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中国における大学生の就職現状

発行日 2012年12月14日

上級研究員 趙 瑋琳

 

中国における大学生の就職事情

  • 寒さが増している中、日本では就職シーズンが始まった。先日発表された来春卒業予定の大学生の就職内定率は63.1%で(10月1日の時点)、2年連続で上昇したことが分かった。日本経済の長期停滞と景気不況で、就職氷河期と言われている中、明るい兆しが見えてきている。
  • しかし、隣の中国の大学生の就職事情を見ると、実は経済の高度成長にも関わらず、2003年から大学生の就職難が続いている。中国では大卒者の就職率が大体7割前後と公表されている。2013年の大卒者は700万人近くと言われ、修士進学や海外留学等を除いて考えると、来年仕事が見つからない大卒者はその15%前後で、約100万人に上る。本当に恐ろしい数字である。
  • 去る11月25日に中国国家公務員試験が行われた。就職難も背景にあり、この国家公務員試験は2004年から8年間で申込者も受験者も10倍までに拡大した。今年での受験者は110万人を超え、前年比で15%増となり、過去最高になった。一方、採用可能なポストは2万人に過ぎず、競争は非常に厳しい。近年の就職希望先ランキングを見ても、公務員や国営企業が上位になっている。中国では昔から安定と見られた国営企業が「鉄飯碗(割れないお茶碗のこと)」と呼ばれた。その言葉も時代と共に進化し、現在、政府機関のポストは「金飯碗」と言われている。数の限られた「金飯碗」の入手競争が激しくなっているのは、中国の現在の社会の権力への追求による出世欲求があるだけでなく、就職難から安定な職に就きたいという皆の願望も大きい。

就職難が常態化

  • そもそも高成長を遂げてきた中国において、なぜ大学生の就職状況がこんな に厳しいか。考えられる原因は主に3つがある。
  • まず、大学入学定員の急拡大である。98年に108.4万人だった大学定員は、2011年に681.5万人と約7倍までに増加した。年平均で50万人が増加するペースとなっている。その背景には、中国が99年から高等教育システムの改革を行い、より多くの学生に高等教育を受けさせるため、入学定員を年々増員させた経緯がある。また、同改革によって、以前のような就職先の「包分配」制度から自ら仕事を探すことに変えられた(「包分配」:計画経済時代と同調した制度で、国の計画で就職先及びポストに指定され、自らの就職活動は不要)。ここでは、中国における高等教育システム改革の成否は評価しないが、その結果、大卒者が一気に増えたのは事実である。しかし、拡大された定員数に相当するポジションがなく、大卒者が超買い手市場になってしまい、今日に至っている。
  • 次は、就職先の所在地として大都市にこだわる傾向である。過去30年間、中国経済は年平均10%の成長を実現したが、他方で、地域経済の格差が大きくなっている。一人当たり可処分所得が3万元を超える北京や上海もあれば、その半分以下の地域もある。また、中国では、大学は良い人生を築くための必須条件と広く認識され、多くの若者が大学入学を望んでいる。大学定員が拡大されつつあるとはいえ、「千軍万馬過独木橋(大勢の人が一斉に狭い木の橋を渡る)」と比喩されたように、受験で勝ち抜けることは決して容易ではない。そういう状況の下、大変苦労をして、大学に進学できた若者が給料や生活水準等がより良い大都市に行きたがるのは当然である。結果的に、大都市部の競争が益々厳しくなる。一方、都市部の過度競争と対照的に、地方の求人ニーズは満たされないままであり、矛盾が生じている。
  • 最後に、企業側のニーズと学生側との間のミスマッチも大きいことである。中国人力資源・社会保障部で公表された都市部における学歴カテゴリ別の求人需要データを見ると、専門学校等卒を対象にする求人数は常に大卒者の2倍である。同時に、中国での一般企業の場合、有名大学の卒業者以外、即戦力重視で、新卒より経験者を積極的に採用する傾向がある。更に、中国の大学生は競争社会を生き抜く強さがあるといわれているが、大学進学自体を評価する社会的な見方が根強く、大学生としての優位性を過大評価された結果、仕事状況が厳しいポストや社会的に地位が低いと見られるポストに就く意欲がなくなる。
  • 今後も変わらない大学定員の増員の中、同時に教育システムの更なる改革によって、即戦力を身につけさせる高等教育内容の充実を期待したい。大学に進路相談室を設置し、政策的に地方誘導措置を実施したほうが良い。現在、一部の大学生の間で、「北上広」(北京・上海・広州)や沿岸部都市より他の省都や内陸部にキャリアを求める動きが見られているように、大学生自身も意識を変え、自分なりのキャリアプランをより冷静に考える必要もある。