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バングラデシュ市場の魅力

第4回 ICT業界を中心としたバングラデシュの現状と人材教育プログラム等富士通総研の取り組み

米国、英国、オーストラリアなどの先進国の多くの大企業は、コストとリスクを削減するためにバングラデシュなどからのITアウトソーシングに目を向けており、これが同国内のITアウトソーシング事業および最近のフリーランスのブームにつながっている。
本稿ではバングラデシュのIT市場の現状とバングラデシュに関する富士通総研の取り組みについて紹介する。

2020年3月5日

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1.はじめに

急速なデジタル化の進展により、バングラデシュのような多くの発展途上国もデジタル・アウトソーシングの世界市場に焦点を当てている。

バングラデシュ政府は2021年までに生活に関わるすべてのデジタル化を実現するという「デジタル・バングラデシュ」を推進している。バングラデシュ政府の目的は、サービス産業のイノベーションを促進するだけでなく、国内の雇用機会を促進し、経済成長を加速させることにもある。

バングラデシュでは、120以上の企業が35か国に年間約10億ドル相当の情報通信技術(ICT)製品を輸出している。World Economic Forumによれば、2021年までに輸出額は50億ドルに増加すると予想されている。 実際、ICT産業の成長の強さは、2021年までにバングラデシュがデジタル経済に成長し、2041年までに知識経済に転換するための4つの重要な柱(市民をつなげる、電子政府、人的資源開発、IT/ITES産業促進)を支えている。(注1

バングラデシュのICT市場の年間平均成長率(CAGR)は21%であり、インド12%、フィリピン11%、ミャンマー15%と比較しても最も急速に成長する市場である(注2)。コストとリスクを削減する選択肢として、米国、英国、オーストラリア、デンマークなどの先進国の企業は、バングラデシュのITアウトソーシングに目を向けている。

デジタル・バングラデシュを背景に、バングラデシュをITハブにすべく、政府によるIT等の先端技術の集積地となるハイテクパーク建設が進行中である。ハイテクパークでは、現時点でインド、中国、韓国の製造企業が多く参入している。バングラデシュ政府は、ハイテクパークに日系企業を含む外資企業の誘致を進めており、特に製造企業の参入を期待している。バングラデシュ政府の積極的な取り組みの成果もあり、近年では日本企業のバングラデシュ進出も加速してきており、2018年11月時点では279社の日系企業がバングラデシュ進出を果たしている。(注3)

第1回記事では、バングラデシュの基礎情報やICT市場に関してご説明したが、今回はバングラデシュ最大かつ南アジア最大のソフトウェア展示会「BASIS Soft EXPO」の訪問内容や、弊社が実施したバングラデシュ人材教育プログラム、ならびにバングラデシュに対する今後の取り組み等について紹介する。また、2020年4月7日に開催予定のバングラデシュセミナー・B2Bミーティングについてご案内したい。

2.BASIS Soft EXPOについて

バングラデシュ・ソフトウェア情報サービス協会(BASIS)は、現地のIT企業がビジネスの拡大を目的に、現地企業との商談およびソフトウェア企業の能力を紹介するプラットフォームとして、毎年BASIS Soft EXPOという同国最大のIT関連の展示会を開催している。16回目のSoft EXPOは2月6日~9日までダッカで開催された。今回のSoft EXPOでは約300の出展者が参加しており、来客者数は約20万人。Soft EXPOでは、現地企業によるバンキングシステム、人事システム、e-コマース、アプリ開発、データ・クラウドサービス、会計、農業関連等の様々なソフトウェアソリューションなどが展示されている。同国のIT産業構造はソフトウェアに偏っており、ハードウェア関連のソリューションは少なかった。その他、40以上のセミナーが開催され、バングラデシュICT業界の市場性、将来性、課題および改善等に関する議論が実施されていた。

【図1】BASIS SoftExpo 2020のセミナー会場の様子
【図1】BASIS SoftExpo 2020のセミナー会場の様子

以下、Soft EXPOで展示されていた現地企業のいくつかのサービス内容・ソリューションを紹介したい。

自動翻訳機: スマートツーリズムのツールとして日本でもよく活用されている、ポケトークの中身のアプリはバングラデシュ企業で開発されたという。ポケトークは、インターネット上のAI(人工知能)により、ニュース原稿のような長文も訳すことができる。

小売業向け駐車違反対策ソリューション: 小売業者向けに提供される、店舗利用顧客の駐車違反に対するソリューション。ショッピングモール周辺の路上などの指定の場所以外に駐車した場合、AIでこれを検知し管理者にアラートを発信する。本ソリューションは日本でもすでに利用されているという。

ドアストップヘルスケアサービス: バングラデシュ企業はフィンランド企業と協力し、自宅で診察を希望する患者向けに、医師とコンタクトできるアプリを開発した。本アプリを利用することで患者は訪問医の予約がスムーズになり、移動困難な患者や診療所での待ち行列を避けたい患者に役立つ。かかりつけ医の訪問、薬宅配、救急車の呼び出し、医療検査サービス、患者の自宅からのサンプル収集などが行える。

米国のバンキングシステムをオフショア開発: 米国の150を超える金融機関の明細書管理を支援する会社よりアウトソーシングを受け、バンキングソリューションをバングラデシュ企業が開発している。このソリューションは、多様な銀行文書を管理・統合し、ターゲットを絞ったマーケティング機能、電子プレゼンテーション、アーカイブを提供している。本ソリューションにより、口座名義人の情報、データ変換とデジタル印刷、電子プレゼンテーションとアーカイブ、画像確認、通知、課税所得/利子等の書類、カスタマイズされたターゲットマーケティング、顧客の使用状況に関するレポート等の機能が提供される。

農業関連ソリューション: バングラデシュは農業国であり、Soft EXPOでは農業関連のアプリも複数展示されていた。農業者向けに必要な情報発信、Q&A対応可能な機能を提供するアプリが多く見られた。

バングラデシュ政府および現地IT企業は海外へのアウトソーシング輸出の増加を目指しており、現時点で米国、英国、デンマーク、カナダ、ドイツが主要な輸出先である(注4)。また、Soft EXPOで開催されたセミナー等によると、バングラデシュでは、ビッグデータ分析、サイバーセキュリティ、クラウド等の様々な分野で数々のITスタートアップ企業が躍進しており、直近欧米企業からの投資が増加しているようだ。

その他、韓国サムスンが、バングラデシュ国内の工場でフラッグシップスマートデバイスでもあるGalaxy Note 10+ の製造を行っていることは、同国のモバイルデバイスアセンブリ産業の技術的進歩の証となっている。今後、現地でタブレットを製造する準備を進めているという。(注5)

3.バングラデシュ国内の若手IT労働者とフリーランサー

本節では、バングラデシュ国内のエンジニアがどのような環境にいるのかを見てみたい。

アジア開発銀行(ADB)の調査によると、バングラデシュではCSE(コンピューターサイエンスエンジニアリング)とIT(情報技術)の卒業生の就職率は、国内の就職市場の他の卒業生よりも高くなっている。この調査では、「IT / ITES業界のCSE/IT卒業生に対する需要が強いことが示されており、CSE/IT卒業生の就職率は77.1%と、大学卒業生の就職率全体は40%を大きく上回っている。(注6)

給与面でもCSE/IT卒業生の給与は約52,000タカ(約67,000円)が最も高く、平均給与は38,780タカ(約50,000円)であり、大学全体の平均30,000タカ(約38,000円)より高い。バングラデシュの新卒学生全体を見ると、教育部門で働く卒業生の最高給与は40,000タカ(約51,600円)で最も高く、次にソフトウェア業界、金融機関、ITコンサルタント等が続き、卒業生の全体平均給与は約38,000~40,000タカ(約49,000~51,600円)である。(注6)

就職した卒業生の89.5%は民間部門に、6.2%は政府部門に、2.9%は非政府組織に所属している。 さらに1.5%が自営業者である。就職していない人(22.9%)の約半数が積極的な求職者であり、それらの多くは、低賃金など労働条件の不満のために失業者となっている。(注6)

このような背景もあり、バングラデシュには多くのフリーランサーがいる。Oxford Internet Institute(OII)によると、バングラデシュはすでに世界第2のオンライン労働供給国になっている。 バングラデシュ国内で登録されている65万人のフリーランサーのうち、約50万人のアクティブなフリーランサーが定常的に働いている。 バングラデシュ政府のICT部門によると、それらフリーランサーが年間1億ドルを生み出しているという。(注7)

インドがオンライン労働者の世界最大の供給国であり、世界のフリーランス労働者全体の24%近くを占めている。バングラデシュ(16%)と米国(12%)がそれに続く。 国ごとにフリーランスサービスの焦点が異なっており、現状では技術とソフトウェアの開発はインドのフリーランサーが多く、バングラデシュは販売およびマーケティングサポートサービスに強みを持っている。(注7)

4.バングラデシュICT産業の課題

バングラデシュ政府がハイテクパークを建設するなど、ICTサービス部門を開発するイニシアティブを発揮する一方、低コストの労働力により、(日本では馴染みが薄いかもしれないが)バングラデシュは世界のアウトソーシング市場で重要な役割を果たしつつある。

しかし、いくつかの問題がバングラデシュのこの産業の成長を妨げている。 例えば、電力供給の安定性の欠如は、依然として大きな問題である。ソフトウェア開発のための複雑なコーディングのようなフリーランスの作業には、高レベルの集中力が必要だが、頻繁な停電によってしばしば粉砕されている。

バングラデシュのIT企業は外国企業向けにアウトソーシングサービスを提供しているが、現時点で自国発のソリューションは少なく、顧客の受託開発が中心となっている。ビジネスインフラも未熟で、質の高いインターネットサービスの欠如とブロードバンド価格の上昇は、農村部のフリーランサーにとって大きな問題である。一部の地域ではブロードバンド接続を使用しているにもかかわらず、フリーランサーの仕事には不十分なことも多い。また、外国のクライアントからの支払いを受け取るための簡単な支払いシステムの欠如は、急速に成長しているこの業界にとって問題である。

5.バングラデシュ ICT人材教育プログラム 2019

現地では毎年50万人以上の大学卒業生を輩出しているが、彼らが世界規模で価値を提供できるようにするため、バングラデシュ政府は、高い技術を持ったデジタル人材プールを開発するための複数のイニシアティブを開始している。優秀な人材を選抜したさらなる専用研修プログラムを導入し、1年間だけでも65,000人以上のIT/ITES(情報技術対応サービス)分野の技術者を研修プログラムに参加させている。

日本との関係に目を向けると、技術水準を高めるとともに、日系企業への就職促進や、日本向けオフショア開発等のビジネス拡大を目指している。一方、日本側では今後不足するIT人材の補完として、バングラデシュのリソース活用が期待されている。

上記を踏まえ、富士通総研はバングラデシュ人の高度ICT人材の育成や、バングラデシュに進出する日系企業の支援活動を実施している。2019年9月にバングラデシュ ハイテクパーク庁(以下BHTPA)より、ICT人材教育プログラムを提供する案件を受託し、バングラデッシュ人ICT人材50名を対象に、3か月間の研修プログラムを提供した。

データサイエンスなどの技術研修のほか、日本語教育や日本企業文化に関する内容も併せて研修プログラムに組み込んでいる。研修生は、BHTPAによる選抜試験の上位50名の優秀な人材である。本プログラムは12月に好評のうちに終了した。3か月という短期の滞在にもかかわらず、滞在期間中に日本の企業への就職を決めた研修生もいた。

今後、日本国内のIT人材不足を解決する1つのアプローチとして、人材教育を継続的に実施し、日本の企業の皆様に優秀なバングラデシュ人材の供給をお手伝いしていきたいと考えている。

詳細:バングラデシュ ICT人材教育プログラムの開始について

6.今後の取り組みについて

2018年より、富士通総研はバングラデシュのICT市場の発展に着目し情報収集を行うとともに、バングラデシュのICT市場をテーマに、日本国内で「バングラデシュセミナー」「日本・バングラデシュIT B2Bミーティング」を駐日バングラデシュ大使館、BHTPA、BASISらと協力しながら開催してきた。

今後も引き続きバングラデシュ政府と人材開発に関するコラボレーションのほか、バングラデシュとのビジネスマッチングなどの機会を増やしていく予定である。

また、日本のお客様がオフショア先としてバングラデシュ企業を活用する場合の一貫したサポート、バングラデシュ現地のハイテクパークへの進出や、バングラデシュ進出支援等のお手伝いをしていきたいと考えている。


バングラデシュイベントのご紹介

第2回 バングラデシュICTセミナー・B2Bミーティング(4月7日(火)開催)

2020年4月8日~10日に東京ビッグサイトで開催される「Japan IT Week【春】」に合わせて、バングラデシュ通信省代表団や有力ICT企業15社以上が来日を予定しています。富士通総研では、この機会を捉え、駐日バングラデシュ大使館と共催で、4月7日(火)に、バングラデシュICTセミナーと日系企業とバングラデシュ企業のビジネスマッチング(B2Bミーティング)イベント を開催いたします。

本イベントでは、バングラデシュのICT業界を中心としたセミナーとともに、お申し込み時のアンケートの内容を踏まえ、ご要望に合わせたバングラデシュ企業とのミーティングセッションを設定するほか、ネットワーキングの時間を設け、皆様のビジネス機会獲得を後押しいたします。

バングラデシュの発展性ある市場の開拓を考えている企業の皆様、リーズナブルなオフショア先を求めているIT企業やAR/VR、AI・IoT、ブロックチェーン、アプリ・ソフト開発、データ分析等を活用したい企業の皆様などのご参加をお待ちしております。

本イベントは、日本企業とのビジネスを熱望するバングラデシュ企業と直接お話しいただける貴重な機会です。奮ってご参加ください。

注意事項: 新型コロナウイルス感染症の流行状況等の理由により、本イベントを中止する場合があります。中止となった場合には、ご連絡させていただきます。

詳細・お申し込みはこちら




(参考)第1回 バングラデシュセミナー・B2Bミーティング

富士通総研では、2019年5月に第1回 バングラデシュセミナー・B2Bミーティングを開催。同ビジネスマッチングでは日本とバングラデシュそれぞれの30社が参加した。

【図2】2019年5月に開催された第1回 バングラデシュICTセミナー・B2Bミーティング
【図2】2019年5月に開催された第1回 バングラデシュICTセミナー・B2Bミーティング

注釈

  • (注1):
    World Economic Forum、2019年10月2日
  • (注2):
    バングラデシュICT省資料2019
  • (注3):
    ジェトロ;日系企業進出状況
  • (注4):
    バングラデシュ通信省, Bangladesh Your Next Destination , 2018
  • (注5):
    The Daily Star、2020年2月6日(バングラデシュ新聞)
  • (注6):
    The Daily Star、2019年10月29日(バングラデシュ新聞)
  • (注7):
    World Economic Forum、2019年6月19日
イスラム モハメド マイドル(Islam Md. Mydul)

本記事の執筆者

株式会社富士通総研 流通グループ 
(海外リサーチ、エネルギービジネス 担当)

イスラム モハメド マイドル(Islam Md. Mydul)

 

金融業界にてバングラデシュを中心に、東南アジアでの合弁会社の設立に向け、事業シミュレーション、財務等の各種戦略、海外投資案件の発掘、リスク分析に携わる。バングラデシュでの火力発電所(当時最大規模)に対するプロジェクトファイナンスに従事。
現在、バングラデシュのICT・エネルギー業界を中心に海外リサーチ、国内各種調査や新たなサービスの提案、日系企業の海外進出支援等を実施している。

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