GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. 調査・研究成果 >
  3. 中国通 >
  4. 西安市のアウトソーシング産業政策の変化とBPO企業の実態

西安市のアウトソーシング産業政策の変化とBPO企業の実態

発行日 2007年3月30日

上席主任研究員 金 堅敏

 

西安市におけるサービスアウトソーシング企業誘致の政策変化

  • 中国では、ハイテク産業、ソフト産業を育成するためにハイテク企業、ソフト開発企業向けの優遇政策はあるが、BPO産業育成やBPO企業向けの優遇政策はない。BPO企業は、建前ではソフト企業とみなし、ソフト企業の優遇政策を受けさせている。現在、BPO産業育成は国家レベルの政策として打ち出され、BPO産業育成の政策が検討されている。
  • 西安市の誘致政策はソフト開発を中心とするITOから業務プロセスアウトソーシングを中心とするBPOにシフトしつつある。西安市も同じく地方レベルでBPO企業の優遇政策を検討しており、2007年3月末に地方条例として公表する予定である。西安市には以下のような五つのサービス・アウトソーシング企業が活動している。
    1. ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)
      事例:Compupacific、台湾経茂、神州数馬等20数社(欧米・国内向け)
    2. ソフト開発(ITO)
      事例:NEC、Fujitsu、SRUN、用友NTTデータ等50社(日本向け約40社、その他欧米・国内向け)
    3. R&Dアウトソーシング
      事例:Infineon、Sybase、SPSS、Intervideo、Reynolds、華為科技等20社(欧米・台湾・国内向け)
    4. 人材育成・派遣
      事例:信利、漢唐など20社(欧米・日本向け)
    5. エンジニアリング・アウトソーシング
      事例:西翼、神州石油、新生代、恒生など20社(国内向け)
  • ソフト開発をメーンとする対日アウトソーシングは、40社あまりで従業員3,000人、2005年の売上高2,200万米ドル(約25億円)。対欧米アウトソーシング企業は約40社で2005年の売上高 2,000万ドル。

BPO企業の事例:CompuPacific International(Xi'an)Ltd.

  • CompuPacific Internationalは、中国における最大のBPOプロバイダーの一つである。ドキュメントマネジメントを中心とするBPOサービス企業として、当社は1998年米国で設立された。現在、営業拠点:米国、オーストラリア、7名。北京に営業、サポート拠点、生産拠点:中国西安にある。
  • 中国での合計従業員は1,000名(2006年5月の650名から急増)。60%前後は、短期大学卒以上である。欧米留学帰国者が20数名。従業員の流動率は15%前後であり、特にオペレーターに集中している。現在、グローバルな人材20名ほどを募集しているが、インドを含め100名以上の応募者がいるという。
  • サービス分野は、銀行サービス業、小売サービス業、レジャー・娯楽業、エネルギー・電力などのインフラー産業、健康保険業の五つに特化している。なぜなら、これらの産業は、財務処理、人的資源管理、データ分析、バックオフィスなどのアウトソーシングが共通の関心事になっているからである。現在、当社の95%の業務は北米市場(米国・カナダ)からで、残りはオーストラリア、中国国内(の欧米企業)からである。
  • CompuPacific Internatinal社は、ソフト企業として西安市政府に認定され、ソフト企業の優遇政策を受けている。事務所賃貸料、通信料、従業員教育費などについて財政の支援を受けている。
  • BPO事業は投入があまりないので、利益率は高い。CompuPacific Internatinal社の営業利益率は40%~50%で、純利益率は30%前後である。

ビジネスモデル

  • ビジネスモデルには、発注側のプロセス・コントロール強弱とローカルリソース活用の多少によって(1)BOT(Bould of Trasfer) モデルである。(2)100%発注側資本のSSCモデルである。(3)100%受託側資本のBPOモデル。(4)発注側と受注側のJVモデルがある。
  • 現在、CompuPacific Internatinalは、第(2)と第(3)モデルを中心にビジネスを展開している。第(2)モデルの事例として、英系スタンダードチャータート銀行(SCB)は中国天津にバックオフィスを持っている。CompuPacific Internatinal社は、SCBに対してBPO人材関連のコンサルを行っているとともに、BPO人材派遣を行っている。
  • 第(3)モデルの事例としては、米国の某自動車販売会社に自動車ローンのオンラインドキュメント 処理のアウトソーシングサービスがあげられる。ビジネスフローは、米国販売店で顧客によるロン申し込み(手書き)⇒スキャンして西安拠点へ伝送⇒フォームへ入力・予備審査⇒米国販売店へ返送の順からなる。西安への伝送から販売店への返送までに必要な時間は18分なので、顧客が店頭で車下見をしている間にローン審査手続きが終えられるという。
  • CompuPacific Internatinal社は、1.5Mの容量を有する専用線(回線利用料は4,000ドル/月である)と数ラインの光ファイバーインタネットベースのVPN線を有する。現在のところ、顧客からかならず専用線利用という強い要求はない。作業内容によって専用線かインタネット・VPN線かを切り替えている。