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【シリーズ】経営実態・目標達成度を映し出す「事務量」(2)

第2回 作業分析 事務・業務分析(事務の体系化)

2016年11月15日(火曜日)

「事務量」はIE(Industrial Engineering)手法を用いた経営管理のための道具であり、適正人員の配置や効率化の推進を行ううえで有効なものである。富士通総研では、これまで都市銀行・地方銀行・生命保険会社・クレジットカード会社など、主に金融機関における「事務量」導入や「事務量」の活用をご支援した経験から、他の業界でも同様の取り組みが行える場合が多々あると考えている。数回にわたり、「事務量」について、また金融機関における「事務量」の導入について紹介する。

「事務量」を導入するにあたって、現状の作業分析を行う。作業分析は、事務・業務の分析と標準時間の設定に大きく分かれるが、ここでは、事務・業務分析のうちの業務体系の作成について述べる。

1. 業務体系の作成

作業分析では、業務を洗い出し、対象となる業務を明確にする。特に、人員算定まで行う場合は、対象となる業務に対応した人員であることを明確に示せるようにする必要がある。例えば、営業店における為替業務の事務量しか算定しなければ、算定人員は、為替業務を遂行するために必要な人員であり、営業店全体の適正な人員を算定したことにはならない。どの範囲の業務に対して算出した人員であるかを明確に示せなければ、現場においては、その算出結果の妥当性に疑念が生じ、運用に差し障る可能性がある。

また、対象業務を示す場合も、あの業務が入っていない、これも入っていないということになると、そのような対象業務で算出した人員数では、業務が網羅されていないので意味がないという印象を与えてしまい、導入開始時点ですでに運用に耐えられなくなる。つまり、すべての業務を対象としない場合も、現場の納得感を得られるような業務の洗い出しと対象業務の選定が求められる。

富士通総研でご支援する場合は、営業店の人員算定を行う際には、あらかじめ対象業務を限定するのではなく、全業務を洗い出し、その中で対象となっている業務を明確にするようにしている。なぜなら、営業店での業務は、実は多岐にわたり、担当者によっては、いわゆる狭義の銀行業務以外を多く担っている場合もあるからである。

業務の洗い出しは、【図1】に示すように詳細化していく。通常は、【図2】のような一覧にして業務を体系化するが、全業務を同じ詳細度で洗い出す必要はない。ある業務は第1段階まで、また、ある業務は第6段階まで、ということもあってよい。当然のことながら、「事務量」の対象とならない業務については詳細化の必要はない。

【図1】業務の詳細化
【図1】業務の詳細化

【図2】業務体系一覧
【図2】業務体系一覧

2. 業務体系の網羅性と詳細度

ご支援してきたこれまでの経験によると、業務体系の作成は、現状の自分たちの業務の洗い出しであるにもかかわらず、実際にはかなり難しい作業となるようである。必ずお願いしているのは、網羅性に注意していただくことである。先にも述べたとおり、あれもこれも抜けているということであると、人員算定結果は現場から受け入れられないものになるからである。

また、他行ですでに作成した業務体系を基に作成したいというご要望を通常いただくが、これも実は、業務をどのようにまとめて体系化するかは、結果的に各社様々に異なるため、他行の結果を活用しようとしてかえって整理に要する時間・品質に影響を与えることがあるため、【図2】程度のサンプルしかお出ししないことにしている。

通常は、規程類など、「これにすべての業務が入っているはず」と皆が納得するものを基に作成していただくことをお勧めしている。先ほども述べたように、詳細度は業務によって異なって構わない。例えば、「総務」や「人事」は、第1段階のみにするのでも構わない。ただし、実際に営業店の人員を算定する際には、例えば、目標設定や評価面談、パートの採用面談など、営業店で行われていることもあるので、その場合、「人事」の業務に関わる負担に応じ、第2段階・第3段階とレベルを設定すればよい。

規程類を基にしても、例えば、通達の内容が規定に反映されていないこともあるので、一覧が完成した時点で、抜けがないかを関連部署や現場に確認依頼し、臨店調査等でも本部が把握していない業務がないかを明らかにする。

どの段階まで業務を詳細化するかの判断を難しく感じられるようであるが、「分けることに意味がある段階まで」と理解していただくのがよいであろう。いくら詳細化しても、後述する「件数」取得で、件数を業務の詳細化に対応して取得できない場合は意味がないということもある。また、例えば、同じ業務であるが、営業店窓口と渉外の訪問先といった発生場所によって詳細化しようとしても、それぞれで件数を把握できないのであれば意味がないので、分ける必要もないという考え方もある。一方で、この場合には、伝票調査などで、概ねの比率を把握し、件数をそれに基づいて割り振って対応するという考え方もある。

3. 対象業務の選定

洗い出した業務のうち、これまでの「事務量」では定型業務(プロセスが明確で、誰が実施しても同様に遂行できる業務)のみを対象とすることが多かった。例えば、預金・為替を中心とした業務を対象とし、融資や預かり資産等の相談業務は一部のオペレーション業務を除いて対象としないとすることが多かった。しかし、今後は対象とする業務をできるだけ拡大し、人員算定と対応づける範囲を拡大することをお勧めしたい。人員算定に関してだけでなく、実態を可視化・数値化してコントロールできるようにすることが重要であると考えるからである。

例えば、預かり資産に関しても、プロセス(工程)に分け、時間を設定することにより、説明責任を果たすためには、最低でもこれだけの時間がかかるといったことを把握したり、あるプロセスに対応する負荷を明らかにしたりして、効率化施策の方向性を明確にすることができるようになる。

融資については、各作業についての時間を標準化して捉えるほか、「事務量」とは異なる観点であるが、案件ごとの投入時間を管理する方法を導入することによって、より精度の高いマネジメントができるようになる。これにより、案件ごとの収益性や、顧客ごとの収益性、また、収益性を向上させるための課題の明確化や施策の検討も行えるようになる。

4. チャネルの観点の取り込み

「事務量」は人員算定との関係もあり、処理場所ごとに算定することが通常であるが、業務体系を処理場所ごとに作成するのは非効率である。先に述べたとおり、業務体系は、すべての業務を洗い出すので、その業務一覧にチャネル欄を設定し、対応するチャネルに印をつけておけば、業務体系が出来上がった時点で、処理場所ごとの業務体系が完成する。

例えば諸届対応-住所変更-受付という業務の場合、営業店窓口・メールオーダー対応センター・コールセンター・インターネットというチャネルで処理をしているのであれば、それぞれに印をつけ、オペレーションはコールセンターで行わないのであれば、諸届対応-住所変更-データ入力は、営業店窓口・メールオーダー対応センター・インターネットに印が付き、コールセンターにはつかないことになる。

こうして、業務体系が完成した後は、標準時間を記載する欄や件数を記載する欄など拡張して利用することになる。

次回は、事務・業務分析のうちの、事務フロー分析と工程表の作成についてご紹介する。

【シリーズ】経営実態・目標達成度を映し出す「事務量」

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平岩淳子

平岩 淳子(ひらいわ あつこ)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部 シニアマネジングコンサルタント
1984年 富士通株式会社入社、97年 株式会社富士通総研へ出向。
金融機関向け事務量・営業店構想策定・営業店改革・事務集中センター効率化・事務処理方式開発などに従事。