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シリコンバレーを活用した、新規事業のアクセラレーション

-イノベーションの震源地から学ぶ、「シリコンバレー共創プログラム」の実践-

時代を動かす変革の中心地であるシリコンバレーで現地の文化やエコシステムに入り込んで活用する方法を提供する「シリコンバレー共創プログラム」について、プログラムを実践した日立造船様の事例を通してご紹介します。
(シニアマネージャー 瀬藤 佐智子)

掲載日:2020年2月10日

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イスラエルや深圳といった新たなイノベーション震源地が世界の注目を集めていますが、時代を動かす変革の中心地は、現在もシリコンバレーです。なぜならイノベーションを実現するために必要な文化やエコシステムにおいて、継続して他を圧倒しているからです。多くの日本企業もデジタル化の波を受け、技術やビジネスの最新動向を掴むためにシリコンバレーに進出していますが、簡単には立ち上がっていません。その理由は、現地の文化やエコシステムに入り込めないことにあります。現地のエコシステムに入り込んで活用する方法を提供する「シリコンバレー共創プログラム」について、実際にプログラムを実践した日立造船様の事例を通じてご紹介します。

1.DXを迫られる、日本企業のシリコンバレー進出状況

デジタルトランスフォーメーション(DX)は「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味(注1)で用いられますが、実際に企業を形作るのは人であり、DXの根底には構造改革があります。つまり、人の考え方や組織文化をアジャイルに変え、予測不能かつ素早い環境変化に対応していくことが本意です。新たなビジネスのアクセラレーションに注力しつつも、DX時代に活躍する人材育成と両輪で進めることが、現在の企業には求められています。

では、具体的にどうすればよいのでしょうか? 1つの手段としてイノベーション先進地に学びながら新たなビジネスを実現していくことが挙げられます。実際、シリコンバレーを中心に海外に人を出す動きは活発に行われており、多くの大企業は、海外に拠点を設け、社員をシリコンバレーに派遣し、ベンチャー企業と交流させようとしています。(参考:【図表1】)

しかし、現地の文化を理解せずシリコンバレーを訪れてもうまく立ち上がりません。また、現地の活動を通じて得たアイデア等を日本の上司に提案しても、なかなか理解が得られないという、いわゆるピッチャー・キャッチャー問題(注2)を抱えている企業は少なくありません。

【図表1】シリコンバレーの企業のイノベーション拠点数、日系企業がトップに
【図表1】シリコンバレーの企業のイノベーション拠点数、日系企業がトップに(注3

2.シリコンバレーで新規事業を加速するうえでの課題とポイント

(1)シリコンバレーのエコシステムにうまく入り込めない

現地では「4L」や「NATO」といった言葉があります。これは決断できない日本企業を揶揄した言葉で、「4L」はLook、Listen、Learn、Leave、「NATO」はNo Action Talk Onlyの頭文字のことを表します。

日本企業がシリコンバレーに人を出しても思うようにいかないのは、現地のエコシステムに入り込めないことによります。その原因は、現地の文化を理解していないために交流の目的をクリアにしておらず、情報収集だけになってしまっているからです。エコシステムを形成しているベンチャーキャピタル(VC)やスタートアップ等の現地企業からすると、ビジネスにつながらないうえに貴重な時間を割いており、またGive&Takeも成立しないため相手にしなくなってしまうのです。また、スタートアップ企業はお金を求めるだけではなく、スタートアップのステージによって目的が異なるため、相手の状況を理解し連携する必要があります。まずはパートナーとして組みたい相手企業の状況を知り、自らの目的をクリアにする必要があります。

また、シリコンバレーの人々はオープンマインドですが、ビジネスではクローズドな面があります。スタートアップ企業の多くはすでに独自の横のつながりを持っているため、今からエコシステムに入っていくためには現地に信頼できるパートナーを作ることがポイントです。

(2)ピッチャー・キャッチャー問題

日本企業は、現地の取り組みが進んでいても日本側の上司や本社との交渉になると、なかなか理解が得られず進まない、意思決定ができないといった特徴があります。スタートアップ企業は基本的に時間が限られているので、彼らの速度に合わせることがうまく連携していくポイントです。そのため、本社側の土壌づくりも欠かせません。派遣したメンバーのことだけでなく、現地の文化やエコシステム等も理解してもらうよう、日本本社側の育成も重要です。

デジタル化の波の中、日本企業は待ったなしの状況に置かれており、より効率的にこれらの問題を解決していく必要があります。

3.解決策

新規事業のアクセラレーションとDX時代の人材育成について、イノベーション先進地に学びながら実現することを決めたのであれば、トップ層が先陣を切って戦略的に実施すべきです。ここからは、実際に新規事業の共創パートナーや出口探索において、うまくシリコンバレーを活用されてきた日立造船様(注4)の事例をもとに解決策をまとめていきます。

(1)キャッチャー側の啓発活動と現地でのパートナー

日立造船様はグローバルに事業を展開する企業ですが、新規事業のリサーチ等のため、海外でのイノベーションやビジネス動向、新技術の探索を実施しています。経営層自らシリコンバレーを中心とした訪問を毎年行っています。そして、これらの活動が表層にとどまらないよう、当社の「シリコンバレー共創プログラム」を活用して現地企業との連携を実施してきました。

長年シリコンバレーで事業を行っている現地企業をパートナーとし、そのパートナーが持つコネクションを活用することで、すでに確立しているエコシステムにより近づくことができます。(参考【図表2】)

【図表2】「シリコンバレー共創プログラム」の体制
【図表2】「シリコンバレー共創プログラム」の体制
富士通北米拠点と富士通総研、日米で体制を作り実践するプログラム

そのため、単なる視察団でなく、エコシステムを形成している現地のVCやアクセラレータ、大学教授等と会い、ディスカッションを重ねながらその文化を肌で感じることができます。日立造船様はこれらを通じて経営層自らの啓発活動を図っています。

現地でイノベーションを日々実践しているVCから生の声を聞き、実ビジネスに対するアドバイスを受け、現地でどのようにビジネスが生まれていくのか、そのポイントなどを体感します。「リスクをとらないことのリスク」や「失敗から学ぶ」といったシリコンバレーの文化を知り、これからのDX人材育成や事業テーマをよりクリアにしていきます。

また、「シリコンバレー共創プログラム」で顧客をサポートする当社メンバーも、これらの活動を通じて顧客が持つ課題を共有し、より深く現地探索を進める場づくりを実現していきます。

(2)シリコンバレーを活用し、新規事業の加速をスタート

(A)まずは目的をクリアに

日立造船様ではまず経営層自らがシリコンバレーで啓発活動を行った後、次に新規事業に取り組むリーダー4名にそれぞれ4つのアイデアをブレークスルーさせるため、「シリコンバレー共創プログラム」の次のフェーズをスタートしました(参考【図表3】)。本プログラムは、シリコンバレーで培われてきた文化や有識者のノウハウを知り、活用しながらアイデアを磨き、事業パートナーを発掘する活動を行います。新規事業の担当者は日々模索し、悩み、悶々としています。そういった状況では業務外の人に会うことで新たな気づきを得たり、通常と異なる環境に身を置き、発想転換を図ったりすることは重要です。また前述のとおり、スタートアップ企業は時間が限られているため、目的をクリアにして臨む必要があります。

【図表3】「シリコンバレー共創プログラム」の流れ(リーダー向け)
【図表3】「シリコンバレー共創プログラム」の流れ(リーダー向け)

本プログラムの1つとして、新規事業のアイデアをピッチプレゼン(簡易事業計画)としてまとめるプレワークを実施、事前準備をしてスタートアップ企業とのディスカッションに挑みます。本プレワークでは、まず現地でのピッチプレゼンのポイントを講義、その後、簡易事業計画のフレームワークに沿ってアイデアを振り返ります。そして、Bottom Line First等、ピッチプレゼンで押さえるポイントを意識しながらプレゼン資料に落としていきます。また、新規事業の全体像を振り返り、パートナーに求めることを明確にします。

日本の大企業にいると、ピッチプレゼンをする機会は限られており、技術紹介にとどまってしまう場合が多く、目的がぼやけてしまいます。新規事業の担当者は日々そのアイデアに没頭しているため、客観的な視点が思わず抜け落ちることもあります。そのため、プレワークの場を通じて、当社のサポートメンバー等の外部メンバーと一緒にピッチプレゼン資料を仕上げていきます。

また、プレワークと並行して、現地パートナー企業候補を選定していきます。「シリコンバレー共創プログラム」では、現地メンバーと日本メンバーの連携で新規事業の目的に合ったスタートアップ企業等をロングリストとして用意、プレワークの結果を通じてスクリーニングし、訪問先スタートアップ企業を決定していきます。そして、現地メンバーの人脈を通じ、訪問調整などを行います。現地での目利きができるメンバーがスクリーニング行うことで、よりマッチするスタートアップ企業等を選定することができます。

(B)スタートアップ企業へのピッチとディスカッション

日立造船様の新規事業リーダー4名が渡航し、現地スタートアップ企業やVCに対してピッチを実施しました。具体的なアイデアがあり、また要求事項もクリアになっているため、VCからも多くのアイデアが出されます。また、ディスカッションを通じて、新規事業のビジネスモデルを深めるとともに、現地の文化を体験しました。

ピッチを行ったリーダーから、「文化や考え方の違いを頭で理解していることと肌感覚で理解していることの違いは大きい」「環境が揃っていて、こういう場所で事業を立ち上げてみたい」といったコメントや、ビジネスモデルについては「サプライヤー側が考えるほど、ユーザーは意識していない」「双方にとって有益な内容を提供でき、嬉しかった」といった意見を得ました。百聞は一見にしかず、現地の熱量やシリコンバレーの文化を目の当たりにして受ける刺激は大きいと言えます。

(C)ビジネスモデルの振り返り

渡航後、スタートアップ企業やVCから現地で得た情報をもとに、ビジネスモデルをブラッシュアップしていきます。本プログラムではポストワークとして、ビジネスモデルの検討やアイデアソンなどを実施し、それらをより磨いていきます。

いくつかのアイデアはVCからの「技術の使い方のアイデアは市場に考えさせることも手段の1つ」というアドバイスに従い、アイデアソンを実施し、アイデアの深掘りを行いました。また他のアイデアについては、訪問したスタートアップを具体的なパートナー候補として連携していくために、ビジネスモデルを見直していきました。

(3)さらなる新規事業の加速に向けて

新規事業のリーダーたちがビジネスモデルを醸成したら、次は意思決定者の出番です。「シリコンバレー共創プログラム」の次のフェーズの参加者は「経営層」となり、現地のスタートアップを再訪、パートナーシップに向けた意思決定のためのディスカッションを行います。日立造船様では前述のとおり、キャッチャー側の醸成も実施しているため、本社の理解も得られやすい状況でした。(参考:【図表4】)

また、本訪問はテーマを1つに絞って事業を深めることが目的のため、渡航先でディスカッションを行うスタートアップ企業としては、テーマと近しい技術を持つスタートアップ企業を複数ピックアップしました。スタートアップ企業のホームページは情報不足であることも多く、すべての情報が記載されていないこともあるので、実際に会って話すことで初めてわかることも多くあります。各スタートアップ企業とディスカッションを行い、意思決定に必要な情報を引き出していきます。

【図表4】日立造船様における「シリコンバレー共創プログラム」の全体像
【図表4】日立造船様における「シリコンバレー共創プログラム」の全体像

4.「シリコンバレー共創プログラム」の成果

本プログラムの成果について、以下3点が挙げられます。

  • 新規事業をテーマに「シリコンバレー共創プログラム」を実践することで、新規事業のアクセラレートはもちろん、着実にDX人材育成も実現することができる。
  • 自前主義でなく、シリコンバレーのエコシステムに入り込むところから現地企業や外部の知見を取り入れることで、より効率的・効果的に新規事業を加速させることができる。
  • シリコンバレーの場を活用することで、現地スタートアップ企業のスピード感や文化を取り入れ、新たな発見を得て、新規事業をブレークスルーさせることができる。

5.おわりに

富士通総研ではシリコンバレーにある富士通の拠点と連携し、新規ビジネスのアクセラレーションプログラム「シリコンバレー共創プログラム(Silicon Valley as a service)」をご提供しています。本プログラムは大きく分けて、3つのパートがあります。

(1)お客様のビジネスに貢献するスタートップ企業とのマッチング

(2)ベンチャーキャピタルやソートリーダー、米国富士通研究所(Fujitsu Laboratories of  America, INC.)といったシリコンバレー有識者との交流

(3)現地での活動をより有効なものにするための渡航前後のプログラム

「シリコンバレー共創プログラム」は、お客様の状況に応じてプログラムをカスタマイズし、実施させていただいております。

注釈

  • (注1):
    COMPUTERWORLD(2017/08/29)「デジタルトランスフォーメーションの核心はディス ラプション(前)」 より引用。
    https://project.nikkeibp.co.jp/idg/atcl/idg/17/081700064/081700001/Open a new window
  • (注2):
    シリコンバレー等の現地から新たな知やイノベーションを投げ込む「ピッチャー」、その受け皿となる日本本社を「キャッチャー」と呼び、野球に例えて一言でわかりやすく表現。
  • (注3):
    JETRO「シリコンバレーの企業のイノベーション拠点数、日系企業がトップに」より引用、富士通総研にて加工。グラフ中の米国企業は、ベイエリアに本社を置く企業を除く。
    (出所)マインド・ザ・ブリッジ
  • (注4):
    日立造船株式会社<https://www.hitachizosen.co.jp/> 環境装置、工場設備・産業機械、発電設備などを製造している日本の機械・プラントメーカー。地球と人のための技術を開発し、地球規模の環境問題に取り組む企業である。
瀬藤

執筆者プロフィール

コンサルティング本部 DIビジネス室 シニアマネージャー

瀬藤 佐智子(せとう さちこ)

 

設計・製造部門向けのSEとしての活動を経て、現在はお客様のデジタル変革を推進するビジネスプロデューサーとして活動中。2015年から共創ビジネスを推進するプログラム(イノベーション・ファーム)の立ち上げに取り組み、第2回 日経BP Marketing Awards イノベーティブ部門最優秀賞(2016)をプロデューサーとして受賞。特に異業種やスタートアップ企業とお客様とのコラボレーションによるビジネス創出に注力している。

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