GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. ナレッジ >
  3. ニューズレター >
  4. 不動産登記と戸籍、データ連携はどうなる?

不動産登記と戸籍、データ連携はどうなる?

不動産登記と戸籍、データ連携はどうなる?

発行日:2019年12月26日

newsletter_no19-012

要旨

  • 法制審議会民法・不動産登記法部会の「中間試案(案)」が公表され、土地所有者不明問題を解消するための抜本的な法制度の見直しが大詰めとなっている。政府の計画では2020年に民事基本法制・土地基本法等を見直すことになっている。
  • 期待されるのは、相続未登記を解消・防止するためのデータ連携だ。マイナンバーが付番された戸籍と不動産登記が連携すれば、法定相続人の特定ができる。さらに、住民基本台帳ネットワークで検知した死亡や基本4情報(氏名など)の変更も、マイナンバーで不動産登記へ通知できる。
  • 今回の戸籍の新システムではマイナンバーを使わず、法定相続人の特定はできないという。さらに、死亡や情報変更は、登記官が氏名などをキーに住民基本台帳ネットワークなどを検索して把握するという。正確なデータ連携のためには、不動産登記・戸籍・住民基本台帳ネットワークを相互にデータ連携する仕組みを構築することが望まれる。

大詰めを迎える土地所有者不明問題の抜本的解決

  • 今から数年前、東日本大震災の復興事業が進展しないことを契機に、土地所有者不明に起因する社会問題が大きくクローズアップされた。土地所有者不明とは、不動産登記簿に所有者名の記載があっても、所有者の死亡時に相続登記がされず(相続未登記)、実際の所有者を探すのに大変な労力を要するという問題である。
  • これを問題視した政府は早速解決に取り組む姿勢を見せ、規制改革推進会議は第1次答申(2017年5月)(注1)のなかで、マイナンバーによる連携を含む「不動産登記のデータ整備(相続登記の促進)」を提言した。
  • これに対応して国土交通省では国土審議会土地政策分科会特別部会(注2)を立ち上げ、「中間とりまとめ」(2017年12月)を元に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(所有者不明土地法)を2018年6月に成立させた(2019年6月全面施行)。
  • この法律は、所有者が不明であってもとりあえず土地を利用可能にする、所有者探索を合理化することが趣旨であって、所有権や不動産登記制度(民法や不動産登記法)の改革まで踏み込むものではない。特別部会の「最終とりまとめ」ではこれらの課題を整理したうえ、抜本的な改革は法務省の登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会に委ねられた。
  • この研究会では変則型登記についての法制化を行ったものの、論点整理を行った「最終とりまとめ」(注3)を2019年2月に公表するに留まり、具体的な法改正については法制審議会へ諮問されることとなる。法制審議会民法・不動産登記法部会(注4)の第1回が2019年3月に開催されて以降第11回まで議論が重ねられ、2020年には相続登記の義務化、登記と戸籍の連携など民事基本法制の見直しが行われる予定となっている。

先行する戸籍法改正と新戸籍システムの問題

  • 相続未登記を解消し、相続未登記の発生を防止するためには、法定相続人を特定するための戸籍データの整備が前提となる。戸籍はほぼ100%システム化されているが、各自治体が個別に管理しており、住民票コードやマイナンバーといった個人を特定できるIDが付番されていない。
  • 戸籍へのマイナンバー付番は、すでに「日本再興戦略 改訂2015」(2015年6月)(注5)でも取り上げられた。そして、「2019年通常国会を目途に必要な法制上の措置」(注6)を目標に、戸籍制度に関する研究会(注7)や戸籍システム検討ワーキンググループが開催された。研究会の最終取りまとめでは「戸籍のクラウド化・一元化はしないものの、マイナンバーの付番は戸籍附票を使って行う」ことが結論づけられた。
  • それを受けて、戸籍法が2019年5月に改正(注8)された。しかし、その内容を見ると「マイナンバー制度には参加するが、マイナンバーは使わない」という。(マイナンバー制度のために作られた)情報提供ネットワークシステムを通じて戸籍関係情報を確認することから「マイナンバー制度に参加する」と表現されているものの、法務省の資料では「マイナンバーは使わない」ことを強調している。
  • 情報提供ネットワークシステムを使うためには、通常マイナンバーを使って情報連携用の符号を振り出してもらう必要があるが、マイナンバーではなく取得番号を使って振り出してもらうという。この取得番号はマイナンバーでも住民票コードでも無いという注釈があり、不明な番号だ。
  • 戸籍にマイナンバーを使わないとすると、不動産登記簿の所有者と戸籍を結合するためのIDをどうするのかが疑問となる。また、個人を特定できるIDが無いと親子関係をたどって法定相続人を特定することも不可能になってしまう。住民基本台帳ネットワークで検知した死亡や情報変更も通知できない。
  • 相続未登記を防ぐため、住民基本台帳ネットワークで死亡を検知したらそのマイナンバーで不動産登記簿を検索し、土地を所有している場合はさらに戸籍を検索して死亡者の法定相続人を特定するという一連のデータ連携ができなくなる。

不動産登記・戸籍・住民基本台帳ネットワークの
相互データ連携を

  • 「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」(2019年6月14日、所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議決定)(注9)では、昨年記載されていた「2020年に登記簿と戸籍等を連携するために必要な制度の整備を行う」(注10)という文言がなくなり、「不動産登記を中心にした登記簿と戸籍等の連携」という表現に変わった。
  • そして、法制審議会第6回(2019年7月30日)の議事録(注11)では、「既存の戸籍副本データ管理システムを活用・発展させて新たなシステムを構築し、(中略)この新システムにおいては、戸籍に記載されている者の死亡情報までは分かるけれども、法定相続人が分かるような仕組みにはならないということでした」と確認されている。これでは、法定相続人を特定するため、従来通り紙の戸籍謄本をあちこちから収集しなければならない。
  • 法制審議会第11回(2019年12月3日)で発表された「中間試案(案)」(注12)では、所有者の死亡を把握したり変更情報を登記簿に反映させたりするため、「登記官は、申出のあった情報(氏名、住所及び生年月日等)を検索キーとして、連携先システム(戸籍副本データ管理システムおよび住民基本台帳ネットワーク)に定期的に照会を行う」という。
  • 日本人の氏名漢字は外字という問題を含んでおり、氏名のふりがなは法制化されていない。これらを検索キーとして使えば、不一致や同姓同名の人違いが必ず起きる。そもそも死亡や情報の変更は(公的個人認証の証明書を失効させるため)住民基本台帳ネットワークで検知しているため、登記官が定期的に照会を行う必要など無い。土地所有権という国民の権利を守り、相続未登記による社会問題を防ぐためにも、不動産登記と戸籍にマイナンバーを導入し、住民基本台帳ネットワークを含め相互にデータ連携できる制度・システムにすることが望まれる。
榎並 利博

本記事の執筆者

主席研究員

榎並 利博

 

1981年 東京大学卒業、富士通株式会社入社、1996年 富士通総研へ出向、2010年より現職。
2002年度~2003年度 新潟大学非常勤講師、2006年度~2007年度 中央大学非常勤講師、2007年度~2008年度 早稲田大学公共政策研究所客員研究員、2009年度~2012年度 法政大学非常勤講師、2017年度~ 社会情報大学院大学教授。

お客様総合窓口

入力フォーム

当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。