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中国で銀行業の対外開放と外銀現法開業

発行日 2007年5月25日

主席研究員 朱 炎

 

銀行業の対外開放

  • 4月23日、外国銀行4行は中国の現地法人として新たに開業し、個人向け預金吸収と住宅ローンなど、リテール銀行業務を開始した。
  • 昨年12月、中国がWTO加盟後5年間の過渡期が終了し、最後の市場開放分野である銀行分野において、「外資銀行管理条例」を改正し、外資への市場開放に大きな一歩を踏み出した。外資系銀行に対して、現地法人の設立を条件に、個人向けリテール銀行業務、中小企業向け人民元建て融資業務を認可し、内国民待遇を与えた。また、外資による農村金融市場への参入も認めた。
  • これを受けて、すでに20行の外国銀行が現地法人設立を申請し、うち12行が認可された。第一陣として、香港ベースの英系香港上海銀行、スタンダード・チャータード銀行、香港系東亜銀行、米系シティバンクの4行が現地法人を開業した。

外国銀行の事業拡大

  • 急拡大する中国の金融市場に対して、外国銀行はさまざまなサービスを提供し、より大きな市場シェアを獲得しようとしている。しかし、中国で設立された外国銀行の支店は、人民元業務が認められても、事業の拡大にさまざまな制限を受けていた。おもな顧客は外資系企業であり、中国企業への事業は大企業向けの外貨決済と協調融資に限られていた。このため、外資系銀行は顧客の新規開拓、サービスの拡大を期待している。とくに拡大の潜在力が大きく、しかも高収益の個人向け預金吸収と住宅ローン、富裕層向けの資産管理、クレジットカード、中小企業向け融資には大きな魅力を感じている。
  • 外資系銀行は、サービス、金融商品及び経験などの競争優位を有しているため、リテール業務と中小企業向け融資の解禁によって、中国での事業展開は大きく発展できる。しかし、支店網が少ない、コスト高によるサービス手数料が高い、業務の範囲がまだ狭いなどが外資系銀行の弱点であり、国内銀行に比べると弱い。
  • 今後、外資系銀行による地方都市への出店ラッシュが出現し、都市部の中小銀行と農村の金融機関への出資、業務内容の拡大、個人と中小企業の顧客の取り込みに努め、サービスの向上で弱点をカバーできるであろう。

銀行業の競争が激化

  • 外資系銀行の市場参入によって、国内銀行は外資系銀行との競争に直面するようになっている。WTO加盟後、外資への市場開放に備えて、中国国内の各銀行は、経営体質の改善、競争力の強化に努力してきている。中国政府も銀行に対して、資金注入、不良債権の処理、外資による出資を受け入れ、上場などの政策措置をとり、支援している。現在、中国の大手銀行は、不良債権処理の目処が付き、外国の金融機関から出資を受け、ストラテジーパートナーを導入している。2006年以降、大手銀行のほとんどは国内及び香港の株式市場に上場した。
  • しかし、外資系銀行に比べると、国内銀行はサービスの質、経営効率が悪い。外資銀行の市場参入と競争に対応するため、国内銀行は充実の支店網、広いサービスの範囲などの優位性を発揮し、経営改善とサービスの向上にさらに努めるであろう。
  • 外国銀行の市場参入と競争は、結果として中国の金融市場の発展に大きく貢献できる。また、競争によって、個人がより良い金融サービスを受けられ、いままで資金調達が困難な中小企業、そして農村においても融資を受けやすくなる。これで、中国の経済成長にも貢献できるであろう。

日系銀行と日系企業への影響

  • 日系銀行は、日系企業の中国進出に伴って、早くから中国に進出し、支店を設立した。日系銀行の中国事業は、おもに中国に進出する日系企業に金融サービスを提供し、サポートすることであり、現地市場への食い込みを視野に入れていない。また、日本の長い不況や、銀行の合併などの影響により、日本の銀行が海外事業を収縮し、国内回帰の動きさえあるなか、中国事業から撤退こそしなかったが、支店の統廃合に追われ、支店の新設、事業の拡大に余力がなかった。2004年以降、欧米系、アジア系銀行など外資系金融機関は相次いでストラテジーパートナーとして中国の大手銀行に出資するなか、日本の金融機関はほとんど欠席した。
  • 今回の外国銀行の現地法人設立、事業拡大のチャンスには、日本の銀行は乗り遅れていない。みずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行はすでに認可を受け、現地法人の開業を準備している。日本の銀行は現地法人を設立しても、中国でのリテール業務を拡大することが目的ではなく、現地法人として、今後、日系企業により良い、より多様化するサービスを提供できることに着目している。例えば、デリバティブ取引、投資銀行業務などが期待できる。今後、中国に進出する日本企業は日系銀行からより良いサービスを受けられるであろう。
  • また、外国銀行の競争参加によって、中国での銀行業の競争が激しくなり、外国銀行のみならず、国内銀行も含めて、支店や営業拠点のネットワーク構築、システム構築などを強化する。日系企業にとって、ビジネスチャンスも増えるであろう。