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  4. デジタルマーケティングのビジネス貢献は戦略とリーダーシップの有無で大きな差

デジタルマーケティングのビジネス貢献は戦略とリーダーシップの有無で大きな差

デジタルマーケティングのビジネス貢献は戦略とリーダーシップの有無で大きな差

~「大企業のデジタルマーケティング取り組み実態調査」結果から~

発行日:2020年1月16日

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要旨

  • デジタルマーケティングにより、「従来の営業活動ではアプローチできなかった新規顧客を獲得した」など成果を得て、「ビジネスに貢献している」と考えるマーケターは75.5%に達した。
  • ビジネスへの貢献度合いを4段階に分けると、社内の一部の商品・サービスでビジネス貢献している「部分最適」の段階が49.9%で一番多かった。
  • 先行している「リーダー」の取り組みは、「戦略やロードマップがある」、「経営層が入って牽引している」の比率が高く、「顧客体験(CX)の提供」にも力を入れていた。
  • ビジネス貢献を大きくするには、戦略を明確にすると同時に社内の意識改革を進め、それを強いリーダーシップで牽引することが重要になる。さらに、最適な顧客体験を提供することを目指して、全社でのデータ活用のルールやシステムの整備も必要になる。

1,294人の大企業のデジタルマーケティング担当を調査

  • デジタルマーケティングとは、インターネット広告などのデジタルメディアを使ったマーケティングと従来は捉えられていた。しかし、リアルのデジタル化が広がった現在では、データを活用してユーザーとの関係性を深めるマーケティングの進化形と考えるべきだろう。
  • 大企業のデジタルマーケティングの取り組みは本格活用の段階に入ってきた。インターネット広告による見込み客獲得や、SNSを使ったコミュニケーションは当たり前のものとなり、MA(Marketing Automation)やデータ基盤など様々なツールやシステムが利用されている。
  • デジタルマーケティングで成功体験を重ねて取り組みを拡大させる企業が増えてきた一方、思うような成果が出ていない企業も見られる。そこで、取り組みの実態と成果を出すポイントを探ることを目的としてアンケート調査を実施した(図表 1)。

(図表1) 調査概要
(図表1)調査概要

75.5%がデジタルマーケティングは「ビジネスに貢献
している」

  • デジタルマーケティングの代表的な手法やツール20項目について利用状況を複数選択で尋ねたところ、その利用率は、インターネット広告76.1%、SEOやSEMなどのWebサイト最適化71.6%、ソーシャルメディア(SNS)・マーケティング69.0%だった(図表 2)。

(図表2) デジタルマーケティングの代表的な手法やツールの利用率(抜粋)
(図表2)デジタルマーケティングの代表的な手法やツールの利用率(抜粋)

  • これらの効果として、「従来の営業活動ではアプローチできなかった新規顧客を獲得した」が41.1%あった。例えば、「今までのマス広告ではリーチしにくい若年層にSNSでアプローチできる(BtoCサービス業)」、「商品情報をWebサイトに掲載して最適化したら海外からメールで問い合わせが来て受注につながった(BtoB製造業)」など新たな手法の価値を具体的に体感していた。
  • 担当しているデジタルマーケティングのビジネス貢献状況を聞いたところ、「ビジネスに貢献している」が75.5%と大半を占めており、「どちらともいえない」は16.4%、「貢献していない」は5.9%しかなかった(図表 3)。
  • デジタルマーケティングの取り組みは、副次的な効果も多く出していた。例えば、「社内がデジタルマーケティングの重要性や効果を認識するようになった」が51.2%、「データを元に営業やマーケティング活動をするようになった」が39.8%となっていた。デジタルマーケティングへの取り組みがビジネスに貢献し、周囲を含めてそれを体感した結果、社内の意識や行動の変革にもつながったと考えられる。

(図表3) デジタルマーケティングのビジネス貢献度
(図表3)デジタルマーケティングのビジネス貢献度

49.9%が社内の一部でビジネス貢献している「部分最適」
段階

  • デジタルマーケティングの貢献度合いは企業によって異なる。そこで、「ビジネスに貢献している」を貢献度合いで3段階に分け、そこに「どちらともいえない・貢献していない・わからない」を加えた4段階のデジタルマーケティング成熟度を設定して差異を分析した。
  • 調査結果では、第1段階の「トライアル」が24.5%、第2段階の「部分最適」が49.9%、第3段階の「全体最適」が15.7%、最後の「リーダー」が9.9%という分布だった (図表 4)。デジタルマーケティングに取り組む大企業の現状は、約半数がトライアルの成果を出し、これから全社展開を進めていく段階となっていた。
  • 成熟度の段階により会社の状況や成果は異なる。例えば、会社の成長度合いが「競合他社より成長率が高い」と答えた比率は「トライアル」が33.8%に対し「リーダー」は77.3%と高くなっていた。デジタルマーケティングを推進しているから成長率が高い、とは言えないが、成長率が高い企業ほどデジタルマーケティングで成果を出していることが見てとれる。
  • また、「リーダー」は「従来の営業活動ではアプローチできなかった新規顧客を獲得した」が83.6%、「社内がデジタルマーケティングの重要性や効果を認識するようになった」が60.9%と全体平均より高くなっていた。

(図表4) デジタルマーケティング成熟度の分布状況と状況や成果の違い
(図表4)デジタルマーケティング成熟度の分布状況と状況や成果の違い

83.6%の「リーダー」には戦略やロードマップがあるのに
対し「トライアル」は13.6%

  • 特徴的な差異を見ると、「デジタルマーケティングの戦略やロードマップがある」や「経営層が入ってデジタルマーケティングを牽引している」は段階が上がるにしたがって比率が高くなっていた(図表 5)。ビジネス貢献が大きな企業は、明確な戦略とリーダーシップのもとで実践を進めている様子がうかがえる。
  • 「リーダー」は「顧客体験(CX)提供が競合会社より進んでいる」と思う比率が91.4%と高いのも特徴的である。モノからコトへの流れの中で、顧客は品質や価格などのスペックに加えて体験を重視するようになっている。「リーダー」はCXの提供でも先行しているようだ。
  • 課題として「リーダー」はデータ関連を多く挙げていた。「データが不足している」は50.0%、「他部署のデータが利用できない」が30.5%、「外部のデータが利用できない」が18.8%となっていた。データに関するシステム的な課題は少なかったので、デジタルマーケティングを実践していく中で必要なデータが分かり、それらが入手できないことを課題視しているのだろう。

(図表5) デジタルマーケティングの成熟度の段階による違い
(図表5)デジタルマーケティングの成熟度の段階による違い

今後はCX提供に向けたデータ活用環境の整備が重要に

  • デジタルマーケティングは、単に手法やツールを導入するのではなく、今までのやり方を変えることで大きなビジネス貢献が得られる。このためには、仕組みを変えると同時に社内の意識変革が重要になる。「リーダー」の83.6%は戦略やロードマップが策定され、取り組みの成果が体感されて意識改革にもつながり、さらに強力なリーダーシップで牽引していた。「トライアル」や「部分最適」段階の企業は、まずは目指す姿やロードマップを明確にした上で、トライアルの小さな成果を積み上げ、それを社内で共有して意識改革を進めていくことが必要だろう。
  • 顧客との関係性を深めるために最適な顧客体験を提供することは、すべての企業にとって重要なテーマになるはずだ。これを実現するには、今までのような属性データだけではなく、顧客行動など様々なデータを用いて顧客を理解し、継続的に商品・サービスを向上させていくことが重要になる。このためには入れ物としてのデータ基盤だけでなく、社内外のデータの統合が必要になる。特に大企業では、事業部ごとに独自で取り組んでしまうことが多いので、社内に分散しているデータの統合と取り扱いのルールが重要になる。各事業部からのデータの提供、利用範囲の設定、トラブル対応など、様々な部門間の調整のためにも全体を統括するリーダーシップが求められてくる。
田中 秀樹

本記事の執筆者

経済研究所
担当部長

田中 秀樹(たなか ひでき)

 

消費者調査や市場調査を行った後、流通業向けコンサルティングやインターネットビジネスの新規事業化支援に従事。現在はICTが企業・社会に与えるインパクトのリサーチとビジョン策定を担当。

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