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エンゲージメントの向上による組織力の最大化

2016年6月17日(金曜日)

1.ワークスタイル変革で目指す姿

様々な企業で取り組まれているワークスタイル変革ですが、よくある取り組みは、会議や情報共有の見直し、ワークライフバランスの実現です。グローバルでの競争激化、労働人口の減少といった環境の変化に対応して、これらの対策に取り組むことは重要です。

しかしながら、本当にこれらの取り組みだけで十分なのでしょうか?

ワークスタイル変革の目的は、「持続的な成長」や「競争力の強化」です。特にグローバル環境では、従来のビジネスやサービスだけで日本企業が生き残ることは難しく、変革によりイノベーションを起こすことが必要です。企業は、自社の商品やサービスが増えるにつれて、事業ごとの縦割り組織となり、大企業では、隣の部門がまるで別の会社であるかのような状態になっています。人や情報が連携されない状況では、イノベーションを起こすことは困難です。

最近ではテクノロジーが進化し、コミュニケーション基盤により、社員同士がネットで簡単に「つながる」ことができるようになりました。事業を超え、フラットで一体感を持った組織を実現し、スピードと多様なニーズへの対応力を上げる。これこそがワークスタイル変革で目指すべき姿と考えます。このためにテクノロジーを活用することは有効な施策です。しかし、テクノロジー導入だけに注力した変革は、必ずと言っていいほど失敗します。社内SNSにより手軽かつ広範囲でのコミュニケーションを目指す企業もありますが、定期的に閲覧・投稿するユーザーは多くても3割といった状況が見受けられます。日常の業務に追われている中、さらに作業を増やすことはなかなかできないことです。社員が自ら意識を変えることが必要であり、経営はそれを支援する責任があります。

2.満足度を超えたエンゲージメント

社員の意識という観点で、すぐに思いつくのが従業員満足度です。ワークスタイル変革に取り組む企業が、変革の達成度を測るための指標として、従業員満足度を定義するケースもあります。満足度を向上することは、経営にとって重要な取り組みです。しかし一方で、従業員満足度が高い企業も組織を超えて「つながる」ことは実現できていません。富士通総研が支援した製造業のお客様は、社内で公開するWebサイトに従業員それぞれのプロフィール(担当業務や経歴、スキル、趣味、顔社員等)を登録し、従業員同士が積極的につながることを目指しました。毎年実施している従業員満足度の調査が高い結果であるにもかかわらず、多くの従業員がその取り組みに批判的でした。その理由は「オープンにすることにより、問い合わせが増えて忙しくなるのが嫌だ」、「写真は恥ずかしい」といったものでした。従業員満足度だけでは、変革は実現できないということが分かります。

自発的に行動する社員なくしてワークスタイル変革は実現しません。そこで注目したいのが、「エンゲージメント(Engagement)」というキーワードです。言葉の意味は、約束や婚約ですが、ここでは「従業員の愛社心」と捉えてください。従業員が、会社に対して強いエンゲージメントを持っていれば、チームや会社のために自らが考え、自分ゴトとして取り組み、組織を超えて効果的なつながりを持つようになります。

米国等の企業では、エンゲージメントを定期的に測定し、向上するための取り組みを開始しています。日本企業もこれからは、満足度を超えた「エンゲージメントの向上」に真剣に取り組む必要があります。

3.経営と現場が一体となった取り組み

以前に比べ、従業員の価値観が変わってきていることにも注目する必要があります。特に若い社員は「自己実現の欲求」が高くなっていると言われています。経営はこれらの変化を正しく捉え、社員がやりたい仕事を実現するための環境を提供しなくてはなりません。例えば、同じ思いを持った社員同士がつながり、バーチャルチームを結成し、必要な情報に迅速に辿り着くことを支援できるテクノロジーを提供することも重要な施策です。社員が所属する組織のミッションや立場から外れた行動を取ろうとしたときに、それを妨害することなく応援することも必要です。このような社員は、日本企業ではこれまで異端児として扱われてきました。しかし、異端児を許容することはイノベーションに相通ずる部分があります。従来の人事管理の発想は、人材の尖った部分を丸くすることでした。今後、価値観の多様性を炙り出したいのであれば、最低限のルールで多くの例外を許容できる組織作りに経営として取り組み、異端児を増やす努力をしなくてはなりません。

自発的に行動する社員、協力して成果を出し続ける柔軟性のあるチームは理想的です。ワークスタイル変革を成功させるためには、エンゲージメント向上と両輪で推進することが重要です。真の変革には時間が掛かります。経営と現場が一体となり、他社より先駆けて取り組みを開始した企業が、組織力の最大化を実現します。

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菊本 徹

菊本 徹(きくもと とおる)
株式会社富士通総研 テクノロジーソリューション事業部 マネジングコンサルタント
12年間の化学メーカー勤務後、独立系コンサルティングファームにてERP導入等に関わる業務プロセス改革コンサルティングを実施。2008年から株式会社富士通総研にて、ワークスタイル変革企画・実行・定着化、ITガバナンス確立・強化等のコンサルティングに従事。