GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. 調査・研究成果 >
  3. 中国通 >
  4. ベトナムにおける日系企業のアウトソーシングの成功事例

ベトナムにおける日系企業のアウトソーシングの成功事例

発行日 2007年4月13日

上席主任研究員 金 堅敏

 

注目される日産テクノベトナムの会社概要

  • 2001年6月に設立された日産テクノベトナム社(NTV)は、日産自動車の100%出資子会社である株式会社日産テクノ(JNT)の100%資本子会社である。日産テクノは、欧米の日産拠点へ技術者派遣などはあるが、海外で拠点を設立したのはベトナムが始めてである。
  • NTVの事業内容は、自動車関連部品のCADデザイン(自動車CADデータの作成)、CAD解析および設計である。ベトナムにおける日系オフショアアウトソーシング事業としては草分け的な存在である。ベトナムの若くて優秀な技術者を活かすのが目的である。ただし、ベトナムでは中国と違って、アウトソーシング産業に対する特別な奨励政策はあまり聞かれない。
  • 2006年初の従業員は200名前後であったが、2007年1月現在は502名と急増した。従業員のうち大学卒が約200名で、高卒・短大卒が300名である。2006年1月に日本人常駐者11名で短期出張者が20~30名いる。従業員構成から見て、ソフトアウトソーシング開発拠点と違って、NTVの業務はCADデータの作成などの労働集約的な部分に特化している。ITOよりもBPOに近いアウトソーシングと言える。
  • 賃金水準は、高卒初任給150ドル、大卒初任給200ドル、入社4年前後のリーダーは400ドル前後である。賃金上昇率は10%以上となっている。
  • NTV社の公用語は日本語で採用条件に日本語、IT、CAD知識を要求する。事前教育はハノイ市内の技術専門学校と提携している。入社後も継続語学教育を行う。
  • 2006年3月現在、ローカル従業員に日本語1級レベルが1名、2級レベルが18名、3級レベルが126名いる。ベトナムでは日本語人材が非常に不足している。特に日本語できる中間管理職の人材は募集をかけても応募者がいないほどである。ちなみに、この1~2年の日系企業の大量進出で大卒従業員の離職率も高くなっている。

ビジネスの仕組み

  • 現在、NTVの活動は、100%本社からのアウトソーシング受注作業である。先進技術の開発を行う日産自動車が頂点に、新製品開発を担当する日産テクノが中間に位置し、新製品開発を支える部品設計・CAD解析を行う日産テクノベトナムは底辺にある。三社はピラミッド▲の関係を構成している。
  • 業務受託する情報のほとんどは、ネットワークシステムを介してデジタル情報として受 領。社内で設計図面、設計検討書、部品データ、解析モデルデータなど、様々な設計技術データを作り上げた後、再びデジタル情報として日産テクノ(JNT)での最終品質チェックを経て、日産自動車へ納入。
  • 「業務依頼書」により作業内容を確定するが、業務依頼内容の変更により生じた費用は発注元から別途必要である。ただし、ソフト開発のオフショアと違い、同じグループ会社の人間とコミュニケーションしているので、仕様書の変更やコミュニケーションによるトラブルは少ない。
  • 仕事の発注は人月ベースできている。NTV社は利益拠点ではなくコストセンターという位置づけである。したがって、利益率よりもQCT(品質、コスト、納期)を追求する。

通信インフラ

  • NTVが主に活用している通信インフラは、1)IP-VPN専用線(容量6Mbps)、2)TV会議用にADSL電話回線、3)普通のインタネット回線である。
  • 1)については、日産自動車と日産テクノ(JNT)の社内LAN共同出口からIP-VPNと接続、ベトナムではIP-VPNとNTV LANと接続でつながる。ベトナムでは、昨年までは基地局設置の遅れでIP-VPNサービスが利用できなくフレームリレー方式の通信回線を使っていた。通信コストが高いため、その通信容量は1/6しかなかった。
  • 大容量のIP-VPN専用線の利用によりこれまでできなかった大規模な業務内容も受託できたし、受託規模も急速に拡大できた。例えば、自動車の構造素性に関する情報をデジタルデータ化する大規模なデータ解析業務の受注ができた。また、従来は単品作図業務を行っていたが、通信インフラの高性能化により、モジュール部品検討業務、レイアウト検討業務などが可能となった。
  • ただし、CADデータは大容量となり、6Mの容量があるとは言え、夜間で3時間をかけてデータ送受信することもある。
  • この専用線の使用料については訪問先に確認できなかったが、他の情報では512Kbpsの専用線使用料は1,000ドル/月前後であり、12倍の容量があるNTVのIP-VPN専用線の使用料は高いと推測される。
  • ベトナムの通信専用線は、ハノイ⇔ダナン⇔香港⇔日本の経路による。通信のLatencyやPacket Lossも大きな問題にはならないという。