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DXに向けた企業の課題と対応策

経済産業省が昨夏に発表した「DXレポート」を契機に「DX」の関心が高まっています。DXに取り組んでいる企業はどこで課題にぶつかり、どのように解決しようとしているのか、富士通総研がご支援したプロジェクトの事例から、企業の課題と対応策をご紹介します。
(シニアマネジングコンサルタント 安室 洋明)

掲載日:2020年2月10日

casestudies99

概要

経済産業省が昨夏に発表した「DXレポート」を契機に「DX」の関心が高まっています。DXは従来のIT化と比べて革新的な成果を得られる可能性がありますが、想定通りの効果が実現できるとは限らず、思ったように進んでいないこともあるようです。

実際にDXに取り組んでいる企業がどこで課題にぶつかり、どのように解決しようとしたのか、DX関連のプロジェクト事例紹介を通して、DX推進する企業の課題と対応策をご紹介していきます。

課題

DX機運の高まり

経済産業省が昨夏に発表した「DXレポート」を契機に「DX」という言葉が本格的に使われるようになり、富士通総研(以下、FRI)でも「DX」をテーマとしたプロジェクトが増えてきています。

従来の業務パッケージ/ソリューションの適用等のIT化による効果は一部業務の効率化であり、システムへの入力や、システムからの出力結果をもとに次のアクションを行うといった、システムの世界と現実の世界のつなぎは人間が行っているのが実状です。

DXでは、例えば、製造機器の稼働データを収集・分析し、分析結果を故障予兆に活用してメンテナンス計画を最適化、また利用状況に応じて新たな営業活動への展開、製品改善へのフィードバック等、データを活用することで従来以上の様々な効果が期待できます。

しかし、DXによる価値創出は想定通りに実現できるとは限らないので、DXの恩恵を受けるためには試行錯誤のプロセスを経る必要があります。

また、システム部門でも社内でDX機運の高まりに向けて、新たなIT投資を可能にするために既存システムの整理や基盤整備など、準備しておく必要があります。

実際にDXに取り組んでいる企業はどこで課題にぶつかり、どのように解決しようとしているのでしょうか。

DXに取り組む企業の課題

企業のDXは、新たな事業/サービス立ち上げや、業務改革のような企業内活動の中で取り組むケースが多いと言えます。以下にそのステップを示します。

新事業/サービス立ち上げや業務改革活動は、トップからの発信や事業側での発案に端を発し、DX推進組織や社内プロジェクトで検討が行われます。新たなデジタル技術の活用で価値を創出する際には、プロトタイプによって試行~検証を重ねてブラッシュアップしていき、実運用に向け展開していきます(図1)。

【図1】企業内活動取り組みステップと課題領域
【図1】企業内活動取り組みステップと課題領域

このステップの中で、筆者が経験した課題をご紹介します(図1の(1)(2)(3))。

(1)DXに対しシステム部門は何から取り組むべきか?

社内のシステム部門では事業側から声がかかってから対応するのではなく、システム部門側で準備できることは対応しておく必要があります。とは言っても何から取り組むべきなのか方針を明らかにする必要があります。

(2)デジタルビジネスを支えるシステム基盤とは?

DXに向けた取り組み方針が明らかになっている場合でも、個別ビジネスに個別システムで対応すると、開発/運用面でのコスト負担が増える結果となります。共通性の高いシステム基盤を整備することで、コスト抑制を図りつつビジネスの迅速な立ち上げを支援する必要があります。

(3)デジタルビジネスの立ち上げをどうするか?

こちらは事業部門側の課題で、社内で新規事業プロジェクトが立ち上がった際に、どのように進めるか、経験・ノウハウが不足している場合の課題です。

以下、3ケースに分けて企業の課題とFRIがご支援をした対応策をご紹介します。

ケース1

DX推進に対しシステム部門は何から取り組むべきか?(大手製造販社A社)

課題

大手製造業販社A社は、親会社の販売/サポート機能を担っています。様々な新商品に対し、販売時期に間に合わせることを優先して販売システム構築を続けた結果、個別最適でサイロ化されたシステム構造となっていました。その結果、システム予算の9割近くが既存システムの運用・保守に振り向けられ、新たな投資を圧迫している状況でした。また、顧客等の情報も個別システムに重複して保有しており、システム横串で実績情報を把握することが難しい状況でした。

しかしビジネスの現場では、モノ売りからコト売りへの変化、システム構築も含めたソリューション販売、商品/サービスの組み合わせ販売等多様化が進んでおり、現行システムへの改修は限界に達していました。

A社システム部門では、現行システム上の問題は山積している中、DX推進に向けた準備も行う必要があると考えていましたが、何から取り組むべきか、が課題となっていました。

対応策

通常では現状課題を整理し、それを解決する施策を検討する課題解決型アプローチが一般的ですが、今回は「DX推進指標」を活用した目標達成型アプローチをとりました。「DX推進指標」で各関係者にアセスメントを行ってもらい、各人の結果と全体集計を共有し比較することで、現状レベルと目標レベルのギャップが可視化でき、DXに対する自社の強みや弱み、改善すべき領域といった関係者の考え方の差など新たな気づきを生むことができました(図2)。次に事業や業務の施策を事前に想定し、DX化に向けたITの目標や道筋を関係者で検討し、システム部門が優先的に取り組むべき領域を明らかにしていきました(図3)。

【図2】DXアセスメントイメージ
【図2】DXアセスメントイメージ

【図3】DXの目標、道筋及び優先取り組み領域(部分)
【図3】DXの目標、道筋及び優先取り組み領域(部分)

その結果、DXを推進するシステム構築、システムを維持する業務ルールの設定、現状運用コスト削減に向けた取り組みなど、いくつかのテーマを抽出・定義しました。

「DX推進指標」によるアセスメントは、自社の状況を客観的に把握し目標に向けて必要な取り組みを抽出することができるので、中期的な戦略を検討するには有効と言えます。

ケース2

デジタルビジネスを支えるシステム基盤とは?(大手製造業B社)

課題

大手製造業B社はデジタル化にシフトするという経営戦略のもと、今までのモノ売りビジネスから、新たなサービスビジネスの強化に取り組まれている企業です。

システム部門では新規ビジネス立ち上げの都度、個別システムを開発するのではなく、サービスビジネスに必要なシステム共通基盤をあらかじめ整備し、新規ビジネスに依存する個別機能のみ構築することで、スピーディーなビジネス立ち上げに寄与できないかと考えていました。既存事業向けのシステムはある中、システム共通基盤にどこまでの機能を整備すべきか、既存システムとの関係をどうするか、が課題でした。

対応策

通常のシステム上流工程では、お客様の業務内容や要望をもとに業務/システム要件を抽出していくのですが、B社では新ビジネスが構想レベルであることから、業務要件を抽出していく段階ではありません。そこで、B社として今後考えられるビジネスパターンを仮説で整理し、各パターンを比較して共通性の高い機能を洗い出し、システム共通基盤に必要な機能を抽出する手法をとりました(図4)。

システム共通基盤は、既存システムとは一旦切り離して構築する手法をとりました。既存システムの規模が非常に大きく複雑であったので、システム連携による様々なリスクを抑えることと、小さくシステムを構築しスピーディーな導入を優先したためです。

【図4】進め方イメージ
【図4】進め方イメージ

ケース3

デジタルビジネスの立ち上げをどうするか?(大手製造業の新規事業C部門)

課題

大手製造業の新規事業C部門ではヘルスケア市場へのデジタルビジネス参入に取り組んでいました。参入にあたり、元々C部門にはIoT系ソリューションがあり、数十社の導入実績がありました。そのソリューションを柱に新たなデータ活用ビジネスを立ち上げる準備を進めていました。

FRIは、物販の仕組みの構築を支援する依頼を受けました。物販の目的は、C部門の既存顧客に対する関係深耕という位置づけとなっていましたが、そもそもC部門が進めようとしているデジタルビジネスと物販の関係が曖昧でした。一緒に物販の業務設計を進めていたC部門メンバーも、自分のタスクをこなすのに精一杯でメンバーの方向性が一致しているのか疑問でした。このままではビジネスのスムーズな立ち上げに支障が出ることは明らかでした。

対応策

C部門メンバーとの打ち合わせを重ねているうちに部門内では戦略、商品企画、マーケティング、物販と専門チームに分かれ、各々が自立的に進めているため、チーム間の検討状況があまり共有されていないことが分かりました。

そこで、C部門のビジネス目的と全体像を明確化し、物販の位置づけを整理することを提案しました。C部門のビジネスの目的を、データ活用による売上創出と定め、それと物販の仕組みとの因果関係を整理、目的につながる道筋を整理し、目標達成に必要な施策と優先順位を整理することを行いました。このような整理がメンバーのベクトルを合わせるのに有用でした(図5)。

【図5】目的と施策の関係明確化
【図5】目的と施策の関係明確化

事例を通じて見えてきたこと

ご紹介した3つのケースは「デジタル化」が共通キーワードではありますが、内容はIT中期計画策定、次期情報化構想や、新規事業企画といった、従来のコンサルティング領域の中で議論される課題でした。しかし、混沌とした状況の渦中におられるお客様にとっては、第三者の視点で現状を可視化し、その後の方針を整理したことに価値を感じていただけました。

DXに取り組む企業では、まずケース1で活用した「DXアセスメント」で現状を可視化し、関係者と共有したうえでその後の道筋を見つけていくことは非常に有効です。

またケース1、2はシステム部門がDXに向けた準備として持つ課題です。自部門を取り巻く環境を認識しつつ、DXに向けてシステム部門としての仮説を持ち、経営層や事業部門と議論を深めていくことが重要です。

ケース3のような新規事業の取り組みは、正解がない中で各人の暗黙知やアイデア等で進めていくので、目標と施策を整理し関係者の方向性を合わせながら進めることが重要です。

FRIでは、企業がDXを推進するうえで遭遇する様々な課題に対して最適な道筋を導き出すご支援をしていきます。

安室

執筆者プロフィール

オルタナティブ・フューチャーズ 流通グループ
シニアマネジングコンサルタント

安室 洋明(やすむろ ひろあき)

 

1990年富士通入社後、富士通総研に出向、流通/サービス業を中心に、業務改革/次期情報化構想策定、IT中期計画策定コンサルティングを実施、最近ではDX推進支援を担当。

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