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米中戦略経済対話の進展と影響

発行日 2007年6月15日

主席研究員 朱 炎

 

摩擦解消のための政策対話

  • 5月22~23日、第2回米中戦略経済対話は5月にワシントンで開催された。中国の呉儀副首相と米国のポールソン財務長官を初め、米中双方のほとんどの経済閣僚と経済関連官庁のトップが対話に参加した。
  • 米国と中国の経済関係は急速に拡大しているが、さまざまな問題を抱えている。貿易不均衡は最大の問題であり、2006年に米国の対中貿易赤字は史上最多の2,325億ドルにも達し、貿易赤字全体の27.8%を占めた。また、中国の人民元レートの調整スピードが遅いこと、知的財産権の保護が不十分などに対しても、米国の不満が高まっている。米国内では、中国との貿易不均衡が人民元の為替レートを不当に低く抑えたことが原因と見て、中国に圧力をかけている。とくに米国議会は、中国への貿易制裁を内容とする法案がたくさん出された。
  • このような背景のもとで胡錦涛主席とブッシュ大統領の合意により、戦略経済対話は米中間の経済問題を解決するために実施する政策対話として始まった。これは、かつての日米構造協議と同様である。昨年12月に北京で行われた1回目の対話は、米中双方が幅広く意見交換し、経済不均衡の解消、協力で一致した。

中国の協調姿勢

  • 中国は戦略経済対話の進展を期待し、また米国の圧力を和らげるため、戦略経済対話の開催に合わせて5月に、米国への協調姿勢を示すさまざまな措置をとった。
  • 例えば、5月以降、人民元高へのレート調整のテンポを速めた。制度的には、人民元レートの調整幅を拡大し、従来の1日上下0.3%から0.5%に引き上げた。
  • 貿易摩擦を引き起こしやすい鉄鋼、自動車などの製品輸出に対して、輸出許可、輸出税還付の比率の引き下げ、輸出関税率の引き上げなどの措置を実施した。
  • さらに、中国政府の投資として、米国の投資ファンドのブラックストーンに30億ドルの出資を決定した。中国は外貨準備を積極的に運用する政策をとり始め、この投資は最近設立した外貨準備の運用機関の第一号案件となった。
  • 米国からの輸入を拡大するため、中国は5月に300人からなる買い付け・投資代表団を米国に派遣し、合計326億ドルの米国商品輸入と対米投資の契約をまとめた。

戦略経済対話の成果

  • 戦略経済対話の開催挨拶で、呉儀副首相が「圧力をかけても問題を複雑にするだけだ」「経済問題を政治問題にしてはならない」と発言し、ポールソン財務長官は中国の対応が遅いことに対し「米国人は我慢強くない」と発言した。経済問題の解決に関して米中双方の意見の隔たりが大きいなか、戦略経済対話は一定の成果を挙げた。
  • 金融分野では、中国の市場開放の加速で合意した。例えば、07年後半に外資証券会社の参入審査の再開、外資系証券会社の業務範囲の拡大、外国機関投資家(QFII)による人民元建てA株への投資枠の拡大(100億ドルから300億ドルへ)、外資系金融機関による人民元建てのクレジット・カード業務の認可、外資保険会社の新規参入の再開、国内機関投資家(FDII)による海外株式への投資枠の拡大、外資による企業年金の参入促進などが含まれる。
  • 貿易分野では、米国の対中輸出への促進、知的財産権保護の協力と体制の強化で一致した。サービス分野では、航空市場の開放、米中間の旅客便の増便、中国観光客の米国への団体旅行などについても合意した。
  • 中国が米国に求めている財政赤字の削減、貯蓄率の引き上げ、ハイテク製品輸出の規制緩和などに対しても、米国は応じる姿勢を示した。
  • また、次回の戦略経済対話までの課題も決めた。しかし、米国内とくに国会では、貿易不均衡、人民元レートと知財保護などの問題について、中国への見方は依然として厳しい。

日本への影響

  • 米中戦略経済対話の進展は、日本にも好影響を与える。米中間の貿易摩擦の回避は、中国に進出する日系企業の経営にはプラスになる。また、米国の圧力と要請による中国の市場開放は、日本企業もメリットを享受でき、対中進出を拡大できるであろう。