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中国が「登録資本金登記制度の改革方案に関する通知」を公布

発行日 2014年3月14日

上級研究員 趙 瑋琳

 

「登録資本金登記制度の改革方案に関する通知」が公布

  • 中国国務院(内閣)は2014年2月18日に「(企業)登録資本金登記制度の改革方案に関する通知」(以下「資本金登記制度」)を発表した。「資本金登記制度」の目的とは、主に企業の市場参入条件の緩和、ビジネス環境のさらなる整備、市場のさらなる発展の促進及び市場の監督管理の改革である。これらの目的を実現するために、四つの方面からなる措置が打ち出され、全国で実施する運びとなった。
  • 具体的な内容としては、まず、登録資本の全額払込登記制度を変更し、登録資本金の最低金額条件を緩和することである。特定業種以外の登録最低資本金について、有限責任会社3万元、個人経営有限責任会社10万元、株式会社500万元という制限が撤廃される。会社設立時の発起人の出資比率や資本金に占める発起人の出資する金融資産比率などの制限を設けないことにする。次に、企業の年度検査制度を改革し、年度報告公示制度に変更することである。変更後の年度報告公示制度は企業の経営活動以外の負担を低減しながら、企業の経営情報の公開を促す狙いがある。実施上においては、年度報告公示制度を企業に義務付けて、企業が政府の所管部門に年度報告書を提出すると同時に、市場信用情報公示システムを通じて一般に公開し、検索できるようにする。三つ目の内容は住所の登記手続の簡素化である。具体的な実施は各地方の規定にしたがうが、原則として、法に則って経営場所の合理的な使用証明を提供すれば、直ちに登記ができるようにする。これまで、起業時の障壁として経営場所の所有権あるいは使用権の提供がよく指摘されてきた。今回の改革によって起業のハードルを下げることにつながると期待されている。四つ目の内容は電子営業許可証の発行や電子登記管理を推し進めることである。これによって、会社設立時の手続きをさらに簡素化し、認証手続きの利便性の向上をも実現できる。
  • また、市場の監督管理の改革においては、市場信用情報公示制度の整備やブラックリスト(違法履歴のある企業リスト)の管理手法の導入などが挙げられており、起業時のハードルの低下とともに、設立後の監督管理をさらに強化する方針である。企業の経営情報の公開を促し、企業の経営活動に社会から広く監督を受けさせることが決められている。

政府機能の転換 and 市場体系の整備

  • 「資本金登記制度」の公布の背景には、習近平政権が積極的に推進している政府機能の転換がある。2013年3月の全国人民代表大会(国会に相当)において、「国務院機構改革と職能転換方案」が採択された。政府機能の転換の一環として、行政審査・認可制度の改革・簡素化であり、「工商登記制度」の改革が提起された。
  • 一方、2013年11月に閉幕した共産党第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)で採択された決定の全文には、市場機構の整備に関して、「近代的な市場機構の整備の加速」が盛り込まれている。「公平・公開・透明性のある市場機構を構築する」という項目のなかで、「工商登記制度の利便性の向上、資質認定項目の削減、「先証後照」から「先照後証」(注釈1) への移行及び登録資本の全額払込登記制度から登録資本の授権登記制度への変更」を明言している。すなわち、こうした改革によって事前の許可制に代わって、事後的な届出に移行していくものと思われる。
  • 「資本金登記制度」は政府の行政許認可制度改革の一環として市場機構の整備に合わせた形で進められる。まさに一石二鳥の改革である。その実施が公平な市場参入制度の構築及び市場体系の整備の重要な一歩である。これまで、企業にとって参入障壁が高く、行政による干渉が多い中国では、会社設立時の機会コストも非常にかかる状況であった。「資本金登記制度」の実施によって、起業時のハードルを下げられ、民間の活力がよりいっそう引き出されると望まれる。結果的により多くの民間資本が市場に参入し、新たな雇用創出につながる。一方、日本企業への影響を考えると、中国企業の起業時のハードルが低下し、競争相手が増えることになり、市場競争の激化やビジネス環境の悪化の可能性等を想定する必要があるだろう。関係部門は公平な市場環境の構築に努めながら、企業の健全な経営活動の実現に役割を果たして、関連制度の整備や監督管理の改革を確実に推し進めるべきである。

(注釈1): 証は行政許可証で、照は営業許可証である。「先証後照」とは、関係部門で行政許可証を得てから工商部門で営業許可証を取ることであり、「先照後証」とは、工商部門で営業許可証を取り、必要なら行政許可証を得ることである。