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  4. バングラデシュ市場の魅力 第1回 バングラデシュとはどのような国か

バングラデシュ市場の魅力 第1回 バングラデシュとはどのような国か

バングラデシュ市場の魅力

第1回 バングラデシュとはどのような国か

近年、多様な分野でビジネスアライアンスが進み、日系企業が東南アジア市場へ参入・事業拡大する例が増えた。日系企業が未開拓のバングラデシュ市場について、その現状・魅力を探る。

2018年11月22日

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1.背景

少子高齢化による人口動態の変化、低金利の長期化など、国内市場環境は厳しさを増している。このような市場背景のもと、海外市場への参入または事業の拡大が日系企業の大きなビジネスチャンスとなっている。一方、現在成長率が高い新興国にとってはインフラの発展と、そのための資金調達が重要な課題となっている。日系企業が持つ高い技術力・ノウハウは新興国のインフラ発展の力になり、ひいては日本経済の発展につながるのである。

近年、電子・電機・自動車・航空機等の製造業、流通・サービス産業等、多くの分野でビジネスアライアンスが進展し、日系企業が東南アジア市場へ参入・事業拡大する事例が多く見られるようになった。その結果、一部の国では他の外資系企業、現地企業、場合によっては日系企業同士の競争が激しくなりつつある。そこで本稿では、東南アジアから少し足を伸ばし、多くの日系企業が新たな市場としてまだ開拓していない国であり、筆者の出身国でもあるバングラデシュ市場の現状・魅力を説明したい。

2.基礎情報・他国との比較

バングラデシュは、南アジアにある。北と東西の三方はインド、南東部はミャンマーと国境を接する。南アジアと東南アジア・中国の架け橋となる位置にあり、地理的な重要性を持っている国である。

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【図1】バングラデシュの位置と国内地図(注1)

バングラデシュは1971年にパキスタンから独立した。総人口は約1億6千万人で日本の約1.3倍、国土面積は14.4万平方キロメートルで日本の約4割という、世界で最も人口密度の高い(約1,252人/km²)国である。首都ダッカには総人口の1割が集中し、世界で最も人口密度が高い都市となっている。宗教的にはマレーシアと同じくイスラム教徒(89.5%)が多い。

過去10年間のGDP成長率は他の新興国と比べ安定的に6%程度を維持しており、1人あたりのGDPが2018年時点で1,670ドル(2009年:703ドル)となった(注2)。HSBC によるとGDPベースでの世界経済規模は現在42位だが、2030年の予想では26位に位置づけられている(注3)。2017年時点の名目GDPは2,500億ドルとなっており、ベトナムの2,240億ドルを上回っている。また、GDPのうち約7割が民間消費による経済構成となっている(注4)。バングラデシュの外貨準備高は32,283百万ドルでアジアの中でも外貨準備高が上位の国であり、為替はアジアの中で最も安定的である。経済収支も1,381百万ドル(2016年時点)で、アジアで高水準であり、近年着目されているミャンマーの▲3,789百万ドル(2016年)と比較しても、輸出が好調である(注5)

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【図2】アジア主要国のGDP成長率推移(注4)

バングラデシュの平均年齢は25歳と、若者の多い国である。今後40年にわたり豊富な労働力が確保される人口ボーナス期となる(注6)

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【図3】バングラデシュの人口ピラミッド(注7)

3.バングラデシュに対するFDA

バングラデシュに対する海外直接投資(FDA)は他の新興国と比較して僅少である。英国・韓国・シンガポールなどによる製造業・インフラ関連への投資が大きいものの、日本からの投資はまだまだ少ないのが現状である。バングラデシュ政府にとっては海外からの投資促進が課題となっている(注6)。

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【図4】直接投資フローと直接投資ストックの他国比較(GDP比%)(2016年)(注7)

4.都市開発のトレンド・ビジネス機会

主要開発パートナーとして、世界銀行(WB)、アジア開発銀行(ADB)、独立行政法人国際協力機構(JICA)の国際協力機関があるが、直近3年における開発援助プロジェクトの大半は成長が期待できる電力、交通、鉄道や情報システム関連のプロジェクトとなっている(注5)

その他、以下の分野で今後成長が期待できる(注5)
I.農林水産業:養殖、沖合漁業、酪農、近郊農業、ジュート(加工)等
II.製造業:食品加工、軽工業、縫製、自動車、バイク、造船等
III.サービス業:ソフト開発、ITアウトソーシング、 e-コマース、金融・決済、リース、小売、配送、教育、医療、マーケティング、人材派遣、再生エネルギー、防災等

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【図5】国際協力機関における開発援助プロジェクトのトレンド(注9)

5.日系企業進出動向

日系企業にとってまだ馴染みの薄いバングラデシュに関する情報・リソースは不十分である。そのため東南アジア等と比較して注目されていなかったが、過去8年で同国進出日本企業数は約3倍増(82(2009年)→260社(2017年))となった(注7)。そのうち80%は中小企業である。また、対日貿易も成長している(注5)。バングラデシュは親日度も高く、成長する新興市場として、今後日系企業に注目される国である。また、バングラデシュ政府は電力、交通、電鉄、電子政府等、様々なインフラプロジェクトを進行中であり、日系企業にとって、日本のODA関連プロジェクトだけでなく、世界銀行やアジア銀行、政府主導のプロジェクトもビジネス機会となっている。

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【図6】対日貿易の推移(注1)

6.ビジネスリスクと可能性

バングラデシュでのビジネス課題として、電力・エネルギー不足、交通等インフラの未整備、高関税、政治上の問題などがしばしば挙げられている。一方、新興国市場は日本以外の外国との競争でもある。一大消費市場、中でも所得水準が向上する中間層の購買力、中期的に期待できるアジア最低賃金の豊富な労働力等により今後成長する新興市場として外資企業に注目されている。

特に労働力については政府による大規模な若手スキルアッププログラムが実施されており、このプログラムを受けた大学卒業生が年間40万人以上供給されている(注8)。一部の優秀な学生は米国や欧州、日本の大学に進学・留学しており、IT分野ではシリコンバレーで起業する者もいる。

7.おわりに

バングラデシュへのビジネス展開・進出を考えたとき、インフラの未整備など、様々なリスクが存在している。しかし一方で、一大消費市場に成長することは他国の事例を見ても明らかである。

すでに欧米、韓国、中国、インド等の企業が様々の分野でビジネス進めている。日系企業も同国の市場ニーズを把握しながら、速やかにビジネスを検討し、他国企業に市場を取られる前にアプローチすべきと考える。

【バングラデシュリサーチプログラム】
バングラデシュへの進出またはインバウンド市場を検討している企業様向けに、調査・コンサルティングを提供しております。また、現地の政府機関や民間企業など、通常ではアプローチしにくい視察先を訪問する団体ツアー型のプログラムも企画しております。詳細については以下のリンクをご覧ください。
PDFバングラデシュ進出情報収集プログラム

注釈

  • (注1):
    JETRO資料
  • (注2):
    バングラデシュ中央銀行、バングラデシュ財務省,バングラデシュ統計局
  • (注3):
    HSBC ESTIMATES AND PROJECTIONS 2018
  • (注4):
    世界銀行データ
  • (注5):
    バングラデシュにおけるJICAの取組、バングラデシュの経済、ビジネス、課題(JETRO)
  • (注6):
    バングラデシュにおけるJICAの取組、アジア開発銀行
  • (注7):
    バングラデシュにおけるJICAの取組
  • (注8):
    バングラデシュ通信省, “Bangladesh Your Next Destination”
  • (注9):
    WB、ADB、JICAホームページ情報をもとに作成
  • (注10):
    JICA資料
イスラム モハメド マイドル(Islam Md. Mydul)

本記事の執筆者

株式会社富士通総研 クロスインダストリーグループ  (海外リサーチ、エネルギービジネス 担当)

イスラム モハメド マイドル(Islam Md. Mydul)

 

金融業界にてバングラデシュを中心に、東南アジアでの合弁会社の設立に向け、事業シミュレーション、財務等の各種戦略、海外投資案件の発掘、リスク分析に携わる。バングラデシュでの火力発電所(当時最大規模)に対するプロジェクトファイナンスに従事。
現在、エネルギー業界を中心に海外リサーチ、国内各種調査や新たなサービスの提案等を実施している。

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