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2014年度 私の視点

注目される空き家対策法案と空き家率の最新統計

経済研究所
上席主任研究員 米山 秀隆

空き家の増加が地方、都市部を問わず深刻な問題になっていますが、「空き家対策法案」の今通常国会への提出が予定され、また7月には、5年に1回の統計である総務省「住宅・土地統計調査」の2013年時点の結果が発表され、最新の空き家率が判明する予定になっているなど、2014年度は今後の空き家対策を考えていく上で、重要な節目になると考えられます。

空き家対策法案は、ここ数年、全国の自治体が相次いで制定している空き家管理条例(2013年10月1日時点で272自治体が施行)の内容を、法律レベルでも明確に定めようとするものです。今のところ、条例の施行率が高い都道府県は、人口減少で空き家増加が著しい地域や、豪雪で空き家が倒壊の危険に瀕している地域、あるいは都市部で空き家率は高くはありませんが、住宅が密集し、問題空き家が1軒でも存在すると、近隣への悪影響が大きい地域などです(図)。法律は条令と同様に、問題空き家に対して指導、勧告、命令(命令に従わない場合は罰金)、行政代執行の措置をとるなどの規定を盛り込むとともに、条例では規定しにくかった内容も盛り込むことで(所有者がわからない場合も代執行を行えるようにするなど)、問題空き家の除却を進めていこうとしています。老朽化して危険な状態になっている空き家の除却は、全国で喫緊の課題となっています。

一方、空き家率は2008年時点で、全国で13.1%に達していましたが、その後の人口減少を受け、とりわけ地方では上昇が顕著になっていると予想されます。空き家率の上昇に伴い、中古住宅の利活用についても、自治体、国とも本格的に取り組んでいく必要に迫られそうです。昨年度は駆け込み需要で新築市場が活況を呈しましたが、今後は、中古市場を活性化させることで、空き家のまま放置されることを未然に防いでいくことが重要になると考えられます。

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