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世界最大のFintechカンファレンスMoney20/20参加報告(その1)

世界最大級のFintechピッチイベントFinovate Spring 2019参加報告(その2)


~Augmented Intelligenceによる高度かつヒューマンタッチな顧客対応~

新たなFintechトレンドに繋がる多くのサービスが紹介されたピッチイベントFinovate Spring。
前回に引き続き今回は、登壇した60社の中で特に印象的であった金融機関向けサービスを中心にご紹介します。

2019年7月12日

ideatank-20190701

前回に引き続き、今回もFinovate Spring 2019の登壇企業を紹介します。前回では、法人向けFintechサービスの多様化の観点からExtend、U.S.Bank、Strandsの事例をご紹介しました。今回は、毎年のFinovateにおいて多くの登壇企業で賑わう金融機関向けサービスの事例についていくつかご紹介いたします。

ビデオを用いた顧客エンゲージメントの強化 -BlueRush-

カナダのトロントに本拠地を置くFintech企業BlueRushは、個人の財務状況や運用レポートの説明、金融サービスの紹介等をビデオ形式で行えるサービス「IndiVideo」を提供しています。

「IndiVideo」は顧客の投資信託の運用実績といった情報に基づいて、パーソナライズされたビデオを自動作成します。ビデオではグラフ等を提示しながら音声による説明を行うだけでなく、「退職時にどの程度の金融資産が必要であると感じますか?」といった質問を投げかけることができ、顧客は画面を操作して回答を入力することとなります。この様に、店舗において実際の行員とやり取りを行っているかのような体験をデジタルチャネル上で実現します。

通常、運用状況のレポート等は文書で提供され、自身で読解しなければならない等の煩雑さが伴いますが、同サービスではメールに添付されたリンクをクリックすると動画が流れ、分かり易い説明を受けられるだけでなく途中で回答を入力させるなどのインタラクションが発生するため、文書による説明と比較して閲覧率やコンバージョンレートの向上が図られます。

写真1:パーソナライズされた内容を音声で説明(筆者撮影写真より)
写真1:パーソナライズされた内容を音声で説明(筆者撮影写真より)

写真2:ビデオの途中で表示される顧客への質問(筆者撮影写真より)
写真2:ビデオの途中で表示される顧客への質問(筆者撮影写真より)

Co-Browsing機能付きチャットボット -Glia-

米国ニューヨーク州のFintech企業Glia(旧社名:SaleMove)は、チャットボットと同社特有の機能であるCo-Browsing機能を組み合わせたソリューションを金融機関に提供しています。

同ソリューションは、金融機関のWebページに訪れた顧客の質問や問い合わせに対してAIによるバーチャルエージェントが自動で回答することに加え、応対内容に応じてWebブラウザ上で該当する箇所へページを移動させることができます(Co-Browsing)。

例えば、顧客が銀行のWebページ上でクレジットカードに関する情報を探している場合、チャットサービスを立ち上げ、「年会費無料のクレジットカードを探している」といった質問を投げかけるとバーチャルエージェントがクレジットカードの基本的な説明を行いながらブラウザ上で該当するページへ自動的に遷移し、画面上の該当箇所をカーソルで示します。基本的な内容はチャットサービスに問い合わせることが可能となっておりますが、より詳細な内容を確認したい場合等は、ビデオ通話による人間の行員とのやり取りに切り替えることもできます。

写真3:チャットボットと連動したCo-Browsing(Finovate公式ページより)
写真3:チャットボットと連動したCo-Browsing(Finovate公式ページより)

チャットボットでの融資審査 -Neener Analytics-

米国カリフォルニア州のFintech企業Neener Analyticsは、金融機関向けに融資の事前審査を行うチャットボット「ARIA(Autonomous Risk Information Assistant)」を提供しています。

「ARIA」では、チャットサービス上でAIが顧客から職業や資金使途等の審査に必要な情報を聞き出しつつ、デフォルトリスク、FICOスコアと発言内容の相関性、リボルバー(リボ払いを利用する性格)かトランザクター(マンスリークリアを利用する性格)かどうか、発言の真正性といった観点で融資の事前審査を行います。ここで注目すべき点は、発言の真正性を審査に加味するという点です。

AIによる融資審査の多くは、スコアリングデータや金融機関の口座明細等の情報を元に定量的な審査を行いますが、「ARIA」では実際の行員が顧客と対面で融資の受付を行い信頼に値する人間かどうかを見きわめるのと同様に、AIが顧客の発言の真正性やチャットボットでの話し方を分析し、定性的な面を評価に勘案します。

伝統的金融機関で行われている融資審査においては、定量面での評価を堅確に行う一方で、返済への義務感や誠実さ等の定性面での評価を加味することに積極的でないように感じられます。Neener Analyticsの「ARIA」の様な審査方法は、数字のみのエビデンスに依拠するのではなく、定性面を織り交ぜて審査をすることで、より実態に即したリスク分析を可能にすると考えられます。

写真4::チャットボットによる融資審査(筆者撮影写真より)
写真4::チャットボットによる融資審査(筆者撮影写真より)

おわりに

今回は、金融機関向けサービスとしてBlueRush、Glia、Neener Analyticsの3社を紹介致しました。

Finovate Springでは、法人向けサービス同様、金融機関向けサービスを紹介する登壇企業が毎年増加しており、特に顧客へのマーケティング・セールス機能をAIやチャットボットサービスを用いて強化することや融資プロセス等の内部事務の見直しを行うサービスが多く見受けられました。

今回のFinovateでは、AIをサービスに取り入れることを差別化の要素とするのではなく、AIを用いてどういったUXを実現できるか、どういった独自の分析が可能となっているかがポイントとなっています。こういった中、AIをArtificial Intelligence(人工知能)としてではなく、Augmented Intelligence(拡張知能)として捉える(Money20/20 USA 2018におけるMorgan StanleyのCTOであるNaureen Hassan氏の発言より)流れが生まれ、特にチャットボットサービスにおいては完全にAI任せにするのではなく、状況に応じて人間によるやり取りにシームレスに切り替えることでユーザーフレンドリーなUXの実現を目指しています。金融サービスのデジタル化の中においても、人と人との直接的なやり取りを必ずしも希薄化せず、デジタルかつヒューマンタッチなやり取りを実現する方向へとシフトしているものと考えられます。

日本の金融機関においては大規模な店舗閉鎖や採用抑制、本部人員の削減が行われる等、コスト削減の流れにあります。今後は、コスト削減にAIがより一層活用されることが予想されますが、AIをコスト削減の手段とするだけでなく高いUXを提供する手段として積極的にサービスに取り入れ、顧客本位かつEnjoyableなサービスを実現することが求められるでしょう。

※弊社では、Facebookページも開設しております。当記事に関するご感想・ご意見は以下のリンク先までお願いいたします。
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佐藤 新

本記事の執筆者

コンサルティング本部 金融グループ
アシスタントコンサルタント

佐藤 新(さとう あらた)

 

2017年某大手都市銀行入行。入行以来法人営業、融資業務を経験。
2018年に富士通総研入社。
富士通総研入社以後は、主に海外金融機関やFintech企業の経営戦略や先進的な商品・サービス等の調査に従事。

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