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2012年の世界大企業ランキングを読む

発行日 2012年7月20日

主席研究員 金 堅敏

 

【要旨】

米フォーチュン・グローバル500での世界大企業ランキングで米国企業数と日本企業数は過去最高の197社と149社からそれぞれ132社と68社まで減少した。その他の国々は緩やかに増減しているが、中国企業だけは急増してきている。2012年では69社がランクインし、企業数で日中逆転が生じた。また、大部分の日本企業は順位を下げてきているが、中国企業のほとんどは順位を上げてきた。さらに、日中企業間には稼いだ利益額も大きな差が開き始めている。

ランクインした中国企業のうち、64社は中央政府か地方政府所管の国有企業である。これらの企業は、金融、エネルギー、通信、鉄鋼、鉱山、自動車などの基幹産業に属している。他方、ゼロから出発した民間企業の台頭も目立ってきている。ランクインした5社の民間企業には、高級車メーカー、ボルボを買収した自動車企業も含まれている。中国にはフォーチュン・グローバル500予備軍が多く、その動向が注目される。

止まらぬ中国企業の台頭と日中逆転

  • 2012年7月10日に米『フォーチュン』誌は、2011年の企業売上高(ドルベース)に基づく世界最大企業ランキングを発表した。ランキングは同時に、企業の利益総額、総資産利益率、企業の地域分布なども公表されている。したがって、このランキングで公表されたデータを分析することによって世界の成長地域や、企業の成長性、収益性などを読み取ることができる。
  • 1995年に始まったこのランキングにランクされた企業の属する国籍や技術分野は、時代とともに大きく変化してきている。米国企業の最高記録は2002年の197社で、売上高ではフォーチュン・グローバル500の42%も占めた。日本企業では、1995年に149社がランクインし、売上高はフォーチュン・グローバル500の37%を占めた。両国ともピークに達した後は、減少の一途をたどった。1996年に中国企業2社がランクインしたが、2001年のWTO加盟後、ランクインする企業が増え続け、近年増加のペースが速まってきている。

図 フォーチュン・グローバル500における主要国・地域の企業数の変化(社)

米国日本中国ドイツ韓国台湾インドロシアブラジル
2012年132686932136878
2011年133685834148877
2010年139714337108867
2009年140683439146786
2008年153642637156755
2007年162672237146645
2006年170701935123545
2005年175811537112533

出所:グローバルフォーチュン500Web

  • 2012年では、図表が示すように、ランクインする国別の企業は小幅な変化にとどまっているが、唯一の例外は中国だった。中国は、世界大企業トップ10のうちに3社(5位、6位、7位)も入っており、ランクインする企業数は9年連続で増加している。2012年は11社も増え、69社となり日本の68社を超えた。2010年には日中GDPの逆転が生じたが、2012年にはミクロレベルの大企業数でも日中逆転が生じた。
  • また、日本企業68社のうち、53社は合計で1,153億ドルの黒字(純利益)を計上したのに対して、ランクインした中国企業69社のうち、64社が2,045億ドルの黒字を計上した。他方、赤字企業においては、日本企業は15社で総額428億ドルの赤字を出したのに対して、中国は5社で14億ドルの赤字を計上した。日本企業の赤字総額に東京電力、関西電力、中部電力の3社が出した赤字141億ドルと、パナソニック、ソニー、シャープの3社が出した赤字203億ドルが大きく寄与した。因みに、日本企業では、28社がランクアップしたが、40社はランクダウンしたのに対して、中国企業では62社がランクアップで7社がランクダウンした。

主役は国有企業だが、民営企業も目立ってきた中国

  • ランクインした中国企業69社のうち、64社は中央政府所管か地方政府所管の国有企業である。民間企業を中心とする世界他国とは資本所有構造が大きく異なっている。ランキング上位に位置している中国国有企業には、石油3社(中国石油、中国石油化学、中国海上石油)、通信キャリア3社(中国移動、中国電信、中国聨合通信)、4大国有銀行(中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行)、2大送電企業(国家電網、中国南方電網)、3大国有自動車メーカー(上海汽車、第一汽車、東風汽車)、3大国有鉄鋼会社(宝山製鉄、首都製鉄、武漢製鉄)などの基幹企業が含まれている。
  • 特に、国有商業銀行の台頭が著しくなっている。ランクインした4大商業銀行及び2行の中堅銀行(交通銀行、招商銀行)はいずれの順位を大きく伸ばした。この6行の国有商業銀行の純利益は約1,100億ドルを計上しており、中国企業69社の計上した利益総額の50%以上を占めた。中国では、銀行セクターの国有独占でこれらの銀行は「独占的な利益」を稼ぎすぎたと批判する声が強まっている。今年に入ってから銀行セクターを含め、規制分野の民間資本への開放政策を加速しており、政策の効果が注目されている。
  • 実際、中国の民営企業の台頭も目だってきている。ランクインした5社のうち、平安保険はもともと国有企業からスタートして、その後民営化で成長した企業だが、ほかの4社(江蘇沙鋼、華為、浙江吉利、山東魏橋)はゼロから出発した民間資本である。浙江吉利(スウェーデンの高級車メーカー、ボルボを買収した自動車企業)、山東魏橋(アパレル、素材、エネルギーなどを手がける総合メーカー)は2012年に新たにランクインした民営企業である。
  • これらの民営企業はその他の民間企業と同じように1980~90年代に設立されたベンチャー企業であり、約20年間資本、技術、人材蓄積が行われ、国有企業のすきまをくぐって世界大企業と肩を並べるようにまで成長してきた。他の有力民営企業もフォーチュン・グローバル500の仲間入りを目指しており、これら民営企業の台頭がより注目を集めよう。