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世界最大のFintechカンファレンスMoney20/20参加報告(その1)

世界最大級のFintechピッチイベントFinovate Spring 2019参加報告(その1)


~煩雑な法人業務のPain RelieverとなるFintechサービス~

新たなFintechトレンドに繋がる多くのサービスが紹介されたピッチイベントFinovate Spring。
今回登壇した60社の中で特に印象的であった法人向けサービスを中心にご紹介します。

2019年6月14日

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富士通総研では2012年から継続して、毎年春に開催されるFinovate Springに参加しています。FinovateはFintech企業のピッチイベント(短時間で自社サービスを紹介する催し)としては世界有数の規模を誇り、毎年世界各国からの多くの参加者で賑わいます。

2019年は世界6地域で開催が予定されており、今年サンフランシスコで開催されたFinovate Spring(例年はサンノゼ近郊)では、新たなFintechトレンドに繋がる多くのサービスが紹介されていました。

今年のFinovate Springでは、2日間で60社がピッチを行いました。全体のトレンドとしては、ここ数年目立った個人向けサービスではなく、法人ないしは金融機関向けサービスが増加しています。

本稿では、今回登壇した60社の中で特に印象的であった法人向けサービスを中心にご紹介します。

法人カードのコントロールサービス -Extend-

初めにご紹介するのは、米国ニューヨーク州のFintech企業Extendです。同社は法人向けに、従業員や契約しているフリーランサーに対してバーチャルな法人カードを発行できるソリューションを提供しています。

法人カードの管理者は、Extendが提供するアプリを利用することで有効期限や数セント単位での利用限度額を設定したバーチャルカードを従業員か契約社員に対して即時発行できます。また、発行時に「航空券購入に利用すること」といったメッセージを付け加えることや、発行したバーチャルカードの利用停止といった個々のカードの管理を遠隔操作で行うことができます。

管理者からバーチャルカードを受け取った利用者は、発行されたバーチャルカードのカード番号を利用して設定された限度額の範囲内で決済でき、カード限度額の増額依頼もアプリ上で管理者に依頼することができます。

写真1(左):バーチャルカードの利用額設定、(右):発行したバーチャルカードの管理画面(筆者撮影写真より)
写真1(左):バーチャルカードの利用額設定、(右):発行したバーチャルカードの管理画面(筆者撮影写真より)

米国の調査団体Edelman Intelligenceによる労働力調査によれば、米国では今後フリーランサーが増加していくと予想され、今後10年間でフリーランサーの数が正規雇用者数を逆転するとされています(図1)。こうした背景の下、フリーランサーを支援する金融サービスのニーズが高まっており、米国ではPayActivやDailyPayといった給与支払日の前に相当額を前払いするサービス等、フリーランサーの自由な働き方を支援するサービスが数多く登場しています。Extendが推進する雇用者へのバーチャルカード発行サービスにおいても、単に雇用主とフリーランサーの間の経費精算業務を効率化するだけでなく、フリーランサーが立替精算を行う必要性を無くすことでキャッシュフローの改善にも繋がるサービスとなっています。

図1:米国における正規雇用者とフリーランサーの増減予測
図1:米国における正規雇用者とフリーランサーの増減予測

出張旅費決済・精算の効率化 -U.S.Bank-

続いてご紹介するのは、米国の大手金融機関U.S.Bankが新たに発表した、バーチャルカードによる出張旅費精算業務の効率化ソリューション「Expense Wizard」です。同サービスでは、出張毎にバーチャルカードを発行することで、出張期間中に行った決済を一元化し、煩雑であった出張旅費精算の事務を簡潔にします。

管理者は、従業員の出張毎に利用額に制限をかけたバーチャルカードを作成し、出張者の「Expense Wizard」モバイルアプリにカードを転送します。これにより、出張者は管理者が発行したバーチャルカードを用いて、限度額の範囲内で決済を行えます。また、仮にバーチャルカードを用いずに現金決済した場合は、レシートを撮影した上で利用用途等の詳細を入力することで出張に紐づく支出をアプリ上で登録できます。

また、アプリには対話型AIが備えられており、決済明細を認識して「XYZカフェでの決済を”食事カテゴリー”に登録しますか?」といった提案を利用者に行い、仕訳にかかる煩雑な手入力を削減します。

そして、出張後にはカードに紐づいた決済や、レシートと共に登録した決済のデータを基に旅費精算レポートを自動で作成します。

写真2(左):精算カテゴリーの振り分け、(中央):現金決済したレシートの登録、(右):決済額の管理画面(筆者撮影写真より)
写真2(左):精算カテゴリーの振り分け、(中央):現金決済したレシートの登録、(右):決済額管理画面(筆者撮影写真より)

コーポレートカードによる出張旅費の決済を行わない営業担当者や出張者は、自身のカードや現金を用いて立替精算を行う必要があります。この場合、大量の領収書を取りまとめて精算額を計算し、承認後に立替資金が返金されるといったプロセスとなり、従業員の資金負担や領収書の紛失といったリスクや手続きの煩雑さが課題となります。「Expense Wizard」の様な経費精算ソリューションにより、カード利用のリアルタイムトラッキングが可能になることや領収書に頼らない精算プロセスとなることで、領収書紛失のリスクや経費精算事務の煩雑さを軽減できることになります。

中小企業のキャッシュフローマネジメントツール -Strands-

最後にご紹介するのはスペインのバルセロナに本拠地を構えるFintech企業Strandsです。Strandsは、中小企業向けに財務状況のリアルタイムでの確認や予測を行えるキャッシュフローマネジメントツールを提供しており、ツール上で未精算の請求書の決済も行うこともできます。

キャッシュフローマネジメント機能では、金融機関の口座やクレジットカードの情報に加え、「Quickbooks」や「SAGE」、「XERO」といったクラウド会計ソフトを連携させることができます。これにより銀行の口座残高や収入/支出・支払状況を基に、将来予測を行ったキャッシュフローがグラフとして提示されるため、企業の財務担当者は一目で財務状況を統合して把握できます。

また、計算されたキャッシュフローと将来的に発生する請求書支払いを勘案してキャッシュフロー上の懸念事項がある場合は、アラートと共に「予定されている請求書の支払いは当座貸越を発生させます。Mastercardで支払いますか。」といったインサイトが表示され、プラットフォームに統合されているMastercardのバーチャルカードを用いた決済を行えます。

写真3:ダッシュボードにアラートとインサイトが提示(Finovate公式サイトより)
写真3:ダッシュボードにアラートとインサイトが提示(Finovate公式サイトより)

写真4:Mastercardのバーチャルカードによる請求書決済(Finovate公式サイトより)
写真4:Mastercardのバーチャルカードによる請求書決済(Finovate公式サイトより)

これまで個人の家計を管理するものとして、多くの個人資産管理サービスPFM(Personal Financial Management)が提供されてきましたが、法人向けにもPFMと遜色ないUIとUXを兼ね備えた法人資産管理サービスがBFM(Business Financial Management)として提供されてきています。

おわりに

今回は、法人向けサービスとしてExtend、U.S.Bank、Strandsの事例を紹介いたしました。

近年、日本において盛り上がっている個人向け送金・決済サービスは、世界全体で見ればブームが一巡していると考えられる一方で、企業の従業員の経費精算や法人取引の請求書決済の煩雑さを改善するような法人向け送金・決済サービスが増加している印象を受けます。

スマートフォンが一般に広く普及するにつれ、スマートフォンで利用できる個人向けFintechサービスが多く開発・提供されてきましたが、GoogleやAlibabaを含む大手プラットフォーマー等、金融機関やFintech企業に限定されない多くのプレイヤーが登場した結果、サービスは飽和状態にあります。

法人向け(特に中小企業向け)サービスや、フリーランサー向けサービスの拡充の背景として、クラウド会計サービスやコーポレートカードの導入が広がるにつれ、これまでFintechの波が大きく及ぶことがなかった法人やフリーランサーといったセグメントへ提供できるサービスの幅が広がったこと、個人向けサービスに比べて収益性が高い法人向けサービスへの主戦場の転換が起きたものと考えられます。日本においても法人向けの金融サービスは従業員一人当たりの取引額が高く、高い収益率を確保することができることから、今後多種多様な法人向けFintechサービスが提供されうると考えられます。(図2)

図2:(参考)3メガバンク合計での法人・個人部門の業務純益/粗利益
図2:(参考)3メガバンク合計での法人・個人部門の業務純益/粗利益

次回は法人サービスと共に多くの登壇企業が見られた金融機関向けサービスの事例をご紹介します。

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佐藤 新

本記事の執筆者

コンサルティング本部 金融グループ
アシスタントコンサルタント

佐藤 新(さとう あらた)

 

2017年某大手都市銀行入行。入行以来法人営業、融資業務を経験。
2018年に富士通総研入社。
富士通総研入社以後は、主に海外金融機関やFintech企業の経営戦略や先進的な商品・サービス等の調査に従事。

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