GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. ナレッジ >
  3. IdeaTank for Financial Services >
  4. 2019年のFintech動向予測 その2

入力不要

2019年のFintech動向予測 その2


―グローバルにおけるFintech動向―

「2019年のFintech動向予測」第2回では、グローバル動向について予測する。グローバルで社会・経済に大きな影響力を及ぼしているGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazonの総称)に対して、主にEU主導で規制が強まっていく中、東南アジアや中国ではネクストGAFAとでもいうべき新たなデジタルプラットフォーマーが台頭しつつある。GAFAと同じく金融を足掛かりに自社サービスの拡大を図るこれら企業は今後どのような発展を遂げるのであろうか? 2019年のFintech動向と併せて確認したい。

2019年2月26日

ideatank2019-2-1

「2019年のFintech動向予測」第2回はグローバル動向についてご紹介いたします。2018年は、引き続きGAFAと呼ばれる世界的IT企業が金融業界に対して様々な影響を及ぼした年でもあり、特に2018年3月には、Amazonが銀行業へ進出するとの報道は、世界中で大きな反響を呼びました。また、Squareなどの有力Fintech企業もまた銀行業免許取得に向けた申請を行うなど、有力IT企業、Fintech企業が銀行業への本格進出を検討した年でもあります。一方、中国や東南アジアに目を向けると、それぞれの地域においてネクストGAFAともいうべき大手IT企業が誕生しています。中国ではBAT(Baidu, Alibaba, Tencentの総称)と呼ばれるIT企業群が自国内において金融を含む様々なサービスを提供し、その影響力を強めています。また、東南アジアにおいてもライドシェアサービスのGrabがそのユーザー数を大きく拡大し、積極的に金融サービスを提供しています。それでは、こうした中、グローバル金融機関はどのような対抗策を取っているのでしょうか? 今回は、こうしたグローバル金融機関の動向にも注目したいと思います。

グローバル動向(1) -地域ごとに誕生する“ネクストGAFA”と金融サービスへの影響-

GAFAとは、すでに多くの方がご存知のとおり、Google、Apple、Facebook、そしてAmazonの頭文字をとった略称であり、これら世界的IT企業が社会に与える影響力の大きさから命名されました。GAFAが社会や経済に多大な影響力を及ぼす背景には、自社のプラットフォームにてやり取りされるデータの流通量が大きく影響しています。2018年にはEUにおいて一般データ保護規則(GDPR)が施行され、個人のデータ保護に関する共通の規制が確立されたことにより、これらIT企業が内部で保有するデータもその保護の対象となったことは大きな進展であると言えます。GAFAはいずれもFintech分野に積極的に進出していることが特徴的であり、最先端のテクノロジーを活用し、ユーザーエクスペリエンスに配慮したサービスはグローバルで多くの利用者を集めています。金融サービスにより得られたデータと他のサービスで得られたデータを組み合わせることで、自社プラットフォームで提供されるサービスを洗練させ、利用者の囲い込みを図るデジタル時代に最適なビジネスを展開しています。

デジタル時代においては、今後、多くの企業がGAFA同様に自社プラットフォームにおいて利用者を囲い込み、生成・流通するデータを活用することで自社ビジネスの拡大を目指すでしょう。今後は、サービス開始当初からGAFAのようにグローバルで展開するのではなく、地域単位での取り組みを起点としていくことが予想されます。その急先鋒と言えるのが、東南アジア地域においてライドシェアサービスを提供するGrabです。Grabは、東南アジア地域において約1億2,500万人のユーザーを抱える(アプリの延べダウンロード回数)巨大プラットフォーマーであり、現在ではライドシェアサービスにとどまらず、フードデリバリーなど他のシェアサービスを手掛けるほか、GrabPayに代表されるFintechサービスの提供にも邁進しています。GrabPayは、当初Grabを利用するドライバーとユーザー双方の決済を効率化する目的で導入されたものですが、現在ではその利用用途が拡大しており、フードデリバリーにおける代金の支払い、さらには街中の加盟店においてもGrabPayによる決済を受け入れるお店が拡大しており、モバイル決済サービスとしても利用できます。2018年にはMasterCardとの提携を発表し、GrabPayのアカウントにある金額をそのまま利用できるプリペイドカードの発行が予定されています。また、ドライバーに対してはその自動車購入にかかるローンやライドシェアサービスのドライバーとしての休業補償のための保険など、多様な金融商品を提供する一大Fintech企業へと成長しています。

今後は、地域ごとにGAFAのようなプラットフォーマーが登場し、そのサービスを拡大していくことが予想されます。この際、決済を中心とした金融サービスの提供は、利用者の囲い込みを図るうえで有効なツールとして機能することを示唆しています。例えば、中国では、AlibabaやTencentといったプラットフォーマーが決済を中心とした金融サービスを提供し、自社ネットワークの拡大を図っているのは周知のとおりです。こうした動きに追随するように、2019年1月には中国最大のライドシェアサービスであるDiDiもまた金融サービスの提供を発表しています。DiDiが提供する金融サービスは自動車購入ローンと収入保障保険の2本立てであり、いずれもライドシェアサービスの運転手側に提供され、彼/彼女らがDiDiのプラットフォームにおいて末永く順調に経済活動を行えることを目指しています。また、2019年2月、日本のフリマアプリ(個人間での売買仲介)最大手のメルカリがメルペイと呼ばれる決済サービスを発表したことも同様の動きです。同サービスでは、メルカリにおいて個人が取引した際の売上金をチャージし、日常の決済で利用できることが他のモバイル決済サービスにはない大きな特徴となっています。これにより、個人がメルカリで商品を売り、その売上金で新たな商品購入のための決済が可能となり、結果としてメルカリ利用者が自社のプラットフォームをより多く利用するような仕掛けが組み込まれています。いずれの企業も自社プラットフォームにおける利用拡大に向けて金融サービスを有効に活用していることが見て取れます。これら利便性の高い金融サービスの提供により、ユーザーはさらにそのプラットフォームを利用することとなり、その中で“経済圏”が完結してしまうこととなります。つまり、同プラットフォーム内に資金が滞留し、金融機関はこうした資金にアクセスする術を失うこととなります。既存の金融機関にとっては大いに脅威となり得るでしょう。

グローバル動向(2) -大手金融機関のFintechサービスがスタートアップを凌駕する?-

2018年は、グローバルで大手金融機関が自行内で利便性の高いFintechサービスを開発・提供することで存在感を発揮した年でもありました。これまでFintechの分野においては技術力を有し、ユーザーエクスペリエンス(UX)の高いサービスを素早く提供するスタートアップのサービスが若年層を中心に多くの支持を集めていましたが、Fintechによるサービス自体が金融の分野で一般化し、その利用者が若年層だけでなく全年代へと広がるにつれ、大手金融機関が提供するFintechサービスに対しても支持が集まりつつあります。

こうした動きを象徴するのが米国で2017年より提供されている個人間送金サービスZelleです。Zelleは、2011年にBank of America、JP Morgan Chase、Wells Fargoの大手三行が開発・提供を始めた独自の決済サービスclearXchangeを前身としています。米国では現在、200以上の金融機関でZelleが利用可能であり、個人間送金サービスの分野で長らくトップに君臨していたVenmoを抜き、最も利用されているサービスとなっています。(Venmoの2018年9-12月期の送金額が約190億ドルであったのに対し、Zelleは約350億ドルとなっています。)

Zelleが短期間でここまで多くの利用者の支持を集めた背景には、銀行が公式にサービスを提供している信頼感に加えて、その使いやすさにあります。Zelleの送金サービスは、ほとんどの場合、銀行が提供するモバイルバンキングサービスに統合され、個人間送金を行う際に自然とZelleが呼び出される形態となっています。また、Zelleでのサービス利用画面はどのアプリでも統一され、すべて「Pay」(支払い)、「Request」(支払いのリクエスト)、「Split」(支払いの分割)の3つの機能を呼び出して利用するもので、その利用画面も、(たとえコーポレートカラーが赤色の銀行であっても)すべてコーポレートカラーである紫に統一されています。

このように大手金融機関が提供するFintechサービスであっても、UXに配慮し、日常的に使いやすいサービスであれば、顧客からの支持を集めることは明白です。こうした配慮に立ち、短期間で多くの支持を集めたサービスとしてBank of Americaが2018年3月より提供するチャットボットサービスEricaが挙げられます。同サービスは、提供開始から半年余りで360万人のユーザー(月間利用者数)を獲得しています。同サービスの特徴は、ユーザー一人ひとりの問いかけの意図を正しく理解して振る舞うことができる点にあります。例えば、「先月、Amazonでいくら利用した?」と尋ねると、その利用明細と合計額が素早くスマートフォンに表示され、合計額を読み上げてくれます。EricaはBank of America内部で数年かけて開発されました。その際、人々が金融サービスの利用に際してどのような言い回しを使うのかを徹底的に学習しています。(例えば、「資金移動」という意味を表すフレーズだけでも2,000以上存在し、そのすべてを学習させたということです。)

上記いずれのサービスも金融機関側が中心となって開発を進めたサービスであり、またいずれのサービスもそのUXの高さがユーザーからの支持を集め、短期間で多くの利用者を集めたという特徴があります。これまでUXの高い金融サービスの提供はFintech企業の独壇場といった感がありました。例えば、Zelleの競合に当たるVenmoなどは、決済をコミュニケーションの文脈で提供するといった点が若年層の支持を集め、これまで多くの利用者を獲得してきたのです。金融機関が提供するサービスは、Fintech企業が提供するサービスのように特定のユーザー層の支持を集めるようなある種“とがった”サービスを提供することは難しいかもしれませんが、その“信頼性”や“安心感”といったFintech企業にはない価値を訴求し、ユニバーサルで誰にとっても使いやすいサービスを提供することで、これらFintech企業にも十分対抗できることが証明できたと言えます。

おわりに

最後に、今後のFintechの動向として、先端技術活用により金融サービスの提供品質が大幅に向上するということをご紹介したいと思います。金融業界は伝統的にその時代ごとの先端技術を積極的に活用してきた業界であり、その活用では他業種よりも先行して進む可能性が高いと言えます。例えばブロックチェーンの活用については、数年前より決済に限らず貿易金融やセキュリティなどの様々な分野で実証実験が推進されています。2019年2月には米大手金融機関JP Morgan Chaseが「JPMコイン」と呼ばれる独自の決済用コインの開発を発表し、これが実用化されればグローバル決済サービスの利便性向上と大幅なコスト削減が期待されます。また、2018年頃から量子コンピュータを金融サービスに活用しようと積極的な投資を進める金融機関が増えつつあります。量子コンピュータが実用化された場合、従来のコンピュータと比較してその演算速度が大幅に向上することが期待されており、金融業務のあらゆる分野が大きく変革すると言われています。このため、前述のJP Morgan ChaseやBarclays、そして日本の野村證券などが積極的な投資を表明しています。このほか、2018年6月には、ドイツの大手金融機関CommerzbankがIoTを活用した融資サービスの実証実験を始めるなど、先端技術を活用した新たな金融サービスの開発が様々な分野で進んでいます。スタートアップよりも投資余力で勝る大手金融機関にとっては、いち早く同分野の研究開発を進めることで先行してサービス開発を進める好機と言えるでしょう。今後は、大手金融機関が提供するサービス、スタートアップが提供するサービスの区別なく、先端技術をうまく活用し、利便性や使いやすさに配慮した金融サービスが多くの利用者の支持を集めることになるでしょう。

※弊社では、Facebookページも開設しております。当記事に関するご感想・ご意見は以下のリンク先までお願いいたします。
富士通総研 Facebookページ Ideatank for Cross Industry Business: https://www.facebook.com/Fujitsufrikc/Open a new window

参考リンク

松原義明

本記事の執筆者

コンサルティング本部 金融グループ
チーフシニアコンサルタント

松原 義明(まつばら よしあき)

 

2007年富士通総研入社。入社より一貫して金融業界向けのコンサルティング、調査業務に従事。 現在は海外金融機関における先進サービスに関する調査業務、国内金融機関におけるソーシャルメディア、スマートデバイス活用に関するコンサルティングを実施。 2016年4月 富士通研究所アメリカにてFintechならびに金融サービスの最新動向に関する調査活動に従事。2017年4月帰任。

お客様総合窓口

入力フォーム

当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。