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インターネット通販の現状と成功法則


インターネット通販の事例

リンク機能で集客を図る(アマゾン・コム)



集客のために、Yahoo等のサーチエンジンやリンク集にショップを掲載することは基本的な方法です。またバナー広告を出稿することも一般的な方法です。しかし、サーチエンジンだけでは集客に限界がありますし、広告は大きなコストがかかります。少ないコストでより多くの集客を行うためにはどうしたらよいのでしょうか?
インターネット上で仮想の書店を開いているアマゾンコムは、他のサイトに宣伝してもらう、という方法を取っています。例えば、車のサイトに「新車を解説した本」の紹介を掲載してもらい、そのサイトからアマゾンコムにリンクを張ります。車のサイトですから訪れた人は車関連の本に興味を持つ可能性は高いでしょう。興味を持った人は直接このページで本の注文ができます。車のサイトから見ると、サイトに来る人の役に立つ情報が掲載できると同時に、このサイトから本を注文した人がいた場合にはアマゾンコムから顧客紹介料がもらえる、という利点もあります。
アマゾンコムは約9,000サイトの加盟サイトを集めており、消費者の関心の発生時点をうまくとらえ、少ないコストで集客している一例です。

顧客の個別ニーズに合った商品が買える(デル)



数あるショップの中で、顧客に店を選んでもらうためには何が必要でしょうか?まず、ひとつに販売する商品に特徴があることが挙げられます。例えば、「なんといっても価格が安い!」、「なかなか手に入らない」、または「個々のニーズに応じてカスタマイズしてくれる」など。また、インターネットユーザーに偏りが見られる現在は、そのニーズを考慮した商品展開が必要だといえます。
コンピュータの直販メーカー、デル・コンピュータは、受注生産方式によるPCのカスタム・オーダー販売を96年半ばにWWWで始めました。これが一日あたり100万ドルの売上を記録する大盛況を呼んでいます。その成功の秘訣はいったいどこにあるのでしょうか?
まずデルの場合、販売する商品がインターネットユーザーのニーズに非常に合致していたといえます。デルの主な顧客は、法人ユーザーやSOHO、スキルの高いベテラン・ユーザーなど、パソコンを使って何をしたいのかという明確な利用目的をもっている人達です。つまり、こういった人達はインターネットユーザーに顕著に見られる人達なのです。こういう顧客にとって、個々のニーズや目的に応じて、画面上で必要なメモリやディスク、モニターなどを自在に組み合わせて購入できるデルの仕組みが、非常に便利なものとして受け入れられているようです。また、ネットを通じて24時間以内に価格や納期を確認できたり、法人顧客に対しては、エクストラネットを通してオンラインサポートが受けられるところは、実際の小売店よりもはるかに利便性に優れていますといえます。
また、デル自身はもともと、流通・在庫コストを最小限におさえるメーカー直販ですから、通常コスト負荷がかかるカスタマイズ商品でも一般小売商品より低価格で提供できる、というメリットが大きな武器となっています。コンピュータ販売業界では、メーカー直販によるインターネット通販がさらに急成長すると思われます。

他では買えないものがある(シチズン)



他で買えないオリジナリティにあふれる商品を販売するのも、ショップを選んでもらう一つの方法です。シチズンが始めた「時計工房CREATION」では、顧客自らデザインした“私だけのオリジナル時計"を1個から受注生産し、販売するサービスを行っています。96年10月のサービス開始依頼12,000件の申込みがあったそうです。実際に時計が届くまでのワクワクするような楽しさが魅力の商品です。絶対市販されていないからこそ、顧客はインターネットのショップにわざわざ足を運ぶのです。しかし、企業として利益を上げるためには、いかにしてマス・カスタマイゼーションのコストを押さえるかが今後の課題となるかもしれません。インターネットや情報技術をいかに活用するか、が鍵となるのではないでしょうか。

品揃えと検索性に優れた(CDショップ)

商品自体が他店と差別化できない場合、何で差別化すればいいのでしょうか?簡単に注文できる店舗であること、つまり、検索機能、サポート機能などの利便性が重要となってきます。
インターネットで音楽CDを販売するCDナウは、約25万件の音楽CD、ビデオを取り扱う巨大なバーチャル・ショップです。CDはどこの店でも同じ商品ですし、新譜の場合は実際の店の方が安かったりします。では何故CDナウが利用されるのでしょうか?
CDナウは実際の店ではあり得ない約25万件の品揃えを誇っています。ちなみに、実際の大型店でも十数万点の陳列、ということからCDナウの規模を分かって頂けると思います。では、ここから自分の欲しい商品をどうやって探すのでしょうか?豊富な品揃えの中から高速の検索エンジンで簡単にCDを探せることが、CDナウの特徴であり、最大の魅力なのです。アーティスト名や曲名、アルバム名、ジャンル等わかる範囲のキーワードを入力しさえすれば、時間のない人でも簡単にCDを買えます。また、欲しいものが曖昧な顧客にも「欲しいものを見つける」ためのツールが用意されています。例えば、最新のヒットチャートやジャンル別バイヤーズ・ガイド等です。事前に本や雑誌で下調べしなくても、これらを自由に参照しているうちに、顧客は購買意欲を高めるのです。
検索性に代表されるショップの各種機能は、ショップに来店した顧客に対し、いかにストレスを感じさせずに効率よく買い物をしてもらうことができるか、ということにつながります。そういう意味では、現実の店舗における店員の接客に置き換えられるのかもしれません。CDナウは、接客上手な専門店といったところでしょうか。

商品特性,品揃え(ITN)



インターネットの旅行予約サイト、インターネット・トラベル・ネットワーク(ITN)もまた、検索の利便性を売りにするショップのひとつです。旅行という商品自体、出張の多いビジネスマン向けの商品といえますが、それだけでなく、実際の店舗以上の利便性が受けているようです。例えば、このような予約サイトの利用が増えるのは、年末年始などの繁昌期です。旅行代理店自体忙しく顧客対応がずさんになりがちな時ほど、インターネットの予約機能に注目が集まっているようです。最近では、航空会社のスト時にインターネットに予約変更を求める顧客が集中した、という出来事もありました。
ITNは1万社と提携しているため、目的地と日程を入力すれば条件に合う航空券からホテル、レンタカーまで簡単にリストアップし、予約することができます。わざわざ代理店に出向かなくても済むこと、24時間予約可能なことなどインターネット自身の特性はさることながら、他にも高性能な機能が備わっているのが特徴になっています。まず、米国の4大CRS、航空券予約・発券システムにダイレクトに接続しており、同時アクセスが可能だということ。これはマルチCRS機能と呼ばれていて、航空会社を問わず最も安い航空券を顧客自ら検索し予約することができます。また、希望するフライトやホテルに空きが出たときや航空券がディスカウントになった時などに随時電子メールで知らせてくれる別対応サービスもあります。ITNでは、個々の顧客の予約履歴を蓄積しており、同じ場所へ何度も出張する顧客などは、過去の予約アカウントを再利用して新たに予約することもできるそうです。法人顧客向けには、社員がエクストラネットを通じて出張規約に沿った予約ができるカスタマイズ・バージョンも用意されています。既に数十社が採用しているそうです。
インターネット旅行予約に関しては既に競争が始まっており、利便性が向上することで、ますます利用者が増えていくと予想されます。


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