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電子メール・マーケティングの実践


3.電子メール・マーケティングで効果を出すために

電子メール・マーケティングで効果を出すために、どのようなことに注意していけばよいのか、成功させるためのポイントについて説明したいと思います。

成功企業に見るEメール・マーケティングへの取り組み

図19



前章では、電子メール・マーケティングの具体的な展開例をみてきましたが、アマゾンコムやCDナウといった成功したオンラインショップは、必ずといっていいほど電子メールを非常にうまくマーケティング活用しています。そこで、こういった企業が1企業として、どのような戦略をもって電子メール・マーケティングに取り組んでいるのか、インターネットの花屋で知られる1-800フラワーズを参考に考えてみましょう。

1-800フラワーズは、92年よりスタートした老舗のオンラインショップを展開する企業です。現在、全売上の約10%がオンラインによる売上で、その割合は日に日に上昇しています。同社では、このショップのマーケティング戦略として、高トラフィック・サイト(アメリカ・オンラインなど)のトップホームページ上に「ポップアップ広告」を出すことで集客アップを図ったりもしていますが、ベースでは電子メール・マーケティング中心の拡販を継続して行っています。

例えば、同社の有名なサービス「ギフト・リマインダー」。このサービスでは、顧客に家族や友人の誕生日など個人的な記念日を登録してもらい、その日が近づくと自動的に「○○様のお父さまのお誕生日が近づいてまいりました。」という内容のお知らせメールを送るというもので、内容はあくまでも案内で積極的な売り込みは避けているにもかかわらず、このお知らせだけで購買率が3倍もアップするといっています。

この他にも集客やブランドロイヤリティ向上のために、同社では、メールを使って様々な工夫を行っています。オンラインショップではほぼ常識になりつつある注文確認のメールを送るついでに簡単な広告メッセージを入れたり、一度買ってくれた顧客には、Eメールで月刊のニュースレターを送って定期的に新鮮な情報を提供するなど。メールによる問合せには12時間以内に返答することも保証しています。さらに、電話注文の顧客に対しては必ずEメールアドレスを聞き、後日EメールDMを送信するといった徹底ぶりで、これによるレスポンス率は約20%にも昇るそうです。Eメールを個々の顧客との接点として非常に重要視し、積極的に活用しているのが明らかにわかります。そして、こういった地道なEメール・マーケティングの継続が、直接的に売上につながっているのです。

同社では、Eメール・マーケティングについて、低コストでレスポンスが高く、テストが簡単にできると評価しており、その効果を確信しています。しかし、決して短期的な効果を求めるのではなく、継続してじっくり取り組むことで自社商品またはサービスに対するファンを育て、企業の販売活動に大きな活力を生んでいるのです。


効果を上げるために

図20



以上これまでのいくつかの実践例を見てきましたが、電子メール・マーケティングで効果を上げるためには、どのようなことがポイントになってくるのか、2つのポイントを挙げてみました。

まず1つは、電子DMにしろ、Eメールを使った顧客サービスにしろ、魅力ある内容(コンテンツ) です。電子メールが直接消費者のもとへダイレクトに届けられたとしても、中身が面白かったり、役に立ったり、消費者にとって何かメリットのあるものでなければ、見てもらえる確率も低くなります。つまり、消費者自身に欲しいと思わせることが重要という訳です。飽きさせないためには、消費者に予めプロフィールや関心事を登録してもらったり、情報ジャンルを選択してもらうなど、発信するコンテンツや広告メッセージを個別化する工夫や、ユーザーをセグメント化し、ターゲットを絞って発信するといった手法も必要になってきます。

2つめは、「継続は力なり」です。電子メール・マーケティングは短期的というよりも、じわじわと効果を発揮するものです。電子メールによる1回のコミュニケーションを大切にし、継続してアプローチやフォローを行うことで、1-800フラワーズやアマゾンコムのように、ファンを増やすことができるのです。そのためには、少し大げさかもしれませんが、企業が長期的視点に立つこと、そして、継続していくための体制(システム)が必要になってくると思われます。


電子メール・マーケティングの課題

図21



最後に、電子メールを発信する企業として、避けては通れない問題点を挙げておきたいと思います。

最近、「スパム」や「ジャンクメール」という言葉をよく耳にしますが、これらは、ユーザーのEメールアドレスを無断で入手し、頼みもしない電子DMを消費者に送りつけることです。また、メールを使ったねずみ講など詐欺行為も実際に起こっているといわれています。念ながら、インターネットにはこういったことを専門とする悪徳業者が存在しており、これらの業者が、消費者の電子メール・マーケティングに対するマイナス・イメージを植えつけているのです。

では、真面目に電子メール・マーケティングに取り組もうとする企業は、どのような方針をもつべきなのでしょうか?

ダイレクト・マーケティングの専門用語として使われる「オプト・イン」「オプト・アウト」という考え方をがあります。オプト・インは、日本語でいうと「受け入れ許可制」。この考え方で電子DMを送ると、消費者が受け取りを承諾した時に限り、DMが送らます。一方、オプト・アウトは、消費者がNoと言わない限り、DMを送り続けることを意味します。どちらが、消費者にとって安心でしょうか?

もちろん、電子メール・マーケティングを実施する企業は、消費者の意志を尊重するオプト・インのポリシーをもつべきだといえます。また、入手した個人情報に関しては、取扱い範囲を明示することも重要です。

ユーザーのニーズに合う電子DMは、企業、ユーザー双方にメリットをもたらす便利なものです。企業は、顧客情報管理に対する基本ポリシーをもち、それを消費者にアピールしていくことが、これから電子メール・マーケティングさらにはサーバビジネスを行っていくにあたって非常に重要になってきます。
「インターネット広告関連情報」に掲載しています。


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