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【シリーズ】経営実態・目標達成度を映し出す「事務量」(1)

第1回 「事務量」と「事務量」導入の進め方

2016年10月17日(月曜日)

「事務量」はIE(Industrial Engineering)手法を用いた経営管理のための道具であり、適正人員の配置や効率化の推進を行ううえで有効なものである。富士通総研では、これまで都市銀行・地方銀行・生命保険会社・クレジットカード会社など、主に金融機関における「事務量」導入や「事務量」の活用をご支援した経験から、他の業界でも同様の取り組みが行える場合が多々あると考えている。これから数回にわたり、「事務量」について、また金融機関における「事務量」の導入について紹介する。これにより、他の業界でも参考になる点があれば、幸いである。

はじめに

富士通総研では、これまで多くの金融機関に向けて、金融機関営業店向けコンサルティングを実施してきた。コンサルティングにおいては、経営と現場の架け橋となり、実効性ある結果を現場にもたらすことを目指してきた。次世代営業店構想策定支援、営業店改革支援、事務効率化支援といったコンサルティングを実施する場合、経営・本部・現場のそれぞれのレベルでその役割に応じ、「実態がどうであり、どのような課題があり、それに対しどのような施策を打ち、その結果、効果がどれだけあったのか」を、何らかの指標を以て認識し、PDCAのサイクルを回すことが重要である。ここでは、「改革の進め方」についてではなく、それを支えるツール・指標として活用した「事務量」について紹介したい。

1. 「事務量」とは

「事務量」とは、簡潔に述べれば、発生する事務の総量を時間で捉える方法である。

「事務量」導入の目的は、主に次に挙げる3点である。

  • (1) 事務量人員算定(適正人員算定)
  • (2) 営業店実態の把握・事務効率化効果の把握
  • (3) 原価計算のための基礎データ提供

金融機関における「事務量」とは、一般的に言う事務の量ではなく、対象となる各業務の1件当たりの標準時間を設定し、その時間に、その業務が発生した件数を掛けた時間の総和を言う。つまり伝票枚数や受付件数といった量ではなく、それを処理するために必要とする時間に件数を掛けた総量である(1件当たりの「標準時間」×件数)。

その総量を1人当たりの労働時間(待ち時間等の余裕時間、研修・教育時間、休暇等を引いた後の時間)で割って人員算定を行っており、これに調整を加えて求めた適正人員の算定が非常に重要である。

数式

【図1】事務量・事務量人員の算定
【図1】事務量・事務量人員の算定

この「事務量」を算出するための仕組みや結果の「事務量」を用いて、適正人員の算定、効率化施策の効果試算や検証、原価計算のためのデータに利用することを主たる目的とした仕組みまで含めて「事務量」あるいは「事務量システム」と呼ぶ。

最近では、対象範囲も定型事務から非定型業務へと広がりを見せ、また導入の結果求めることも、(2)の営業店実態の把握・事務効率化効果の把握を、より詳細に行いたいというご要望が顕著になっている。

「事務量」の仕組み自体は簡単であるが、実際に導入する際には検討すべきことが多くあり、担当者にとっては、なかなか悩ましいところがある。特に適正人員算定や人員配置を「事務量」に基づいて行うとなると、留意すべき点は多くある。これは、順次説明することにしたい。

2. 「事務量」導入の効果

これまで、「事務量」が重要なツールである旨お伝えすると、「導入費用に対して、効果はどのくらいあるのか」と問われることがたびたびあった。しかし、結論から言えば、「事務量」を導入するだけでは、効果は得られない。そもそも、「事務量」自体に効果を導く機能はないのである。これは、体重計を購入しただけでは、期待される減量(増量)効果を明らかにすることができないのと同じである。あくまでも、何らかの状況を示す道具に過ぎず、導入と効果とは直接的な関係はなく、使い方によって効果をもたらすようにするということである。「今後、きちんと健康管理をしていきます」と言っているのに、体重計すら持っていないということであると、「では、どのように管理するのだろう」と思うのと同様、「事務量」も持たない(機能していない)銀行の経営管理とはどのように行っているのかという疑問も生じる。体重計や「事務量」しか、それぞれの管理のツールとして存在しないと言っているわけではないが、分かりやすく使い勝手の良い利用価値が高いツールであると考えている。

3. 「事務量」導入の進め方と考慮すべき点

「事務量」の導入について、富士通総研の場合は、以下の取り組みによって、事務量・人員算定へと導いている。

作業分析として、(1)事務・業務分析(事務の体系化・事務フロー分析・事務工程分析) (2)標準時間設定、事務取扱実態把握として、(3)件数把握 (4)余裕率の設定 (5)補正(モデルの検証)である。

【図2】事務量算定・事務量人員算定へのアプローチ
【図2】事務量算定・事務量人員算定へのアプローチ

これらの各取り組みにおいて、例えば対象業務の範囲、工程表の詳細度、標準時間設定のための時間測定方法、件数把握方法、件数として捉えられない業務の取り扱い、余裕率の考え方・設定方法等、「事務量」導入の目的に応じて対応が変わるものもあり、導入にあたっては、ご担当者が対応に苦慮するところもあると思われる。

また、これまで「事務量」は実態把握のツールという位置づけで紹介してきたが、実は、本当の意味での実態を表す物ではない。後述の説明をお読みいただければご理解いただけるはずであるが、工程表も、標準時間も、余裕率も、「このようであるべきだ」、「このようにありたい」と想定したことであり、実際に測定や観測をして設定した値であるにせよ、全店・全員が・日々この設定どおりに、作業を行っているわけではない。「件数」については、日々の状況を最も反映していると言えるが、それでも「見做して」設定しているものもある。つまり、「事務量」は実態どおりに記録する道具ではないのである。これらの点も留意して、経営実態・経営目標達成度を映し出す鏡として、「事務量」をどのように利用するかという点についても、今後述べていきたい。

【シリーズ】経営実態・目標達成度を映し出す「事務量」

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平岩淳子

平岩 淳子(ひらいわ あつこ)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部 シニアマネジングコンサルタント
1984年 富士通株式会社入社、97年 株式会社富士通総研へ出向。
金融機関向け事務量・営業店構想策定・営業店改革・事務集中センター効率化・事務処理方式開発などに従事。