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漫画定額配信サービスのビジネスモデルの検討 ―支払意志額の推定―

漫画定額配信サービスのビジネスモデルの検討

―支払意志額の推定―

インターネット上で漫画を無料で読める海賊版サイト「漫画村」はさまざまな議論を引き起こしたが、漫画の定額配信サービスに対して大きな潜在需要があることも明らかになった。アンケート調査にもとづいてユーザーの支払意志額を推計すると、出版社を横断して漫画が読めるような定額配信サービスを行えば、総売上を減少させることなく定額配信を実施することは可能との試算が得られた。

慶應義塾大学 経済学部 田中 辰雄
富士通総研 経済研究所 浜屋 敏
発行:2019年7月

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要旨

「漫画村」は、違法にインターネット上にアップロードされた多くの漫画などのコンテンツを誰でもブラウザで読むことができるサイトだった。2018年になると口コミによって急激にアクセス数が増え、2018年2月にはサイト訪問者数が1億6000万人に達し、漫画業界の被害総額は流通ベースで3,000億円に上ったという推計もある(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構による推計)。これは過大推計だという指摘もあるが、著作権保護の観点から大きな話題となり、通信業界によるブロッキング規制の是非や通信の秘密に関する憲法論議にまで広がり、政府、通信業者、コンテンツ業界、司法関係者などを巻き込んだ大きな事件となった。

漫画村のサイトは2018年4月に閉鎖されたが、この漫画村事件はさまざまの観点から論じることができる。取り締まりに関する法律論争から離れて純粋にビジネス的に考えると、漫画村は漫画の定額配信サービスへの大きな潜在需要があることを示したと言える。もし正規のビジネスとして定額制の漫画読み放題サービスができれば、音楽業界においてiTunesやSpotifyが大きなビジネスになっているように、漫画コンテンツのプラットフォームとして大きく普及するのではないだろうか。どのような条件であれば、定額読み放題サービスは従来のビジネスを上回る売上を上げるのか。それが、本研究の問題意識である。

本研究では、ユーザへのアンケートで仮想的な定額配信サービスを見せ、いくらまでなら払う用意があるかをコンジョイント分析で推計した。その結果、出版社が連合して漫画の定額配信サービスを行えば、総売上を減少させることなく定額配信を実施することは可能との試算が得られた。これは定額配信によって漫画読者のすそ野が広がるためである。

田中辰雄

執筆者

慶應義塾大学 経済学部

田中 辰雄

 

専攻は計量経済学。主要著作・論文に、『ゲーム産業の経済分析』(共編著・東洋経済新報社、2003年)、『モジュール化の終焉』(NTT出版、2007年)、『著作権保護期間』(共編著、勁草書房、2008年)、『ソーシャルゲームのビジネスモデル:フリーミアムの経済分析』(共著、勁草書房、2015年)、『ネット炎上の研究』(共著、勁草書房、2016年)ほか

浜屋 敏

執筆者

富士通総研 経済研究所

浜屋 敏

 

専門は経営情報システム。早稲田大学、立教大学 非常勤講師。主要著書に、『プラットフォームビジネス最前線』(共編著、翔泳社、2013年)、『IoT時代の競争分析フレームワーク』(共編著、中央経済社、2016年)ほか

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