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  4. RPAがもたらす未来―RPAの普及の背景と導入のポイントから今後の展望を考察する―

RPAがもたらす未来―RPAの普及の背景と導入のポイントから今後の展望を考察する―

RPAがもたらす未来

―RPAの普及の背景と導入のポイントから今後の展望を考察する―

脚光を浴びるRPA。「働き方改革」以外にも潜在ニーズに応えたことが躍進の背景にあると考えられます。「業務の合理化」だけでない効果や影響からデジタルトランスフォーメーションの将来像を考察します。

2018年11月12日

opinion-2018-11-1

1.概要

昨今、RPA(Robotic Process Automation)が脚光を浴び、民間企業だけでなく公共機関にも急速に広がりつつあります。導入する企業が増加し続ける理由は、「働き方改革」や「労働力の不足」以外に、これまで構築・提供されてきた情報システムでは充足できなかったユーザーの潜在的なニーズに応えたことが大きな要因として考えられます。

本稿では、RPAが躍進している背景と導入時のポイントを整理し、潜在的なユーザーニーズに関する仮説に基づき、単純な「業務の合理化」だけでないRPAがもたらす効果や影響から、デジタルトランスフォーメーションの将来像を考察します。

2.課題認識 ―RPAに集まる期待の背景―

情報システムの構築は、業務の実施者自身が設計・開発することが最も理想的であり、効率的で効果的に進められます。しかしながら、現場部門で実務を行いながらすべてのITスキルを習得して開発することは到底不可能なため、ITベンダーと情報システム部門主導で導入するケースが一般的です。昨今では現場部門と一体になったプロジェクト体制で推進することが主流となっていますが、システム開発に不慣れな現場部門がウォーターフォール型の手法に沿って段階的に業務をシステム仕様として確定しながら、開発を進めることは困難です。仕様の誤解やレビュー時の見落とし等が発生し、結果的に当初意図していたようなシステムにならないことも多いうえに、ユーザーが最も望む便利機能などがコストを理由に要件から除かれてしまうこともあり、稼働後も現場にシステム外作業が残ることがあります。

一方、優秀で意欲のあるユーザーはExcelなどのツールを勉強し、各自でカスタマイズして活用することで業務効率を上げています。このようなユーザーからは、「業務を楽にしたい」、「自分たちで作ることができれば」といったコメントがよく聞かれます。「システムが難しいことはわかるが、新しい技術を簡単に組み合わせてできないのか?可能ならば自分たちでやりたい」といった声は以前から多く、それを実現する唯一の汎用ツールとしてExcelが使われてきました。

社内に散在する属人化したExcelツールは各社の悩みでもありますが、ユーザーの本質的な望みを叶えるツールはExcel以外に長く現れませんでした。

3.解決策

従来のアプローチの限界

このような状況を改善すべく、システム部門が「自由に使えるツール」として何らかのサービスやパッケージをユーザーに提供するケースもありますが、セキュリティ上の問題やコストの制約から、「直ぐ」「簡単」に変更・設定できる、ユーザーが真に「使いやすい」・「使いたい」ツールまでは至っていません。筆者も営業支援システムを企画し、導入した経験がありますが、なかなか現場に根付かないため、信賞必罰を併用した強制力によって活用を促進するといったことを何度も経験しています。

また、前述のウォーターフォール型開発と対比して、ユーザーとの親和性が高く、プロトタイプを修正しながら要件を吸い上げつつ開発する「アジャイル型開発」が提唱されていますが、外部に開発依頼する場合に、契約時点での要求仕様が明確になりにくく見積もりが難しいこともあり、国内で業務システムを本格的にアジャイルで開発する事例はほとんどありません。

Excelを超えて自動化範囲をさらに拡大するRPA

これまで述べた課題の解決策として、現場の業務をサポートする「デジタルレイバー」と呼ばれるRPAへの期待は非常に大きく、セミナーやイベントでも人気を博しています。その参加者には事務処理などの業務を実施する若手実務者が多いこともユーザーの期待の表れと言えます。

Introduction status of RPA
【図1】RPAの導入状況
(出所:一般社団法人 日本CFO協会 「RPAに関する実態調査」http://www.cfo.jp/rpa/Open a new window のデータに基づき筆者作成)

RPAは大小様々なツールが存在し、各々異なる面はありますが、システム開発に比べると、取り組みやすく難易度も低いうえ、短期間で自動化できます。

導入当初はエンジニア支援が必要なケースもあるものの、ユーザー企業でRPAのソフトウェアロボットと呼ばれるプログラムを作成・修正することが可能であり、実際の業務に適用してトライ&エラーを繰り返しながら自動化を進めます。「アジャイル開発」に近い形態で徐々に完成させることで、ユーザーの要望を充足し、短期間で効果を発揮することが可能であることに加え、修正・変更にも強いという特徴があります。

もちろんRPAは万能ではなく、基幹業務などミッションクリティカルな業務への適用は難しいですが、日々ユーザーを悩ませている、システム外で対応している小粒の業務処理には親和性が高いと言えます。

RPAの導入で、現場業務の当事者がエンジニアと一体となって業務プロセスを練り直しながら作り上げる工程は、ユーザーが本来推進したい情報システム開発の理想形に近いでしょう。これを実現する道具として捉えれば、RPAの存在意義が明確に浮かび上がります。

4.RPAが普及するとどうなるか?

RPAに取り組む企業は、トライ&エラーを繰り返して様々なシーンにRPAを適用し、現場のニーズを汲み取りながら業務の再配置や改善を進めます。

その過程でユーザーは下記のような体験をします。

  1. 自分たちの業務を、自分たちで再デザインする。これまでのシステム開発のように現場部門の代表としてのプロジェクト参加ではなく、主体的に自分たちが活用するための本質的な検討を推進し、業務とロボット・人の役割を組み直すサイクルを実行する。(実行⇒検証⇒修正)
  2. 安価で提供されている優れたソリューションを導入する際に、RPAによって短期間に連携させることができるため、連携システムを構築することも手作業で連携させることも必要ない。(個別最適を追求し、小規模利用でも対応することができる。)
  3. 手間がかかるデータ移行などはRPAが自動で実施してくれるため、現状より良いソリューションが見つかった場合、直ちに契約を解除して新たに導入できる。(長期にわたり我慢しながら使う必要はない)。

これらの体験を経たユーザーは、ベンダーに依頼してシステム開発しなくても、自分たち自身で簡単に「業務の自動化」や「サービスやツールの導入による生産性向上」を推進できることに気付き、実現する自信と経験を得ます。

筆者は以前から、RPAはAIやクラウドサービス等のサービスラインナップとは異質であると考えています。RPAはユーザーの実務と情報システムや提供されるソリューション、ソリューション同士をつなぐ「ブリッジ」となり得るものであり、デジタル空間で動作するものであれば何でも親和性が高いものです。RPAが普及し、より高度化していくと、(1)~(3)のような体験をしたユーザーが主流となり、ベンダーに依頼しなくてもユーザー自身で解決できることが増加します。システム開発を行う際にも、これまでのように自動化したい処理すべてを情報システムに求めることはなくなるでしょう。ベンダーにとってもコストの問題が軽減されるだけでなく、開発リスクも最小化され、互いにメリットを享受できます。

5.将来起こり得ることへの対応

先日、「2025年の崖」(注1)という研究レポートが経済産業省より発表され、IT人材の不足と情報システムのブラックボックス化等に起因して、2025年には年間12兆円の経済損失が生じ、ビジネスに大きな影響を与えることが示唆されました。

筆者の周辺でも同様の状況にあるユーザー企業は多く、指摘されている事象の発生は容易に想像できます。これらの事前対策を提案していますが、実際対応できるのは余裕のある一握りの企業だけで、多くは(特に中小企業は)すでにリソースが枯渇しつつあり、資金も十分ではないため対応しきれません。RPAの普及と発展はこれらの企業をサポートする有効な一手になる可能性があります。

まず考えられるのは、システム部門の業務合理化です。富士通総研でRPA導入をご支援している某アパレル企業でも、マスタ連携やシステム間連携、稼働チェック、ログチェックなどのシステム部門の業務をサポートするロボットの導入から始め、人間はより付加価値の高い作業へとシフトしています。これにより空いたリソースを活用してブラックボックス化の解消やノウハウの引き継ぎを推進する予定です。

もう一方のIT人材不足についても、システム化の対象範囲が絞られ、システム化以外の選択肢を得ることで、開発に必要な人的リソースが軽減されるのではないでしょうか。

今後、業務の自動化や、システム間連携をRPAで実現することで、ソリューションやサービスを短期間で簡単に導入できるようになると、ユーザー自身で対応できることが拡大し、ベンダーは今まで以上に明確な付加価値を示さなければ生き残れません。 「自社のシステムをよく知っている」といった理由で、既存ベンダーを優先する必要性は薄まるでしょうし、「構築すること」自体を価値とするようなベンダーは相手にされなくなるでしょう。

選択する側のユーザー企業も、サービスの価値を見極めるために明確な尺度を持つ必要があります。これらを決めるためには、ビジネス・人材・情報等の様々な面での企業戦略を明確に示すことが必須であり、あいまいだった日本企業のビジネスの本質が浮き彫りにされます。

RPAの登場と普及はホワイトカラーの生産性向上に役立つと言われてきました。これは端的に「業務を合理化する」ことを意味するだけでなく、ベンダーやユーザーの意識を変え、デジタル革新の流れをさらに加速させることになるでしょう。

注釈

苧坂 健一郎

本記事の執筆者

株式会社富士通総研 民需グループ シニアマネジングコンサルタント

苧坂 健一郎(おさか けんいちろう)

 

2001年 富士通株式会社入社後、主に流通業を中心とした情報化構想、業務改革、ビジネス企画コンサルティングに従事し、2007年 株式会社富士通総研出向。卸・商社を中心に情報化構想・業務改革コンサルティングに従事。2016年よりRPAを活用したコンサルティング活動を開始し、以後様々なツールを活用した業務改善に取り組む。

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