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  4. 日系企業のアジア戦略におけるタイの位置づけ

中国における米系銀行のオフショアリングの成功例 State Street Corp.Technology center

発行日 2007年6月15日

上席主任研究員 金 堅敏

 

日系企業のアジア戦略におけるタイの位置づけ

  • 日系製造企業におけるタイの位置づけを調査するため、2007年3月15日にタイに活動している電機メーカー(A社)と自動車メーカー(B社)を訪問した。図表が示すようにその概要を纏める。

タイにある日系大手製造企業の経営活動の概況

A社(タイ)B社(タイ)
設立時期1961年1964年
資本関係49%資本JV90%資本JV
輸出/内販(%)輸出67%輸出61%(四輪車)
従業員数(人)4,500名(大卒5%)約5,500名
うち日本籍約50名約300名
製品スピーカー、バッテリ、TV等二輪車、四輪車
現地調達率(%)40%(金額ベース)高い
高卒初任給171ドル285ドル
大卒初任給314ドル428ドル
マネージャー1,143ドル1,500ドル
給与上昇率(%)4.5%-5%高くない
離職率(%)・10%(エンジニアが高い)・高くない
技術流出・人材流出による技術流出あり・特になし
労使問題・特になし・特になし
課題・為替リスク・特になし

地域本部の管轄地域が異なる

  • A社の中国・北東アジア本部は、中国、香港、台湾、韓国、モンゴルを含み、アジア・大洋州本部はインドをカバーする。B社本社は、中国本部(香港を含む)とアジア・パシフィック本部を設けている。AP本部の管轄地域は、韓国、台湾、アセアン諸国、インド・パキスタンなどである。台湾と韓国の扱いが異なっている。

アセアン地域の活動中心が異なる

  • A社本社では、タイでは、1961年に国内市場開拓のために進出したが、70年代からの輸出拠点としては、シンガポール・マレーシアが中心であった。現在、アセアン本部の2兆円あまりの生産高に占める割合は、マレーシアが30%、シンガポールが25%、タイが8~10%、そのほかはインドネシア、フィリピン、台湾、インドなどが占める。現在でもA社本社の生産がシンガポール・マレーシアを中心となっている関係は変わりはない。人件費高騰はR&Dの強化や高付加価値化でカバーしようとしている。因みに、A社本社のAP本部はシンガポールにある。
  • シンガポール・マレーシアが中心になったのは、1)地元政府からの投資優遇、2)言葉が通じること、3)インフラ整備が整っていることなどからである。タイは、すべての条件がそこそこ整っているが、優位性が突出しているところはない。しかし、最近では、労務問題や政治問題が浮上しているとは言え、中国華南からベトナム、タイ、インド、中近東へのラインに沿った物流・商流が加速している。このアーチ型経済地域に合わせてA社本社は「・・・。コリドール戦略」を推進している。この戦略を推進するために、タイを押さえておかないわけにはいかない。
  • 2003年にB社本社のアジア・パシフィック(AP本部)は、アセアンに移転することになったとき、シンガポールかタイかの選択に迫られた。結局、生産・販売に近いところで設置することによりタイに置くと決定した。現在、B社本社(AP)本部には、AP地域の生産・販売・キャッシューフロー管理などの機能を備えているが、2007年4月に購買機能(IPO)もAP本部に移してくる予定である。

インドビジネスに対する評価の相違

  • インドもやれやれと言われているが、A社本社は、1970年代から、洗濯機、エアコン、TVなどについて生産も販売も失敗した経験があるので、なかなか進まない。代金回収問題もある。現在は韓国系が前進しているので、益々難しくなる。
  • B社本社にとって、インドの重要性が急速に増してきている。インドでは、四輪の生産台数は、5万台(06年)から10万台(07年)、20万台(08年)の倍増ゲームとなる。二輪も450万台(06年)から500万台(07年)を超える。近いうちに、タイでの生産台数はインドに取って変われるだろう。タイのITスタッフは言われたことをやるが、インドのITスタッフはITシステムの企画能力を持っている。B社本社のIT本部では20名以上のインド人SEを活用している。

タイにおけるプレゼンスの相違

  • タイ市場で日系の電器製品は、韓国勢に押さえされつつあり、プレゼンスが低下しているが、自動車分野では、日系が絶対的な地域にあり、韓国勢の姿は見られない。
  • 日系自動車産業の給与も高く、人材不足問題はないが、電器分野は給与が相対的低く、人材流動性も高い。

確認された共通点

  • 両社ともタイへの進出歴史は40年以上と長い。また、日本人駐在員の多いのも共通である。因みに、A社(タイ)の従業員19,000人に対して日本人駐在員は170名で、B社(タイ)の従業員5,500名に対して日本人駐在員は300にも達している。
  • タイでの事業経営は基本的に日本側が行われており、JVであっても中国のように技術流出や経営権争いの問題はあまり見られない。
  • 両社とも輸出比率が大きいのでバーツ高が収益圧迫の原因となっている。