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バングラデシュ市場の魅力

第7回 ICT市場育成と日本からの関心の高まり
~バングラデシュICTオンラインセミナー(2020年8月27日実施)より~

去る2020年8月27日、駐日バングラデシュ大使館と富士通総研が共同開催したオンラインセミナーは好評のうちに終了した。このセミナーを振り返りながら、最新のバングラデシュICT事情について紹介したい。

2020年10月14日

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1.バングラデシュオンラインICTセミナーを振り返る

バングラデシュ市場の魅力と題したシリーズ第1回から第6回で、バングラデシュという国の情勢、ビジネス環境、ICT市場の現状、同国に進出するための基礎知識等について説明した。7回目となる本稿では、筆者らが事務局となり開催したバングラデシュICTオンラインセミナーについて報告したい。

本セミナーはバングラデシュのIT市場の現状とビジネス機会を紹介するセミナーで、COVID-19の影響がある中、オンラインで開催された。駐日バングラデシュ大使館と富士通総研が共催し、国際連合工業開発機関 東京投資・技術移転促進事務所(UNIDO ITPO Tokyo)、バングラデシュ政府 ICTディビジョン、バングラデシュハイテクパーク庁(BHTPA)やバングラデシュ・ソフトウェア情報サービス協会(BASIS)に後援をいただいた。日本時間の午後、バングラデシュ時間の午前に開始したこのオンラインセミナーは、時差の影響も少なく両国から多くの参加者を得た。日本の情報・通信業、サービス業、商社、製造業、ソフト開発、スマートシティに関係する企業を中心に日系企業から140名、バングラデシュ企業から50名以上の方々に参加いただいた。

セミナーでは、10名のパネリストによる講演がなされた。いずれも貴重な情報を得ることができる素晴らしい講演であったが、本稿では残念ながらすべてを紹介することができないため、要約して紹介する。

2.バングラデシュの経済成長とIT業界の展望

基調講演にはバングラデシュ人民共和国 担当大臣であるズナエド アハメド ポロク閣下に登壇いただき、経済成長とバングラデシュのIT産業の展望についてお話いただいた。

ポロク大臣の講演によれば、バングラデシュと日本はバングラデシュの独立以来48年の外交関係にある。バングラデシュと日本は相互信頼と友好的な友情と発展におけるバングラデシュの努力にコミットした活動を特徴とする、非常に重要で効果的かつ安定した関係を一貫して維持している。

バングラデシュ政府はデジタルバングラデシュというビジョンに沿って、主要なサービスの90%をオンラインサービスで提供、インターネット利用者の割合90%、IT/ITESの雇用者数200万人、50億米ドルのICT業界の収益促進の実現といった4つのセクターでの開発を推進している。

バングラデシュは、急成長している国のトップ5に入っており、世界で2番目に高いGDP成長率(8%)を獲得している。COVID-19の影響下でも成長を続け、2020年6月までのGDP成長率は5.24%となった。スタンダードチャータード銀行によると世界的な景気後退にもかかわらず、2020年に成長続けたASEANと南アジアの2つ国のうちの1つである。25歳未満の人口が50%を超えており、1億5700万人を超えるモバイルユーザーが将来性のある革新的なモバイル金融サービス(bKash)を利用している。デジタル化の結果、9千万人を超えるインターネットユーザーが生まれた。

バングラデシュ政府は全国に28のハイテクパークの建設を進めており、約2,100 Gbpsの帯域幅容量、約20,000MWの電力容量、国有のTier4データセンター等のインフラ開発を実施し、ICT分野発展のためのサポートを行っている。

多くのテック企業は、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)、ITサービス、金融サービス、ロボットプロセスオートメーション(RPA)、クラウド、産業用IoTなどで繁栄している。バングラデシュはこれらのIT/ITESサービスを主に米国(27%)、英国(16%)、ドイツ(13%)、カナダ(11%)、オランダ(8%)、日本(7%)に輸出している。輸出サービスの規模は毎年増加し、2017年7億ドル、2018年に8億ドルとなり、2020年には10億ドルを見込んでいる。

Microsoft、WIPRO、SAMSUNG、Tech Mahindraなど多くのグローバル企業はすでにバングラデシュのビジネス機会をつかんでいる。 世界銀行(WB)、アジア開発銀行(ADB)、国連開発計画(UNDP)、HUAWEI、SAMSUNG、Infosysなどの強力な資金提供とパートナーシップにより、バングラデシュIT産業は成長している。

バングラデシュは、輸出志向の収益に対する10%のキャッシュバック、2024年までの利益に対する非課税、ハイテクパークのユーティリティに対する80%のVAT免除、最初の3年間の外国人従業員に対する50%の税控除、顧客などのカスタマイズされた魅力的なインセンティブパッケージ等を提供している。その他、外国投資家への投資支援、ハイテクパークでの事業開始から10年間の70~100%の税控除、株主に対する外国資本の制限なし、利益と資本のための100%の帰国施設、IT/IETS産業のレントに対して100%VAT免除、義務固定資本と資産の無料輸入も存在する。2,500のスタートアップ企業を育成するために、バングラデシュ政府は4,500万ドルを出資している。ヘルスケア、エデュテック、フィンテック、グリーンテック、輸送、インフラ、製造、バイオテクノロジー、ロボット工学、およびその他多くの適切な分野の外国人投資家をバングラデシュ政府は歓迎する。

さらにポロク大臣は、政府の支援、インフラ開発、アジア諸国の主要都市と比較して低いセットアップおよび運用コスト、50億ドルの市場(ICT 支出は10億ドルで、2025年までに50億ドルに達すると予想されている)、大規模な人材プールとイノベーションエコシステム(総人口の50%以上が25歳未満)等の理由で、投資家にとって魅力的であると述べた。

図1:ポロク大臣による基調講演より「バングラデシュに投資すべき理由」
【図1】ポロク大臣による基調講演より「バングラデシュに投資すべき理由」

バングラデシュ政府のICTディビジョンは、COVID-19後のバングラデシュの社会経済インフラをサポートするためのロードマップを計画し、さらに公共サービスイノベーション、ICT産業とスタートアップ企業の開発、健康、農業、教育セクターの開発、社会保護、経済開発についても計画しているという。

3.ハイテクパークへの投資機会と富士通総研とのIT人材育成プログラム

バングラデシュハイテクパーク庁(BHTPA)長官であるホスネ アラ ベグム氏の講演ではハイテクパークへの投資機会を中心に富士通総研とのIT人材育成プログラムについてスピーチをいただいた。

バングラデシュ政府は全国で28のハイテクパークを開発しており、最近ではITインキュベータとトレーニングセンター開発のため11のエリアを選定した。これらのITインフラを開発することにより、ビジネス、アカデミーとIT業界のギャップを緩和しようとしている。

バングラデシュ政府は、事業者フレンドリーなワンストップサービスを開発し、ワンストップサービスには、ビジネス提案の提出、登録、ライセンス承認など、特に外国投資家向けに様々なサポートを提供している。外国投資家向けに36エーカーの専用土地確保しており、ハイテクパークにすでに事業用地を確保している日系企業も複数ある。

デジタルバングラデシュの目標に向けて、熟練技能育成は重要なポイントであり、ハイテクパーク庁は富士通総研とIT人材育成に関する覚書を締結している。人材育成プログラムに向けて選抜試験で200人の若者が選出されており、昨年最初の50人に対してプログラムを実施したが、今後も人材育成に力を入れていくと長官は述べている。

4.バングラデシュICTセクターへの日本の支援

日本から、バングラデシュへの支援活動も継続している。特にICTセクターに焦点を当て、民間セクターとのパートナーシップに関するJICAの支援について、JICAの山部聖子氏より講演をいただいた。

バングラデシュに対するJICAの援助政策には、経済成長の加速と社会的脆弱性の克服という2つの部分がある。経済成長を加速させるために、公共部門の開発は重要な役割の1つである。JICAは過去10年間、バングラデシュのインフラおよび経済開発への貢献を続けてきた。新規貸付の規模は急速に拡大しており、2019年度にはバングラデシュ向けの円借款は国別で2番目の規模(2,758億円)となった。技術協力も年間30〜40億円規模で実施しているという。

JICAはICTセクター開発のためにFDIの促進、スキル開発、裾野産業の育成等に取り組んでいる。日本にはビジネス機会はあるが、ICT人材の深刻な不足している。一方、バングラデシュには膨大な労働人口はあるが、雇用機会は少ない。両方を補完することができる。2030年までに、日本のIT技術者不足が発生し、JICAはバングラデシュのIT人材の育成と日本市場でのこれらの人材供給で成功を収めている。

代表例としてバングラデシュコンピュータカウンシル(BCC)の協力を得て同国で運営しているB-JETプログラムがある。このプログラムは、JICAが専門家を派遣し、日本語、ビジネスマナー、ICTスキル(ITEEを含む)のクラスを提供、B-JETの卒業生は日本のICT企業に就職し、宮崎大学で追加の日本語クラスの機会を得て、日本のICT企業のインターンシップに参加し、宮崎市で就職している。卒業生は、日本企業と提携しているバングラデシュ企業にも就職している。3年間で、プロジェクトB-JETプログラムは280人の研修生を訓練した。そのうち174人が日本で就職している。

将来的に、B-JETプロジェクトの民間移転、B-JETの研修生の雇用企業の増加、プロジェクトに協力する自治体や大学の拡大、バングラデシュでのITEE資格取得促進など、将来の計画を立てているという。

5.日本企業のバングラデシュICTへの関心の高まり

日本貿易振興機構(JETRO)ダッカ事務所の安藤 裕二氏の講演ではバングラデシュのITセクター環境と日本企業のバングラデシュ市場に対する関心について示された。 日本企業のバングラデシュ市場への参入意欲は高まっている。ダッカ日本商工会議所(JCIAD)は、2018年に分科会を発足させている。現在ある分科会は①RMG繊維分科会(26社)、②プロジェクト委員会・ODAプロジェクト分科会(23社)、③ものづくり分科会/ものづくり分科会(13社)、④国内向けサービス・社内販売分科会・分科会(19社)であるが、直近同国でIT企業が多くなり、次に設立される分科会はIT分野にする見込みという。

図2:バングラデシュ進出する日系企業数
図2:バングラデシュ進出する日系企業数

また、講演では今後の課題についても言及されている。ベンチャーキャピタル(国内融資)、インキュベータ、アクセラレータの拡大は、ICTスタートアップ育成には欠かせない。ダッカ以外の都市への展開も物流網など課題は多い。またラストマイルアクセス、スマートフォン浸透など、地方へのICT普及率は約30%と低い事などが指摘されている。都市部との格差を埋めてより魅力的な市場に育てる必要があるだろう。

6.セミナーを終えて

コロナ禍の中ではあるものの、本セミナーに参加した方々よりセミナー後も多くの問い合わせをいただいており、筆者らのチームはバングラデシュICT市場への関心の高まりを肌で感じている。昨年実施した日系企業とバングラデシュ企業のB2Bマッチングイベントも本年度はオンラインで実施できないか検討している。

バングラデシュ企業は潜在力を持って日本市場に参入しようとしている。一方、日本市場は、日本の持続可能なIT産業を維持するため、多くの労働力と海外事業展開が必要である。このWin-Winの補完的コラボレーションに焦点を当て、我々はノウハウや経験をコンサルティングという形で提供しつつ、バングラデシュ政府との協力関係の構築に取り組んでいる。COVID-19の影響で海外との往来ができなくなっていたが、日本人、バングラデシュ人とも制約はあっても順次往来が可能になっていく見通しの中、引き続きバングラデシュに関心を持つ人々に役立つサービスを提供していきたいと考えている。

イスラム モハメド マイドル(Islam Md. Mydul)

本記事の執筆者

株式会社富士通総研 流通グループ 
(海外リサーチ、エネルギービジネス 担当)

イスラム モハメド マイドル(Islam Md. Mydul)

 

金融業界にてバングラデシュを中心に、東南アジアでの合弁会社の設立に向け、事業シミュレーション、財務等の各種戦略、海外投資案件の発掘、リスク分析に携わる。バングラデシュでの火力発電所(当時最大規模)に対するプロジェクトファイナンスに従事。
現在、バングラデシュのICT・エネルギー業界を中心に海外リサーチ、国内各種調査や新たなサービスの提案、日系企業の海外進出支援等を実施している。

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