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世界最大のFintechカンファレンスMoney20/20参加報告(その2)

世界最大のFintechカンファレンスMoney20/20参加報告(その2)


―今後の金融機関/Fintech企業の挑戦―

伝統的な金融機関やテック企業は金融サービスをどのように変えようとしているのか?
その全体像について、米国調査会社の分析や、展示会の動向から紹介します。
2018年12月3日

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(その1)では、個社の戦略に焦点を当ててMoney20/20で示されたFintech動向を紹介してきましたが、本稿では、伝統的な金融機関やテック企業(FintechやICT企業等)が金融サービスをどのように変えようとしているのか、その全体像について、米国の調査会社CB Insightsが行ったキーノートスピーチから紹介します。同社は、今後、テック企業によって銀行機能がますますアンバンドリングされて提供されると予測しており、伝統的な金融機関に対し、トレンドに乗り遅れないことの重要性を主張しました。

また、同時開催された展示会では、約470社が自社商品・サービスや今後の方向性について展示を行いました。以下では展示会の出展傾向についても、簡単に紹介します。

1. 銀行のアンバンドリング

CB InsightsからはCEO & Co-FunderのAnand Sanal氏が、今後のFintechの展開について、キーワードを用いつつ論じました。ここでは、Sanal氏が強調していたキーワードを軸に、今後の傾向を紹介します。

「Technology is eating every industry(テクノロジーがすべての業種を食い尽くす)」。Sanal氏は、使い古された言葉をアレンジし、上記の状況が金融機関も含めて生じていると指摘しました。モバイル等の新たなテクノロジーは、固定電話等に比べて素早く社会に適用され、企業収益を急増させ、異業種への参入障壁も下げて、競合関係に大きな変化をもたらしています。これは、金融業界も例外でなく、金融機関におけるテクノロジー化や業界構造の変化が進んでいます。

実際、JP Morgan Chase & Co.のCFO、Marianne Lake氏や、Goldman SachsのCEO、Lloyd Blankfein氏等は、テクノロジーを積極的に活用し、自社を「テック企業」と位置づける発言をしています。Goldman Sachsでオープンになっているポジションの約半数は技術職になります。こうした状況を、Sanal氏は、「Everyone is a tech company(皆がテック企業になる)」と表現しています。

伝統的な金融機関は、どのように生き残ることができるか? Sanal氏は、iPhone登場に対するBlackberryの失策を事例に、「Faster product, process, distribution innovations(迅速な製品/プロセス/流通のイノベーション)」の重要性を説きます。多くの企業は、イノベーションに向けた研究開発に多大な時間をかけ、新商品・サービスのローンチ時にはすでに時代遅れのものとなっていることを指摘します。新商品・サービスを提供するうえで、競合企業や異業種の参入者、市場全体の動向から事業機会を見出し、時に他社の戦略をコピーしつつ、新たなアイデアの試行を、迅速に実行することが重要になります。例えばPayPalは、Swift Financial(2017.8)、iZettle(2018.5)、Jetlore(2018.6)を買収することで、Squareのサービスを迅速に模倣し、小売業向けサービスを開始しました。

そして、異業種は、金融機関が高い手数料を課している領域に特化して金融機能を提供するアンバンドリングを一層進めていることを示しました。特に、Amazonは、「amazon cash」がChecking Accountを、「amazon.com/amazon prime visa」がCredit cardsを、「amazon lending」がLine of credit/Loansを、「amazonprotect」がinsuranceを提供しており、Chase Bankのビジネス向けサービスに代替する機能を、部分的に提供し、結果的には総合的に提供していることを例示しました。

さらに、中国のAnt Financial はAlipayをローンチしてから数年で、世界の金融機関の時価総額(2018)Top10入りし、さらなる成長を遂げています。こうした状況を踏まえ、「Seeing possibilities(可能性にかける)」、まずは疑うことをやめて自社に影響を与え得る8~10のトレンドや競合企業を特定し、その中から、起こり得ないと思える大きなチャンスを3~4つ考え、それを起こすために必要な事項5つをそれぞれ見つけることが重要だと、Sanal氏は主張しました。

2. 認証・スコアリング・海外送金への注目

同時開催された展示会では、多様なFintechサービスを提供する417社が出展していましたが、主に3つの分野に注目が集まっていたと考えられます。まず、顔認証等を含めた「生体認証」、そして多様なデータを用いた「クレジットスコアリング」、手数料を大幅に削減した「海外送金」の分野です。この分野については、キーノートスピーチやトラックセッションでも多く取り上げられており、今後の注目分野と考えられます。

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写真.1 顔認証技術を提供するOnfido(筆者撮影写真より)

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写真.2 多種多様なデータからUnbanked/Underbanked層を含めてスコアリング技術を提供するTrust Science(筆者撮影写真より)

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写真.3 ギフトカードを利用して疑似的に海外送金を行えるSWYCH(筆者撮影写真より)

おわりに

(その1)および本稿で紹介したことを整理すると、金融業界が未開拓市場へのサービスを展開する中で、伝統的金融機関やテック企業は金融機能をアンバンドリングさせ、顧客ニーズに即し、より顧客経験を向上させた金融サービスを提供できるように変化していることが示唆されます。これは、Fintech自体が成熟し始めており、目覚ましい革新というよりも、さらに地に足の着いたFintechサービスが求められているのだと考えられます。

上記以外にも、Money20/20では、AI(Artificial Intelligence、人口知能)を「Augmented Intelligence(ヒトの能力を補佐する知能)」という概念として理解する取り組みや、外部環境として小売業の転換やZ世代の動向等、多様なテーマが論じられました。

今回で7回目を迎えたMoney20/20は、例年にも増して開催地の米国以外からの参加者が増加しており、グローバルに注目されるFintechイベントとして認識されつつあることが窺えます。本年のMoney20/20に参加し、(その1)および本稿で紹介したようなFintechを取り巻く多様な成長機会に出会えたことは、大きな収穫であったと考えます。

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参考リンク

朝倉隆道

本記事の執筆者

コンサルティング本部 金融グループ
シニアコンサルタント

朝倉 隆道(あさくら たかみち)

 

2010年富士通総研入社。入社以来、新たな技術を実社会に適用するための社会的/制度的課題の解決に向けた受託調査研究やコンサルティングに従事。
近年では、データ利活用を促進するための諸外国の制度動向調査や国内の制度検討、海外金融機関における先進サービスに関する調査を実施。
2016年6月から2017年6月には、米国富士通研究所にてプラットフォーム・ビジネスの事業戦略や事業展開に伴う社会および制度上の課題に対する調査活動に従事。

佐藤 新

本記事の執筆者

コンサルティング本部 金融グループ
アシスタントコンサルタント

佐藤 新(さとう あらた)

 

2017年某大手都市銀行入行。入行以来法人営業、融資業務を経験。
2018年に富士通総研入社。
富士通総研入社以後は、主に海外の金融機関やFintech企業の経営戦略や先進的な商品・サービス等の調査に従事。

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