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【シリーズ】経営実態・目標達成度を映し出す「事務量」(4)

第4回 標準時間の設定/件数取得

2016年12月9日(金曜日)

「事務量」はIE(Industrial Engineering)手法を用いた経営管理のための道具であり、適正人員の配置や効率化の推進を行ううえで有効なものである。富士通総研では、これまで都市銀行・地方銀行・生命保険会社・クレジットカード会社など、主に金融機関における「事務量」導入や「事務量」の活用をご支援した経験から、他の業界でも同様の取り組みが行える場合が多々あると考えている。数回にわたり、「事務量」について、また金融機関における「事務量」の導入について紹介する。

工程表が完成すると、各工程に対応する時間を設定する。工程表のすべての工程に時間が設定されると、その業務の標準時間が設定されたことになる。また、標準時間が設定されれば、あとは、その業務の件数を取得すれば、事務量が算定できる。以下に、標準時間の設定と件数取得について述べる。

Ⅰ 標準時間の設定

1.標準時間の設定方法

標準時間の設定方法は、大きく捉えると2種類ある。1つは実測して設定する方法、もう1つは事務指導担当者など事務に習熟した方が机上で時間を設定する方法である。

実測する場合は、営業店などの現場で計測する方法と、現場を再現した環境で計測する方法がある。富士通総研では、営業店などの現場では計測しない。なぜなら、(1)複数業務を同時に依頼されることが多く、1つずつの業務を切り離して時間設定をすることが難しい、また、(2)測定したい業務が観測時に必ずしも発生するとは限らないからである。営業店現場で測定しないと現実は分からないということで、ビデオでずっと記録し続け、それを基に標準時間を設定している場合もあるようだが、これは、そもそも標準時間の捉え方が富士通総研で意味するものとは違っている。

何が違うかと言えば、(1)「現場実態を反映して標準時間を設定する(ビデオ撮影の場合)」ことと、(2)「本来、このレベルで処理をすることが求められる」として標準時間を設定する(富士通総研の方針)こととの違いである。(1)の場合は、バラツキの著しい現実を見て、どのように時間設定をするのかという疑問もあるが、おそらくは多くのデータを採取して平均を求めているものと思われる。(2)の場合は、現状だと、現実の処理時間よりも短い時間が設定されることが多くなり、結果、この時間を基に後ほど「人員」を算定すると、実際に配置されている人数より少なく算出されることになる。目標とする標準レベルの人員と、実配置人員とに差が生じるが、その差を埋めていくという現場の努力を促すことにつなげることができる。

【図1】標準時間の位置づけ
【図1】標準時間の位置づけ

2.期待されるレベルの標準時間の設定の場合

富士通総研でご支援する場合は、営業店ではなく研修所などで疑似的な店舗を用意し、役割もお客様役・テラー役・役席役等、分担して測定する。主にテラー役については、事務指導担当者などに、現場の行員に到達してほしいレベルの速さで実施してもらい実測する。事務指導担当者の場合は、自然に処理をしてもらうと、最高の理想レベルとなり速すぎてしまう場合があるので、何回か処理をしてもらって、営業店での希望到達レベルの速さを観測者と相談して、目標レベルとする標準的な速度を決めてもらい、以降、その速さで実現してもらう。事務指導担当のレベルであれば、何回か練習を行うと、安定した速度で処理を行うことができるものである。

また、実測ではなく、机上で工程ごとに時間を設定することもある。測定の環境が整えられないとか、プロジェクト期間の関係で、後ほど実測していただくような場合、まず、概ねの「事務量」を求めるために行うことが多い。何人かの事務に精通している方(事務指導役等)にそれぞれ机上で設定してもらい、持ち寄って調整していただく。この方法は、実際には、実測する場合にもその前に工程表通りに処理を行っていただき、実測に必要な時間の予測を立てることに用いたり、また、すべて測定することができなかった場合、あらかじめ設定した時間と実測との差を見て全体業務について調整することに用いたりする。

3.実測する事務の選び方と測定に向けての準備・方法

実測する事務の選び方は、まず、発生件数が多いものは必須である。また、工程が多く、他に流用が利くものを測れば、後ほど同様の工程に結果を当てはめて、他の業務の標準時間設定に用いることもできるため、多くの業務に流用が利くものという選び方もある。

測定は、研修所等で、現場(営業店等)と同じ端末、備品、伝票を用意し、お客様役、テラー役、後方役、役席役等を設定して行う。先に述べたとおり、標準的な処理速度を決めた後、最初は1業務につき3-5回測定し、測定に際しての問題点などを洗い出す。環境が整い、速度が安定してからは、2-3回ずつの測定結果を用いることが多い。事前準備を十分にすることにより、測定の効率は大きく変わるため、必要な備品や伝票など、あらかじめ書き出して準備することをお勧めする。

【図2】標準時間測定に向けた準備(例)
【図2】標準時間測定に向けた準備(例)

また、投資信託の販売等、プロセスは同じであっても、かかる時間がお客様によって異なる可能性が高いなどの理由でこれまでオペレーションプロセス以外は時間設定されてこなかったものも、必須とされる説明にかかる時間を測定することはできる。これにより、説明には最低でも何分かかるという見当がつき、それらの合計で、1件あたりの時間も標準として設定することが可能となる。こうした時間が設定されると、1日に対応できる目標件数も適切に設定できるようになる。

Ⅱ 件数取得

1.件数取得方法

工程表を作成し標準時間を設定しても、件数が把握できなければ、「事務量」は算定できない。そして、「事務量」の中で、本来の意味で「実態」に近いと言えるのは、この件数データである。標準時間や余裕率(後の回で解説予定)は測定結果を基に設定するものであり、実際に生じた時間や余裕の状況を取り込んでいるわけではないからである。

件数取得には、3つの方法が考えられる。(1)システムで取得するもの (2)報告で取得するもの (3)一定の条件で設定するもの(件数未把握事務)

2.システム取得

システムでの件数取得は、業務体系上の業務ごとに取られているか、あるいは、業務体系上の業務の区切りでは捉えられず、ある程度まとまって捉えられてしまうかなど、確認が必要である。また、例えば、「照会」の件数などは、ある業務の一連の工程の中で行う「照会」と、単に「照会」のみ行う場合とで、どのようにカウントされているかの確認が必要である。業務体系では別業務として捉えているのに、システム上はまとめて一括でしか取られていないような業務がある場合は、合算した状態で算定する場合と、一度、伝票等で件数の割合を確認し、一定比率に振り分けて設定するといった対応をする場合とがある。

3.報告による取得

報告での件数取得については、例えば、クレーム対応や機械トラブルなどの件数等、システム上では取れないものもあり、その場合は、営業店から報告してもらうわけだが、営業店の報告負担も考えて決める必要がある。また、今後はシステムで自動的に件数取得できるように対応しておくことも重要である。

最近では、コンプライアンスに関わる業務など報告や検査対応などの業務も増加の傾向にある。人員算定の精度を上げるためには、こうした工程表を作成していない業務も「事務量」の対象業務とすることが望ましい。

こうした業務は1回あたりの時間を設定し、月次・週次・日次等で件数を設定するほか、人数・端末台数・店舗規模等で設定する業務もある。

【図3】件数取得方法
【図3】件数取得方法

こうして、対象業務の標準時間と件数をかけ、その総和で「事務量」を算定する。人員算定については、この総量に対して、1人当たりの稼働時間を設定して、人員を設定する。稼働時間を設定するために求めるのが余裕率である(1-余裕率=稼働率)。これについては、回を改めて述べる。

【シリーズ】経営実態・目標達成度を映し出す「事務量」

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平岩淳子

平岩 淳子(ひらいわ あつこ)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部 シニアマネジングコンサルタント
1984年 富士通株式会社入社、97年 株式会社富士通総研へ出向。
金融機関向け事務量・営業店構想策定・営業店改革・事務集中センター効率化・事務処理方式開発などに従事。