリッ ク1回で支払い手続きが済む仕組みだ。アマゾンの既存顧客(2001年2月時点で3000万人)がオナー・システムを採用し た中小サイトに寄付する場合、何の手続きも必要なくクリック1回で支払える。すでに50を越える中小サイトが、この システムの採用を決定した。

アマゾンは、このシステムを通じた課金1件につき15セントと、ユーザーの支払い額の15%を手数料として受け取る。既 存の仕組みを利用するため、開発、運営コストはほとんどかからない。ただし、このシステムでアマゾンが期待する収 入があがるかどうかは、好きなサイトに寄付したり、有料コンテンツを利用するユーザーがどれだけいるかにかかって いる。

書籍プロモーションの有料化

アマゾンはまた、顧客向け書籍紹介eメールで取り上げる書籍について、出版社から1冊5000−1万ドルのプロモーシ ョン料の徴収を開始する。同社は従来、サイト上の目立つ場所での書籍の宣伝に料金を徴収していたが、これをeメー ルにも拡大するものだ。eメールでの紹介は、サイト宣伝と組み合わせて行うことが求められ、出版社は両方で1回あた り7000−2万2000ドルを支払うことになる。

これまでeメールで紹介する書籍は、アマゾンのエディターの判断で選ばれ、出版社に料金はかからなかった。料金徴 収開始後は、出版社がプロモーション料を支払い、なおかつエディターが適当と判断した書籍をeメールで紹介する。1 通のeメールのなかには、プロモーション料の支払われていないエディターの推薦書籍も含まれる。

書籍紹介eメールは、ユーザーが好きな作家やジャンルを選んで登録するオプトイン方式で、嗜好に合った情報がユー ザーの手元に送られるため、高いプロモーション効果が期待できる。しかし、出版社からは、eメールとサイト宣伝の 組合せ料金が高過ぎるという声もあがっているようだ。

苦境に立つアマゾン

二つの手段に共通するのは、いずれも新たな投資を必要とせず、大した運営コストの増加もなく、既存資産を収益 に変えられるということだ。最近実施されたオークション出品料の実質値上げ*1も、同じ条件に 該当する。アマゾンがこうした手段を選ぶのは、同社が相当厳しい状況に追い込まれているからだ。

アマゾンは最近、2001年の収入見込みを前年比20−30%増の33億−36億ドルと発表した。これは以前の予測の40億ドルを 下方修正した数値であり、成長率も99年から2000年の間の68%と比べてかなり低いレベルにとどまる。

無論、ECの立ち上がりの急成長期が終わったことや、マルチチャネル小売業との競争激化、さらに米国の景気減速の影 響などを考慮すれば、20−30%増の予測でも十分アグレッシブといってよい。しかし、同社の場合、比較対象となるこれ までの成長率があまりに高かったために、世間にことさら急ブレーキと受け止められる難がある。

しかも同社は、収入予測の下方修正によるネガティブな印象を打ち消すためか、同時に2001年第4四半期(10−12月)の 黒字転換を宣言した。取扱い商品の拡大や、マーケティング投資の強化による収入増加は容易だが、投資効果をあげ、 赤字を減らしながら収入を増やすのは、並大抵のことではない。

同社は目標実現に向けてのコスト削減策として、ジョージア州の物流センターとシアトルの顧客サービス・センターを 閉鎖し、シアトルの物流センターも繁忙期のみ運営することを決定。これに伴い、合わせて全従業員の15%にあたる 1300人を解雇する。また、不採算品目を排除し、採算の取れる書籍販売に力を注ぐ方針という。

アマゾン・オナー・システムと出版社からのプロモーション料金徴収は、このような状況から生まれた収入手段だった 。しかし、当然これだけでは成長率前年比20−30%の決め手にならない。この難局を乗りきるためには、知力の限りを尽 くすことが求められる。

*1 本紙2001年2月7日号(Vol.7, No.140) 9頁参照

業績推移
前年同期比

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