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中国金融市場における最新ITソリューションの動向

中国金融市場における最新ITソリューションの動向


―中国国際金融展訪問記録―

AlipayやWeChat PayといったQRコードを用いたモバイル決済サービスが普及し、日常生活でキャッシュレス化が進む中国。今回は、2018年8月に北京で開催された「中国国際金融展」において注目を集めたロボット、顔認証といった最先端の金融ITソリューションをご紹介する。

2018年12月27日

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富士通総研では、グローバルなFintech、金融IT動向に関する情報収集を目的として、海外で開催される金融ITカンファレンスに毎年参加しています。例年、米国や英国といった地域を対象に視察を行っておりますが、アジア地域におけるFintech動向の高まりを受け、2018年8月、中国にて開催された金融ITカンファレンスに参加いたしました。今回、参加したカンファレンスは「中国国際金融展」と呼ばれ、中国金融業における最大級のITソリューション展示会となっています。同金融展は2018年8月23日から26日までの4日間、中国の首都北京で開催され、約300近くのITベンダー、金融機関等が参加しました。日本企業も数多く参加しており、富士通グループからもATM製造等を手掛ける富士通フロンテックの現地法人が参加しています。日本の10倍の人口を誇る中国にて開催される金融展であることから参加者数も桁違いに多く、毎年数十万人規模の参加者で会場が賑わうと言われています。

すでに多くのメディアが報じているように、中国では小売店での決済においてAlipay、WeChat Payに代表されるQRコードを利用したモバイル決済サービスが広く普及し、日常生活におけるキャッシュレス化が進むなど、Fintechという側面では先進的であるとの印象が強くなっています。このような状況下、中国の金融機関におけるITソリューションに対するニーズとして、どのようなものが挙げられるのでしょうか? 

以下では、同金融展で筆者が注目したソリューションをご紹介していきたいと思います。

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写真1-1. 中国国際金融展の会場(筆者撮影写真より)
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写真1-2. 出展企業一覧(筆者撮影写真より)
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写真2. 富士通フロンテック出展ブース(筆者撮影写真より)

接客を目的としたロボットの積極活用

会場において目立ったソリューションの1つとして、顧客との接客を目的として銀行店舗の店頭に設置することを想定したロボットが挙げられます。ITベンダー、金融機関それぞれが、自社ブースにおいて独自のロボットを展示しており、ロボット達が顧客に“話しかける”様子が会場の至る所で確認できました。日本の金融機関においても数年前より銀行店舗にロボットを導入し、顧客との接客に当たらせる取り組みが数多く行われてきましたが、近年ではこうした取り組みも下火になりつつあるように見受けられます。今回、会場では、こちらで確認できた限りでも10以上のブースでロボットが展示されており、大変注目が高いことが窺えます。これらのロボットですが、人間の行員と遜色ない接客ができるものは無いように見受けられました。その多くは、顧客の注目を惹くために展示されたものがほとんどでしょう。重要となるのはキャッシュレス化が進んだ中国においても、銀行店舗に顧客を誘致することの重要性は依然として高く、様々な仕掛けを活用している点にあります。金融需要が旺盛な中国においては、来店客を惹きつけることを目的としてロボット等の新たな接客手段を積極的に活用していくことが予想されます。

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写真.3 各社ブースで展示されていた多数のロボット(筆者撮影写真より)

銀行店舗で活用される顔認証ソリューション

ロボットに続き、会場内で数多く展示されていたものとして、顔認証ソリューションが挙げられます。Appleによる最新のスマートフォンiPhone Xで生体認証手段として導入されるなど、一般利用者への認知度が高まりつつあります。日本では空港での入国審査において顔認証によるシステムが試験的に導入されるなど、何らかの公的なIDと照合して認証を行う本人確認手段としての活用が進みつつあります。一方、今回の金融展で展示されていた顔認証ソリューションは、金融機関のマーケティング等の目的で活用することが想定されており、その活用方法が大きく異なっていたのが特徴的です。会場で展示されていた顔認証ソリューションでは、銀行店舗の入り口に設置したカメラによって来店した顧客を特定し、取引履歴の有無等を確認して最適な商品・サービスの提案を行うものや、入り口のカメラで顧客を確認後、店舗内の複数のカメラで顧客の行動を確認し、どのようなサービスをよく利用しているのか、その顧客導線を確認・分析することで、今後のマーケティングに活用するといったデモが紹介されていました。このように、黎明期の技術である顔認証技術を積極的に活用している点は注目に値します。特に、銀行店舗など不特定多数の人々が訪れる場で顔認証技術を活用することは、その認証精度を短期間で高めることにもつながります。近い将来、中国が顔認証技術の活用で最も先進的な国となっていることも十分考えられます。

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写真.4 会場で展示されていた顔認証ソリューション(筆者撮影写真より)

今後ともニーズの高いセルフサービス端末

最後にご紹介するのが、1台で様々な銀行取引が実行できるセルフサービス端末です。セルフサービス端末は、ATMのように現金の入出金が行えるほか、生体認証機能、IDカード読み取り機能、ビデオ通話機能などを備えることで、口座開設や各種金融商品の申込などを行員のサポートを受けずに実行できることを目指した端末です。今回の金融展では、こちらも冒頭のロボットを同じく数多くの同端末が会場の至る所で展示されていました。どの端末においても、大型のスクリーンを備え、IDカードや指紋の読み取りを可能とし、加えて通帳の読み取り口を備えています。現地の駐在員によれば、中国においてもお金を正確に管理するために紙で入出金履歴を管理したいとのニーズが高く、特に、年金等が毎月正しく振り込まれているかを確認したい高齢者を中心に通帳を利用したいニーズが高まっているとのことです。また、展示されていた端末には大型のものが多く、これは中国の金融機関ではなるべく多くの現金を準備できる大型の現金カセットを設置することが好まれていることが影響しています。省スペース化、省電力化を志向する日本の端末とはその設計思想が大きく異なっているように思われます。冒頭で示したように、QRコードによるモバイル決済が普及した中国においても、依然として現金を取り扱うニーズが高いことが窺えます。

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写真.5 各種セルフサービス端末の展示(筆者撮影写真より)

おわりに

中国国際金融展ではこのほかにも、仮想現実(VR)技術を活用したショッピング体験デモ、小型のハンディ端末を活用したマルチ決済サービス等、欧米のカンファレンスで展示されているものと類似のものが多く展示されており、正直なところ、技術的に目新しいものが展示されていたわけではありません。むしろ、同金融展において目を惹いたのは、通帳の出し入れに対応したセルフサービス端末などの日本では“当たり前”とされてきたサービスが中国においても利用ニーズが高まっていることです。中国では、モバイル決済といったスマートフォンを用いた金融サービスが一般に広く普及し、現金に加えて、紙のような現物も必要なくなりつつあるといった印象を受けます。しかし、現実には、通帳のような日本の金融機関が長年にわたり作り上げてきた金融サービスインフラに対するニーズもまた高いことがわかります。

今後とも中国などの新興国では日本や米国といった先進国と異なり、既存の社会インフラが整備されない段階で新たな技術やサービスが普及する“リープフロッグ現象”により、主にスマートフォンなどのデジタル端末を用いた革新的な金融サービスが普及し、金融サービスのデジタル化、キャッシュレス化が進展していく公算が大きいと思われます。しかし、急速にデジタル化、キャッシュレス化が進む中でも依然として紙や現金を利用したいニーズも存在し、これらのニーズに対応したサービスもまた強く求められることとなります。中国のように経済規模の大きな国では、こうしたニーズも見逃せないほど大きなものです。この際、日本の金融機関が培ってきた信頼性の高い金融サービスには、新たなサービスを生み出すためのアイデアが詰まっているのかもしれません。

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参考リンク

松原義明

本記事の執筆者

コンサルティング本部 金融グループ
チーフシニアコンサルタント

松原 義明(まつばら よしあき)

 

2007年富士通総研入社。入社より一貫して金融業界向けのコンサルティング、調査業務に従事。 現在は海外金融機関における先進サービスに関する調査業務、国内金融機関におけるソーシャルメディア、スマートデバイス活用に関するコンサルティングを実施。 2016年4月 富士通研究所アメリカにてFintechならびに金融サービスの最新動向に関する調査活動に従事。2017年4月帰任。

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