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【シリーズ】2018年の災害を振り返る(1)

プロローグ -危機の常態化-

2018年の災害対応を4回シリーズで振り返ります。第1回は プロローグとして2018年の災害対応の特徴を整理し、続く3回の概要を紹介します。危機が常態化していくことが想定 される「平成」後の時代に何を考え、何を備えるべきでしょうか。

2018年12月27日

opinion2018-12-3

今年も残すところあとわずかとなりました。今年の漢字として「災」が選ばれたことが象徴しているように、「平成」の終わりも近づいている今年は近年稀に見る災害の多い年となりました。振り返ると「平成」は1995年の阪神・淡路大震災を契機に国を挙げて災害対策の強化に取り組んだ時代でした。それでも2011年の東日本大震災で私たちは多くの“想定外”という困難に直面することとなり、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大規模災害に備えるべく試行錯誤してきました。

そのような中で今年の災害は私たちの取り組みがまだまだ途上であることを実感させるものであったという印象を持ちます。

6月に発生した大阪北部地震は、東日本大震災以降巨大都市圏が被災した初のケースでした。東日本大震災では首都圏の最大震度5強ですが、それを超える最大震度6弱を観測しました。地震発生当日には、大阪府を中心に長時間にわたり、多くの交通機関が停止しました。特徴としては、朝7時58分という、多くの人の出勤時間帯に発生した点があげられます。多くの方が出勤途中で移動手段を失った状況で、出社するか、帰宅するかの判断に迷われている様子がみられました。今後、企業はさまざまな時間帯における災害を想定した従業員の安全確保に向けたルール整備が必要と感じた瞬間でした。

7月には平成に入って最大規模の被害をもたらした豪雨災害となった西日本豪雨(平成30年7月豪雨)が発生しました。西日本を中心に広い範囲にわたる土砂崩れや河川の氾濫により、被害が多発的に起き、道路や鉄道が寸断されたほか、浸水や断水により多くの医療機関が機能不全に陥りました。内閣府によると住宅や交通インフラの直接的被害だけで最大1兆7千億円に上るとの推計も発表されました。西日本豪雨の特徴としては、治水想定を超える雨量だっただけでなく、11府県が同時に被災するという、異例の広域災害であった点があげられます。この“想定外”の事態に対応するためには、現状の応援の枠組みだけでは十分でなく、広域災害に立ち向かうための新たな取り組みが必要であることは明白です。

9月に25年ぶりに「非常に強い」勢力のまま上陸した台風21号は近畿地方を中心に猛威を振るい、記録的な暴風と高潮により大阪都市部に被害をもたらしたほか、沿岸の空港や港湾も機能不全に追い込まれることとなりました。関西国際空港では、50年に一度に相当する高波が発生しても波が侵入しないように護岸の設置、かさ上げがされていました。しかし、今回は「予想を超える高波」により浸水し、少なくとも東京ドーム1杯分の125万立方メートルの水量が流入しました。この“想定外”の事態は、コンセッション(公共施設の運営権の民間への売却)により“所有は官、運営は民”となっていた関西国際空港の被災時の責任分担が十分でなかったことを関係者に気付かせるものであり、ほかの沿岸部の空港でも想定外の事態を含めて具体的に災害対策を見直す動きにつながっています。

そして、台風21号が過ぎ去る間もなく、9月の同じ週に北海道胆振東部地震が発生します。2016年の熊本地震以来観測史上6回目となる震度7を記録するとともに、国内史上初となる「ブラックアウト」により、北海道管内全域で長時間にわたる停電が発生しました。この大規模停電は北海道の都市機能をマヒさせただけでなく、道内の376病院が影響を受け、医療サービスの一部が提供できなかったほか、患者の受け入れができなかったケースも発生しました。この全域停電を受け、道内の災害拠点病院の多くは、非常電源施設や事業継続計画(BCP)を見直す動きにあるようです。

このように今年の災害は、阪神・淡路大震災、東日本大震災を経験して学んだ私たちに、想定を超える事態に対して自らがいかにに脆弱であるかをあらためて認識させる出来事でした。これら今年の災害を、事業継続・防災の専門家でもある弊社のコンサルタントが、テーマ別に振り返り、「平成」後の時代に何を考えるべきかを以下3つのテーマで考察します。

1.2018年の災害を受けて重要インフラの機能確保に向けて

1回目は、私たちの命や生活を守るための重要インフラの機能確保に関する国の動向と機能保証としての事業継続のあり方について述べます。政府は、今年の相次ぐ災害を受けて、電力施設や空港、病院などの重要インフラの緊急点検を実施しました。さらにソフト面の課題として、既存の事業継続戦略やBCPをどのように見直していくべきか、さらには需要家視点で、それでも重要インフラの機能確保が出来ない事態にどうあるべきか、について考察します。

2.人命を守る災害拠点病院の機能確保

2回目は、病院などの医療機関のBCPのあり方について述べます。厚生労働省では、今年の自然災害の多発に先んじて、災害拠点病院に対して2019年3月までにBCPを策定するよう義務付けています。西日本豪雨での浸水、断水や北海道地震での大規模停電をも踏まえて、災害拠点病院などの人命を守るために機能確保する必要がある医療機関のBCPはどうあるべきか、について考察します。

3.2018年の災害から考える大都市被災時の危機管理

3回目となる最後は、大都市を襲う自然災害にいかに備えるべきかについて述べます。大阪北部地震や台風21号などのように近年は大都市が被害を受ける災害が増えています。大都市では、途方もない数の人々が毎朝出勤し、日中は内勤や外勤をこなした後に交通機関を利用して帰宅します。この途方もない人の集中と流れは、想定外のリスクの要因になります。東日本大震災の時には首都圏で500万人が帰宅困難者となりました。大都市の自治体ではこれを教訓に取り組みを進めていますが、それでも今年大都市を襲った災害を通じて新たな課題が見えてきました。これらの新たな課題に備えるための対策について考察します。

fujimoto

本記事の執筆者

コンサルティング本部 ビジネスレジリエンスグループ
グループ長

藤本 健(ふじもと たける)

 

1996年富士通株式会社入社後、コーポレート部門を経てコンサルティング部門に異動、2007年より株式会社富士通総研。主な専門はリスクマネジメント・危機管理。電力・ガスシステム改革のIT対応にも従事。近年は、事業継続やサイバーセキュリティに関するコンサルティング活動に注力している。

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