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【シリーズ】経営実態・目標達成度を映し出す「事務量」(3)

第3回 事務フロー分析・事務工程分析

2016年11月25日(金曜日)

「事務量」はIE(Industrial Engineering)手法を用いた経営管理のための道具であり、適正人員の配置や効率化の推進を行ううえで有効なものである。富士通総研では、これまで都市銀行・地方銀行・生命保険会社・クレジットカード会社など、主に金融機関における「事務量」導入や「事務量」の活用をご支援した経験から、他の業界でも同様の取り組みが行える場合が多々あると考えている。数回にわたり、「事務量」について、また金融機関における「事務量」の導入について紹介する。

業務体系が完成し、対象業務を明らかにしたら、事務フロー分析・工程分析を行う。

1. 事務フロー分析

対象となる業務のうち主要なものについて、作業域、担い手、作業内容、作業が行われるタイミング、場合によっては作業に伴う現物等を明らかにする。このフロー分析においては、業務の概要が把握できれば十分であるため、プロセス(機能)の記述を行い、A4の紙面1枚くらいに収まる書きぶりをイメージしていただければよい。

【図1】マクロフロー例(連票総合振込依頼書の窓口受付-センター処理まで含む)
【図1】マクロフロー例(連票総合振込依頼書の窓口受付-センター処理まで含む)

作成したマクロフローは、(1)実際の現場でそのとおりに行われているかの確認、(2)この後の工程表を作成する際の参考資料、そして、(3)「事務量」導入の直接的目的とは異なるが、業務改革を行う際の問題点の把握や改革施策を検討する際の参考資料として用いることができる。

これまでのご支援の経験から言うと、マクロフローの作成は省略できないことはないが、この後の工程表作成の際の理解の促進と工程表を他の業務に展開する作業効率を考えると、いくつかは作成した方がよいと考えている。対象業務範囲にもよるが、見当として15から30くらいの作成を見込めばよい。

「事務量」を算定する範囲が営業店だけに限られる場合もあるが、センターや本部が後処理や前さばきを行うこともある。他のチャネルも作業域として捉えて、業務一連で記載することもできるし、一連の業務の営業店部分だけを見るのか、一連として見るのか、センターと営業店を分けて見るのかなどの場合があり、実際には、営業店部分、センター部分と分けて記載することが通常である。どの場合も、どこの「事務量」を算定するかを明らかにして取り組む必要がある。

2. 工程表の作成

(1)工程表の構成

対象業務が決まったら、主要業務の工程表を作成する。

一連の業務を、「受付」、「確認」、「入力」といった工程に分解して記述する。先に示したマクロフローの1つの箱に対応し、さらに必要に応じて手続きレベルに細分化したものとイメージしていただけるとよい。次に各工程について、作業域、担い手、時間を設定する。先にも述べたとおり、営業店だけの工程表にするか、センターまで入れるかで、作業チャネルの記述が必要か否か分かれる。富士通総研がご支援する場合は、チャネルごとに対象業務の工程表を作成するため、チャネルの記載欄は設けていない。

【図2】工程表例(実際の工程表には、システム用コードも記載される)
【図2】工程表例(実際の工程表には、システム用コードも記載される)

(2)工程表を作成する数

「主要業務」の工程表を作成すると述べたが、それでは、主要業務はいくつかという疑問を持つかもしれない。富士通総研でコンサルティングを行う場合は、対象業務の範囲にもよるが、まず、30業務程度の洗い出しをお願いしている。これまでの経験上、上位30程度の業務で、洗い出した業務の8割くらいの事務量がカバーできると考えている。ただ、最近では工程表を作らない業務の割合が増えているため、「事務量」の対象範囲という意味では、それらの業務もきちんと把握し、時間設定をすることが重要になってくる。

(3)工程表の作成方法(工程の例)

工程表の作成では、まず、工程の種類を設定する。概ねどの程度の精度で工程を設定するかを決めるために、いくつかの業務の工程表を作成してみて、工程を洗い出してから、全体を作り始めることがお勧めである。もちろん、作成を進める中で、追加すべき工程が明らかになることもある。

【図3】工程例
【図3】工程例

工程表を作成する際には、誰でも参照可能であるマニュアルなど、よりどころとなるものを決め、すべてそれに沿って作成する。ただし、マニュアルのメンテナンスが十分に行われていないこともあり得るし、また、現場では実際には異なる流れを標準的に行っている場合もあるため、事務関連部門内で営業店を指導している担当者などに確認してもらい、必要に応じて修正する。

3. 業務の標準化

「事務量」とは直接的には関係ないが、「事務量」をうまく利用するという観点から、工程表の作成は、事務の標準化の推進に役立てることができる。工程表の作成を通じて、業務のムダや不十分な点を認識することがあり、それを改めることができるからである。本来、事務は、効率と堅確の両立を実現できる設計が求められ、それらを兼ね備えたものを「標準」とするべきである。

ただ、多くの金融機関で「事務が標準化されていない」と言う場合は、「拠点によってまちまちの処理(の流れ)で事務を行っており、同様に行われていない」という意味で使われているように思う。先ほども述べたように、マニュアルの修正や、現場への通達・徹底が不十分で正しく行われていない、あるいは、守られていないということもあると思われる。

もう1つの観点では、「同じ意味を持つものについては同様に作られている」という意味での標準化である。例えばリスクが同じであるのに、ある業務では、2回のチェックが行われ、ある業務では3回のチェックが行われているというような状況である。これは、本来であれば、2回が良いのか3回が良いのかを確認し、同程度のリスクには同程度の確認方法で対応するという決めが必要である。このような意味で事務が標準化されていると、実施する側の混乱や迷いもなくなり、不必要に慎重になって「念のため」の事務が行われることもなく、事務が安定することになる。こうした設計がきちんとできていると、マニュアルメンテナンスの負荷も軽くなるはずである。

営業店改革のプロジェクトなどでは、よく、「現場での対応に任せている」という言葉も聞くが、現場に任せるということは、本来どうあるべきかの「標準」を定めていないということになる。「標準」があるからこそ、「標準」が守られていない場合は「標準」を徹底させればよいのか、「標準」が守られている場合はその中身自体を改めるべきなのかを検討し、一斉に施策として実施することができるのである。「標準」がなければ、すべてを個別に見直し、対策を講ずる必要が生じる。つまり、「標準」がなければ、問題が起こった際の対応や施策効果を短期間に一斉に明らかにすることはできない。「標準」を設定するということは重要なことなのだ。

【シリーズ】経営実態・目標達成度を映し出す「事務量」

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平岩淳子

平岩 淳子(ひらいわ あつこ)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部 シニアマネジングコンサルタント
1984年 富士通株式会社入社、97年 株式会社富士通総研へ出向。
金融機関向け事務量・営業店構想策定・営業店改革・事務集中センター効率化・事務処理方式開発などに従事。