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コラボレーティブ・コマース


コラボレーティブ・コマース~製造業におけるコラボレーション~




インターネットにおける企業間取引への期待は、昨年まで注目されていた売買のマッチングや受発注処理を中心としたものから、企業間のコラボレーションへと移っている。製造業では、設計・開発も含めたパートナー企業とのより緊密な連携を目指している。(富士通総研 下地健一 2001年11月)

コラボレーティブ・コマースとは

米国を中心として、インターネットを取引先企業との設計・開発,生産,調達,販売などさまざまな企業活動における連携を推進するために活用しようとする動きが活発になっている。これは、昨年多くのベンチャー企業が参入したeマーケットプレイスで行われていた、売買取引中心の電子商取引とは一線を画すものである。具体的な内容としては、例えば、在庫情報や生産計画、販売予測情報などを取引先企業と共有することで、生産や在庫の補充を効率化することや、高速ネットワークを用いて組立てメーカーと部品メーカーとの間で、設計データを交換し製品開発を協働して進めるといったことが挙げられる。このような企業間の協調による電子商取引の新しいモデルは、コラボレーティブ・コマースと呼ばれている。とくに、製造業に焦点を絞った場合、コラボレーションの分野は、製品の量産化段階における、調達・購買,製造,販売,物流などのサプライチェーンのコラボレーションと、製品の企画,設計・開発から量産化,仕様変更,保守などのエンジニアリングチェーンにおけるコラボレーションとに大別される。これらのうち、後者では設計・開発という従来あまり効率化の対象になってこなかった分野を対象としている点に新規性がある。

この分野の分野のコラボレーションに関心が持たれるようになってきた背景には、  (1) 製造業全体が単独の企業による設計・開発・生産から、グローバルな企業間の分業体制に移行しつつあること、  (2) 市場が顧客主導型に移行し、顧客の要求により迅速にカスタマイズを行う必要性が増していること、  (3) 製品ライフサイクルが短縮し、開発期間の長短が企業の収益に直接影響を与えるようになってきていること、  などが挙げられるだろう。

設計・開発を効率化

エンジニアリング分野におけるコラボレーションの内容をより具体的に説明すると、例えば、ビジュアル化された3次元CADのデータを共有し、そのデータをお互いに確認しながら電子会議で仕様変更について協議する、また、部品メーカーと相談しながら、最もコストを抑えられるように共同して製品を設計していく、などといったものである。もちろん、こうしたことは製品開発期間の短縮や製品コストの削減につながる。コラボレーションを実現する手段としては、パートナー企業どうしでコラボレーション・ソフトウェアを導入するか、あるいは、eマーケットプレイスが提供するコラボレーション機能を利用することになる。

ソフトウェア分野の参入企業としては、もともとCAD/CAMやPDM(製品データ管理),ワークフロー管理などの製造分野のソフトを提供してきたベンダーが中心である。彼らは、自らの製品をインターネットを介したコラボレーション製品に再構築している。また、最近この分野を有望と見たERPなど統合業務パッケージソフトのベンダーも参入してきている。

一方、eマーケットプレイスの方では、大企業が業界単位で共同して設立したものが、ソフトベンダーと組むことでそのようなコラボレーション機能を提供している。例えば、エレクトロニクス分野のイー・ツー・オープン・ドットコム(E2open.com)や自動車分野のコビシント(COVISINT)などは、設計・開発のコラボレーション・ソフトウェアを持つマトリクスワン(MatrixOne)社を技術パートナーとして取り込みこの分野のコラボレーション機能を強化している。また、ボーイングやロッキード・マーチンなどがメンバーとなっている航空宇宙分野のeマーケットプレイスであるエグゾスター(EXOSTAR)も、本分野の有力ソフトベンダーのPTC社と提携を行っている。

日本企業に迫られる対応

エンジニアリング分野のコラボレーション・ソフトの多くは米国企業が開発したものだ。これらのソフトベンダーの多くは日本に進出しており、日本企業の関心もかなり高い。実際、日本の製造業者は、品質面で改善の著しい中国や台湾との価格競争という問題を抱えており、このままでは日本に製造業はなくなるのではないかという危機意識が高い。自らは得意分野に特化し、社外の企業との連携を進めるというのがこれからの方向である。製造業が自らの強みを生かす道を模索する中で、多くの企業で社外とのコラボレーションの推進は避けて通れない道である。

(2001年11月13日 電気新聞掲載)

エンジニアリング・コラボレーションの機能階層

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