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構造改革の一環としての口座維持手数料導入の可能性

マイナンバーの検証と今後の展開に関する研究

―「マイナンバー世帯」についての試論 ―

我が国の番号制度がようやくマイナンバーとして稼働し始めた。当初予定された機能がすべて運用に入り、2018年10月でマイナンバー法施行3年を迎えた。今後、マイナンバー制度をどのように見直し展開していくべきか、世論動向や行政実務の現場を踏まえたうえ、政策提言を行っていく。

主席研究員 榎並 利博
発行:2019年1月

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要旨

これまで紆余曲折のあった我が国の番号制度は、ようやくマイナンバーとして動き始めた。すでに情報連携など当初計画されていたマイナンバーの機能がすべて運用に入り、2018年10月でマイナンバー法施行3年を迎えた。法の附則では3年目を目途としてマイナンバー制度を見直すこととしており、政府の見直し検討の一助とすべく、民間の立場からマイナンバー制度を検証するとともに、今後の展開についての提言を行う。

まず、全国紙5紙の記事見出しを使って世論動向を分析し、住基ネットとマイナンバーを比較した。マイナンバーでは、住基ネットで見られた番号制度の否定ではなく、運用上の問題を指摘するという報道姿勢に変化しており、番号制度を認める一方で政府に対しては確実な運用を要請する世論が形成されていた。マイナンバーは社会に受容されつつあると考えられる。

また、自治体の現場ではマイナンバー運用が開始されたとはいえ、まだ記載率が低い、業務運用に不慣れなど抜本的な合理化には至っていない。過剰な規制や情報提供ネットワークシステムの使いにくさなどが指摘されており、今後改善していく必要がある。

さらに、今後のマイナンバー展開において最も重要と考えられる「公平・公正」を実現するために、「マイナンバー世帯」の概念およびその展開方法を提示するとともに、データ整備のためのマイナンバー活用やグランドデザインについても提案した。

以上を踏まえ、マイナンバー制度の見直しと今後の展開について、下記の主な政策提言を行った。

  • 現場事務の負荷になる特定個人情報に関する過剰な規制を緩和し、マイナンバーを扱うことによる特別な管理負担を軽減すること。
  • 使いづらい情報提供ネットワークシステムを見直し、使いやすいシンプルな設計とすること。
  • 行政手続き書類へのマイナンバー記載を徹底するとともに、自動車・軽自動車登録および土地・家屋登記などへマイナンバーを拡大し、自治体との情報連携を図ること。
  • 今後の展開において、マイナンバーで公平・公正な社会をどのように実現するのかを具体的に示すこと。一つの考え方として「マイナンバー世帯」を提示した。
  • 新たな社会制度について、番号制度があることを前提にその実現可能性を再度検討すること。
  • データ整備のためのマイナンバー活用の考え方やマイナンバーのグランドデザインおよび具体的な展開方法についても検討すること。
榎並 利博

本記事の執筆者

主席研究員

榎並 利博

 

1981年 東京大学卒業、富士通株式会社入社、1996年 富士通総研へ出向、2010年より現職。
2002年度~2003年度 新潟大学非常勤講師、2006年度~2007年度 中央大学非常勤講師、2007年度~2008年度 早稲田大学公共政策研究所客員研究員、2009年度~2012年度 法政大学非常勤講師、2017年度~ 社会情報大学院大学教授。

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