GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. ナレッジ >
  3. オピニオン >
  4. バングラデシュ市場の魅力 第3回 ICT業界を中心としたバングラデシュセミナー開催報告

入力不要

バングラデシュ市場の魅力

第3回 ICT業界を中心としたバングラデシュセミナー開催報告

バングラデシュ大使館と富士通総研が共同開催し、特命全権大使ラバブ・ファティマ閣下に基調講演をいただいたセミナーの結果を報告する。

2019年2月19日

opinion2018-10-2_1280-800

1.バングラデシュセミナーを振り返る

第1回は、バングラデシュという国の情勢、ビジネス環境、第2回はバングラデシュのICT市場について説明した。3回目となる本稿では、先日(2019年1月25日)筆者らが事務局となり開催したバングラデシュセミナーについて報告したい。

本セミナーはバングラデシュのICT業界を中心としたバングラデシュの経済および社会発展に関するセミナーで、富士通総研の大会議室で開催された。駐日バングラデシュ大使館と富士通総研が共同で開催し、国際連合工業開発機関 東京投資・技術移転促進事務所(UNIDO ITPO Tokyo)やバングラデシュ・ソフトウェア情報サービス協会(BASIS)に後援をいただいた。セミナーには、日本のエネルギー・インフラ、商社、ソフト開発、金融、スマートシティ関連の企業を中心に100名以上の方々にお集まりいただいた。

まず、バングラデシュ人民共和国特命全権大使であるラバブ・ファティマ閣下より「バングラデシュのマクロ経済発展とバングラデシュのIT部門の見通し」に関する基調講演が行われた。続いて、国際協力機構(JICA)の担当者である高橋暁人氏より「民間セクター開発の分野を中心としたバングラデシュにおけるJICAの取り組み」、バングラデシュ・ソフトウェア情報サービス協会(BASIS)元会長のマハブーブ・ザマン氏より「インダストリアルレボリューション4.0: 日本・バングラデシュICTコラボレーション」という講演があり、加えて富士通総研より中谷仁久、イスラム マイドルが「アジア諸国の市場動向」および「バングラデシュICT市場動向」についてプレゼンテーションを行った。



(1)マクロ経済発展とIT部門の見通し

ラバブ・ファティマ閣下からは、バングラデシュのマクロ経済発展とバングラデシュのIT部門の見通しについて基調講演をいただいた。

バングラデシュは、1971年にパキスタンから独立した。その後47年にわたって、識字率、平均寿命、世界における女性エンパワーメント総合順位等に示されるような社会発展や、GDP成長率、外資準備高等に示されるような経済発展を遂げてきた。同時に国内エネルギー、インフラが開発され、教育、海外での就労人口等も継続的に発展している。

直近10年間、バングラデシュの経済と社会発展は継続し、GDP成長率が安定的に6%以上、1人あたりのGDP、輸出額、外資準備高、総発電容量、総発電所、平均寿命(年齢)のKPIにその進捗が見える。

世界銀行(WB)の国分類によると、バングラデシュは2015年に低所得国から低中所得国に移行した。バングラデシュ政府は、ビジョン2021で中所得国、ビジョン2041で先進国への移行を目指している。

ビジョン2021の1つの重要な政策がデジタルバングラデシュであり、2021年までに生活に関わるすべてのデジタル化を実現することを推進している。IT分野の成長を通じて、国民へのデジタルアクセス提供、ビジネス新興、人的資源開発等の戦略を掲げている。

バングラデシュにとって日本は重要な開発パートナーであり、現在、同国にとって最大の2か国間開発パートナーとなっている。バングラデシュ独立後、日本は 1972年2月10日に(OECD諸国で初めて)同国を承認し、経済協力関係を中心に友好関係が発展した歴史があり、それを背景にバングラデシュでは極めて親日的な国民性を継続している。2014年に包括的パートナーシップがスタートした。日本は5年間で6,000億円のインフラプロジェクトによる援助を発表し、2014年9月には安倍晋三首相がバングラデシュを訪問した。

現在、マタバリ火力発電、港湾開発プロジェクト、ダッカ都市高速鉄道(MRT)開発プロジェクトをはじめ、同国にとって様々な重要なプロジェクトが進行中である。2か国間での貿易も順調に成長している。日本の投資家にとっては通信、エネルギー、電力、港湾、経済地区といったバングラデシュのインフラや、グローバルバリューチェーンをサポートする製造業、IT & ITアウトソーシング、 BPO、 ロジスティクス、ヘルスケア等がビジネスチャンスとなっている。

最近では2019年1月、茂木敏充 経済財政政策担当大臣がバングラデシュを訪問し、シェイクハシナ首相への表敬訪問の際にIT分野におけるコラボレーションについて会談し、バングラデシュ進出日系IT企業やB-JETプログラム(日本語、IT、ビジネスマナー等を3か月間で集中的に研修するプログラム)を視察した。

[図1]ラバブ・ファティマ閣下による基調講演
【図1】ラバブ・ファティマ閣下による基調講演



(2)JICA事業の概況と取り組み

国際協力機構(JICA)の高橋 暁人氏より、「バングラデシュ基礎情報およびJICA事業の概況」、「FDIの促進および日本企業の進出拠点整備に係るJICAの取り組み」ならびに「ICTセクターにおけるJICAの取り組み」に関して講演をいただいた。

高橋氏は、「バングラデシュは経済成長における Ignition Pointに到達し、成長は加速化の様相であり、今後も高い経済成長性が期待できる」との認識を示した。日本の対バングラデシュ協力の意義として、以下の5点を述べた。

  • 独立以来の良好な二国間関係
  • 南アジアと東南アジアの結節点に位置する地政学的重要性、地域の安定と発展に向けた役割
  • SDGs達成への貢献
  • 国際社会での存在感(LDCの代表的存在)
  • 豊富な労働力と将来性の高い市場、日本企業の関心

持続可能な経済成長の実現と貧困からの脱却による中所得国化の実現の支援として、JICAは同国民間セクターの開発に注目しており、主要政府機関と対話を重ね、5か年計画等の今後の経済成長や産業振興に関する同国政府の政策策定に向けてノウハウサポートを提供している。今後の有望産業の1つと考えられるICT産業の人材育成を支援していくと述べた。

また、日本企業向け経済特区の開発に向け、円借款および技術協力を通して特区開発支援を実施し、日本企業の投資促進および同国産業の多角化を促進の方針とした。



(3)バングラデシュのソフトウェア情報サービス

バングラデシュ・ソフトウェア情報サービス協会(BASIS)元会長 マハブーブ・ザマン氏からはバングラデシュのソフトウェア産業の状況を紹介していただいた。

現在、BASISに登録しているバングラデシュのIT企業は1,000社以上であり、IT産業の輸出額は1億2,000万USドルとなっている。バングラデシュの主なITサービスの輸出先が中国、インド、韓国となっているのに対して、日本はまだまだであり、今後注目していきたい。BASISは、日本市場をフォーカスし、キャパシティビルディング(能力構築)のため以下のような取り組みが進行中である。

  • 産業レベルのインターンシッププログラム(6か月間)
  • 先輩プロジェクトマネージャーによる丁寧なメンター制度
  • プロジェクトライフサイクル(BRD, SRS, アーキテクチャー、コーディング、テスティング)のあらゆる面に従事
  • 実際のクライアントプロジェクトに関与
  • 日々のルーティーンオペレーションや産業のカルチャーの理解(タイムマネジメント、エフォートログ、レポート、プレゼンテーション)
  • エントリーレベルの支払いおよび他の設備
  • 新たなテクノロジーを反映すべく、カリキュラムのアップグレード
  • 大学との連携による新たなスキル獲得プログラム

また、キャパシティビルディングに向け、先端テクノロジーにも取り組んでいる。コネクテッドカー、高齢者向けヘルスケア、農村部のライフスタイル(農場およびレストラン)といったIoTへの取り組みのほか、仮想現実(VR)、拡張現実 (AR)や、ロボティクス、人工知能(AI)、ビックデータ分析およびデータサイエンス等が代表例である。

[図2]バングラデシュ・ソフトウェア情報サービス協会(BASIS)元会長マハブーブ・ザマン氏
【図2】バングラデシュ・ソフトウェア情報サービス協会(BASIS)
元会長 マハブーブ・ザマン氏



(4)東南アジア諸国との比較

富士通総研からの情報提供としてクロスインダストリーグループの中谷 仁久より、東南アジア諸国と比較したバングラデシュの位置づけについて解説した。

バングラデシュの過去10年間のGDP成長率は他の新興国と比べ安定的に6%程度を維持しており、1人あたりのGDPが2018年時点で1,670ドルとなった。HSBC によるとGDPベースでの世界経済規模は現在42位だが、2030年の予想では26位に位置づけられている。バングラデシュの平均年齢は25歳と、若者の多い国である。今後40年にわたり豊富な労働力が確保される人口ボーナス期となる。

市場としてのバングラデシュのポテンシャルは高いものの、今後、経済発展とともにODAインフラ整備主導から外資FDI工業化促進は必要である。現在、日本政府からのODA(円借款遷移)はインドの次にバングラデシュが多い。バングラデシュの重点政策として、経済成長、エネルギー開発、インフラ整備、ハイテク産業への転換、道路・鉄道整備、水・ゴミ処理の改善、IT人材教育、スマート農業等が挙げられていると述べた。

バングラデシュの情報産業市場規模はアジア諸国と比較して低いが、人口ボーナス、IT人材教育等により、今後の成長が期待できる。また、バングラデシュは、人口に対する電力消費量が低いことに表れているとおり、電力等の基礎インフラの整備が急務である。経済発展とともに電力需要が増加しており、2010年以降、総発電量が急増。政府の電力マスタープランによると、需要の増加(2041年まで5万MWを目標とする( 2017年時点13,555MW ))により、総発電量は今後とも成長が見込まれている。



(5)バングラデシュ市場のICT市場の可能性

本連載と重複する部分もあるが、バングラデシュのICT市場について、筆者も解説を行った。

主要開発パートナーとして、世界銀行(WB)、アジア開発銀行(ADB)、独立行政法人国際協力機構(JICA)といった国際協力機関があるが、直近3年における開発援助プロジェクトの大半は成長が期待できる電力、交通、鉄道や情報システム関連のプロジェクトとなっている。

ローカルICT支出額は2017年時点で10億ドル、2025年には50億ドルに達し、そのうち公共セクターが75%と予測されている。公共セクターでは、スマートグリッド、デジタルコネクティビティ、スマートシティ等への支出額が多く、また鉄道デジタル化などインフラ全般でのICT改革が進む。民間セクターでは、金融、テレコムならびに産業分野を中心に成長すると予測されている。

[図3]セミナーで解説する筆者
【図3】セミナーで解説する筆者

2.今後の展開

本セミナーの参加者アンケートによると、現時点では特にエネルギー・インフラや商社関連の企業の方にバングラデシュへの関心が高く、ICT業界では、ソフト開発・オフショア開発、セキュリティ、スマートシティ、e-コマース等の特定分野でバングラデシュへの関心が高いようだ。

本記事執筆時点で、「バングラデシュ進出情報収集プログラム」や調査レポートへの関心やお問い合わせを多くいただいており、順次ご案内をさせていただいているところである。また、バングラデシュについての勉強会等のリクエストもいただいており、筆者としてはバングラデシュに関心をいただいている皆様に役立つサービスをご提供できるよう、検討を進めたいと考えている。

【バングラデシュ進出情報収集プログラム(視察ツアー)について】
日本国内で流通するバングラデシュ情報・リソースはまだ不十分です。バングラデシュは多くの日系企業にとってまだ馴染みの薄い国であり、新たな市場として未開拓となっています。そこで、このアグレッシブに成長する国を視察する「特別限定プログラム」を企画しました。
PDFバングラデシュ進出情報収集プログラム

イスラム モハメド マイドル(Islam Md. Mydul)

本記事の執筆者

株式会社富士通総研 クロスインダストリーグループ  (海外リサーチ、エネルギービジネス 担当)

イスラム モハメド マイドル(Islam Md. Mydul)

 

金融業界にてバングラデシュを中心に、東南アジアでの合弁会社の設立に向け、事業シミュレーション、財務等の各種戦略、海外投資案件の発掘、リスク分析に携わる。バングラデシュでの火力発電所(当時最大規模)に対するプロジェクトファイナンスに従事。
現在、エネルギー業界を中心に海外リサーチ、国内各種調査や新たなサービスの提案等を実施している。

お客様総合窓口

入力フォーム

当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。