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中国におけるBPOベンダーの成功事例(1):A社(大連)

発行日 2007年12月14日

上席主任研究員 金 堅敏

 

デリバリーセンターの概要

  • A社のグローバル・デリバリセンター(BPO)は、インド(バンガロール、ムンバイ)、フィリピン(マニラ)、中国(大連)、英国(Dublin)、米国(シカゴ)、アルゼンチン(Buenos Aires)など7つある。大きいデリバリセンターはインド(バンガロール)とフィリピン(マニラ)にある。A社(中国)は、大連と上海の2ヵ所にある。
  • A社(中国)の支社であるA社(大連)は、
    1)ソリューションデリバリセンター(SDC、顧客向けITOセンター)
    2)ビジネスデリバリセンター(BDC、顧客向けBPOセンター)
    3)アジア・パシフィックシェアードサービスセンター(APSSC、社内社員向けBPOセンター)
    の三つの部分からなる。
  • 1)の顧客向けITOセンターは、1,000名の開発スタッフを有し、修士以上の高学歴者が多く、男性スタッフが多い。2)の顧客向けBPOセンターは300名のスタッフが在籍し、日本企業を含む10数社の顧客にサービスを提供している。うち、金融・ハイテクを含む3社の大手会社を含む。3)の自社向けBPOスタッフは、286名で平均年齢は28歳である。うち、80%前後は女性スタッフである。
  • 顧客向けで1,000人規模の上海デリバリセンターは基本的にITO専門である。例えば、高度な技術を持ち、かつ日本語もできる開発スタッフは大連よりも上海の方が多い。

APSSCについて

  • APSSCは、(1)効率向上、(2)コスト削減、(3)顧客BPOサービス向けのショーケース整備の目的で2002年末にスタートした。業務ごとの移転は3ヵ月ずつ行われ、2007年9月に業務移転は基本的に全部終了した。現在、日本(社員数3,292名)、グレーターチャイナ(同3,008名)、南アジア・韓国・オーストラリア等(同17,380名)を含む10ヵ国・地域の24,000名の社員に日本語、英語、中国語、韓国語の4つの言語、7つのサービスを提供している。
  • APSSCのスタッフはすべて大学卒以上で中国語を含み、全員2ヵ国語ができ、5名前後は3ヵ国語ができる。日本担当のスタッフは60名で、最低1級日本語資格を持つ。スタッフは入社後、3ヵ月の業務研修を行ってから業務に付くが、インセンティブとして日本などの海外での研修も行っている。給与水準は言語などのスキルによって異なるが、新入社のスタッフは3,000元~4,000元である。因みに、離職率は約8.3%である。
  • APSSCのサービス内容は、(1)CIO(ヘルプデスクなど)、(2)BO(業務運営のサポート)、(3)経理・財務業務、(3)人事サポート業務、(4)ナッレジマネジメントサポート、(5)リサーチ業務(Webから情報収集サービスなど、新しい業務)、(6)ファシリテー&サービス(出張サポート、翻訳など)である。
  • A社は、IPO後株価目標を達成するために収益目標、コスト削減目標などに分解し、さらにその目標に見合った人件費、スタッフ人数まで計算される。このような目標設定はトップダウンで指示される。その後、業務の標準化・BPRが行われ、セルフサービス/システム化が要求される。これらのプロセスによって工数で40%はオフショア移転可能であると判明された。業務のオフショア移転後、海外デリバリセンターは、SLA基準(Service Level Agreement)に基づいてサービスを提供される。
  • 例えば、A社(日本)ではエグゼクティブ・パートナー(1人)は、これまでは4~5人のアシスタント・秘書を使っていたが、現在は1人まで減らされた。相当の作業はセルフサービスに切りかえたという。余剰間接要員はリストラされ、現場社員は不満が高いと思われることもあった。しかし、これまでの「過剰サポート」が必要かどうかは疑問であり、毎年の従業員アンケート調査において「サポート提供」よりも「収入増」というインセンティブを選ぶ現場社員が多かったことも判明しているので、業務の標準化・BPR、それに伴う間接業務のオフショア移転は抵抗が少なかったという。また、J-SOXなどの対応は、業務の標準化・ファイル化によってBPR・オフショアによってやりやすくなった。

効果

  • A社(日本)は間接スタッフを50%削減することができ、APSSCの要員を含めても25%の削減(人数ベース)ができた。移転コストという固定費を別にして、コストカット効果は30%前後はあるかと推定される。APSSC提供のサービスに対する5段階評価で現段階では良好のレベル、4.5~4.8の段階にあり、5に近づける努力がなされている。
  • APSSCで蓄積されたBPOノウハウ (人材、スキル、品質管理など)は、顧客向けBPOセンター運営のサポートに生かされ、大連センターをコストセンターから収益拠点への転換を図った。実際、大連センターの経営責任はA社(中国)が持つので、間接業務移転拡大のためA社(日本)にも攻勢をかけているという。