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患者の自己決定権の尊重と尊厳の確保を目的に、事前に患者や家族、医療従事者間で終末期の治療やケアの方針について話し合い(Advance Care Planning:ACP)、生命維持治療の可否について事前指示(Advance Directive:AD)を行うための取組みが国内外の行政機関や医療機関、介護施設で行われている。
日本でも2018年に実施された終末期医療のガイドライン改定や診療報酬・介護報酬の同時改定においてACPに関連した改定が行われ、一部の医療機関や介護施設において事前指示書(AD書)を作成する人も増えてきた。一方、ACP・ADに関する具体的・包括的な枠組みが社会的に整ったとは言い難い現状にある。その理由として、作成されたAD書に法的拘束力がないため本人の意思に反した治療が行われる危険性があることや、意思決定支援のための十分な環境整備が行われていないこと、作成されたAD書の情報共有が行われていないことが挙げられる。
本稿では諸外国における政策動向の整理・比較から、我が国の終末期医療政策の課題抽出を行った後、1. 事前指示関連法の制定、2. ACPの実施機関の指定と地域のボランティアの活用、3. ACP・ADに関する情報共有システムの構築について考察を行う。
「終末期の医療・ケアに関する事前指示と意思決定支援(上)」『地方財務(2019年9月号)』
「終末期の医療・ケアに関する事前指示と意思決定支援(下)」『地方財務(2019年10月号)』
本記事の執筆者
コンサルティング本部 行政経営グループ
森川岳大(もりかわ たけひろ)
2017年東京都市大学工学部医用工学科卒業、2019年北海道大学公共政策大学院修了、同年富士通総研入社。兼務として北海道大学公共政策学研究センター研究員。専門は医療・介護政策
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