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電子メール・マーケティングの実践


1.電子メールとメディア価値

図1



米国のコンピューター産業年鑑が発表しているデータによると、現在、世界の電子メール人口は約6,000万人にのぼり、2000年には約8倍の4億5000万人にまで成長すると予想しています。
特に、インターネットの普及が最も進んでいる米国においては、97年現在、人口の約15%に相当する約3,000万人が電子メールを利用。この数は、2001年には、1億3,500万人(人口の50%に相当)にまで膨れ上がるそうです。

利用ユーザーの多くは、電子メールをコミュニケーション手段としてごく日常的に活用しはじめており、世界的な現象として、電子メールが非常に速いスピートで消費者の生活に浸透しつつあるということができます。

電子メール利用のトレンド

図2



一方、日本における電子メール市場については、残念ながら現状では正確な統計データは存在しません。しかし、各種調査機関が行っているインターネット調査などで、電子メールに関するトレンドを概観することはできます。そこで、最近、電子メール市場でどのようなことが起こっているのか、簡単にまとめてみました。

まず、最も注目すべき点として、インターネットユーザーの間でWWWよりも電子メール利用に重きを置く傾向が見受けられるようになっています。例えば、98年1月に発表された野村総研と東京大学のインターネットユーザー調査、3月に発表された日経マーケットアクセスの調査では、WWWブームが踊り場に差しかかったと指摘する一方で、電子メールの利用頻度がしだいに高まっていることをデータで明らかにしています(次ページ参照)。つまり、電子メールは、「飽きる」どころか、生活に必要なツールとして着実に根づきつつあるのです。

このように電子メール利用が活発化している背景には、コミュニケーションツールとして、情報収集ツールとして、Eメールの用途・活用領域が多様化しているということがいえます。特に最近、ユーザーは仕事用/プライベート用といった具合に、複数のメールアドレスを持ち、用途によって使い分ける人が増えてきました。また、Eメール新聞やEメールマガジン等の電子メール配信サービスの利用者も飛躍的に伸びています。

世界の動きと同様、日本国内においても電子メールが重要な役割を果たすツールとして再認識されつつあるといえます。

図3



さて、ユーザーの電子メール利用が高まっていることについてはおわかりいただけたと思いますが、では電子メールはいったいどのような特徴をもつツールなのでしょうか?
メディアという観点から大きく3つに整理してみました。

まずひとつめの特徴として、「個人にダイレクトに届く」という点です。電子メールでは、特定の相手に直接、瞬時にしてメッセージを伝えることができます。

第2に「双方向のコミュニケーション・ツール」であるという点。レスポンス手段をもっていて、双方向にやりとりができます。

最後に時間的フレキシビリティという性質です。電子メールでは、発信側はいつでも送信することができるとともに、受け取った相手も都合の良いときに見ることができます。それぞれ自分の時間を邪魔されずに、コミュニケーションをとることができるという融通性が、利用者にとって非常に使い勝手のよいものとなっています。

メディアとしての電子メール

図04



それでは、「個人に届く」「双方向」「時間的融通性」という3つの特徴を持つ電子メールをメディアとして活用した場合、どのような利点があるのでしょうか? 既存のメディアと比較してみました。

テレビ vs 電子メール
テレビと比較した場合、テレビは一度に大勢の人に認知してもらうことができますが、伝えたい相手に伝わらない可能性も高く、一方通行でしかありません。それに対し、電子メールは伝えたい個人に情報を確実に伝え、レスポンスを得ることができます。

郵便、電話 vs 電子メール
一方、郵便や電話と比較してみるとどうでしょうか?郵便の場合、相手に情報を伝え、返事をもらうまでにタイムラグがありますし、電話では、突然相手に割り込むため、不快感を与えることも考えられます。その点、電子メールは、一瞬のうちに情報を送ることができるだけでなく、受け取った相手も時間の都合の良い時にアクセスできるという点は大きなメリットとなります。

電子メール vs WWW・プッシュと比べると・・・
それでは、同じように双方向メディアといわれるWWWやプッシュ・メディアではどうでしょうか?WWWのコンテンツは、一般的に不特定多数のユーザー向けに予め用意されたもので、常に一方通行に送られるものです。さらに、ユーザーが訪れ、アクションを起こしてくれるまで待つしかなく、常に受け身の状態となってしまうのが最大の欠点といえます。一方、「プッシュ」は確かに、画像や音声などのマルチメディア情報を個人のPCへ自動配信できる点では、電子メールより優れているといえます。しかし、情報発信側の設備にコストがかかってしまうこと、また、ユーザー側がわざわざ専用のソフトを自らインストールしなくては受信できないことなどがネックとなり、現時点では時期尚早というのが大方の見方となっています。

このような状況を考えると、安価でシンプル、しかも誰もが利用できる電子メールは、パーソナル・マーケティングに最も適した媒体だといえます。現状では、テキスト情報のみで表現力に乏しいという欠点もありますが、これは裏をかえすと、非常に扱いやすいともいえるのです。

電子メールの集客力

図5



電子メールの利用度が増し、その有効性が認識されるにつれ、コンシューマビジネスにおいても電子メールをメディアとして活用しようという動きが盛んになっています。なかでも、電子メールの利点を活かした独特のビジネスとして、最近、急速に発展している広がっている「無料電子メール・サービス」を紹介しましょう。

無料電子メール・サービス
「仕事用とは別に、プライベート用のEメール・アドレスが欲しい」など複数の電子メールを使い分けたいと考えるユーザーのニーズに対応するビジネスで、ユーザーは、企業の広告を見るかわりに、無料でアドレスを発行してもらい、WWWを通じてEメールを利用できるというサービスです。

無料電子メール・サービスでは、WWW上にメールボックスがある関係上、消費者メンバーは、自分宛のEメールが届いてないか、チェックをしに繰り返しWWWに訪れるようになります。電子メールがユーザーを引きつける集客力を発揮するのです。広告メッセージやプロモーションは、ユーザーがメールを読んでいる間などに、加入時に登録した個人情報に基づきターゲットを絞って発信します。

特に、広告によるビジネスモデルが一般化としているインターネットでは、どれだけのユーザーを集めることができたか、が大きな意味をもってきます。従って、最近では、ヤフー!やエキサイト、ライコスなど米の主要なサーチエンジンやアメリカオンラインなどのサイトも、より集客力を高めるために、無料Eメール・サービスを自社のWWW上に付加する戦略をとっています。
このビジネスの発展を通じて、電子メールの集客力を改めて知ることができます。


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