GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. オピニオン >
  4. 海外拠点展開スピード加速がもたらす、グローバル基幹システムの再構築

海外拠点展開スピード加速がもたらす、グローバル基幹システムの再構築

2015年11月26日(木曜日)

1. グローバル基幹システムに求められるもの

近年の日本国内市場の成熟化に伴う国内製造業の海外展開の進展は目覚ましいものがあります。背景は様々ですが、最適生産拠点を求めての海外拠点展開や、M&Aによる会社統合の実現に伴い、グローバル経営マネジメントを支える基幹システムを早期に立ち上げる必要性に迫られており、さらに特徴として、インド、ブラジル、メキシコ、ベトナムといった新興国への展開がスコープに入ってきています。

グローバル基幹システム構築および展開によるグローバルマネジメントプロセス実現の最大の目的は、グローバルレベルでのPDCAサイクルを促進することであり、さらには、経営層判断に必要な情報提供を経営層に向けて迅速に行えることです。

しかしながら、日本企業においてこうしたグローバルマネジメントプロセスを構築することは容易ではなく、グローバル基幹システム構築・展開・運用定着化の各段階において様々な課題が発生することが予想されます。グローバル基幹システム構築は、本来の目的であるグローバルマネジメントをサポートする仕組みとしての意義を見失って、安易な現行焼き直しで終わってしまったり、標準化すべき対象が曖昧となって、結果として見たい情報が異なるコード・ルール・業務プロセスから提供されてしまった結果、経営判断に必要な情報が見られなくなるといった状況に陥りがちです。

また、グローバル経営基盤の展開段階においては、展開時のガバナンスが弱く、各国が独自の機能を追加して導入してしまうといったことや、さらに悪化すると各国の抵抗、反発に遭い、予定通りの導入が進まず、調整に多大な時間を要してしまうということもあります。

さらに、グローバル経営基盤の運用、定着化段階においては、導入後のグローバルでの経営基盤の維持や管理を行う組織がなく、各国の要件をそのまま受け入れてしまうといったことが起こりがちです。

すなわち、グローバル基幹システムの構築・運用は、グローバルレベルでの共通化(標準化)による統制と前線であるローカルレベルでの自由度の許容というバランスが重要であると言えます。

2. 単なる標準化では難しい

グローバル基幹システム展開時は、まず「業務の標準化」が必要と言われるケースが多くありますが、過度な標準化は競争優位性を低下させてしまうリスクがあります。

また、拠点展開時には現地の法的要件には必ず対応しなければならないため、展開国固有の要件を事前に把握することが重要ですが、どこまでをグローバル共通業務にして、現地にはどこまで独自ルールを認めるかという要件はお客様毎にバラバラなので、業務の標準化を考える際には十分に注意しなければなりません。

企業やグループレベルで標準化すべき業務プロセスと、事業や拠点レベルで競争優位性を担保すべき業務プロセスを分けて整理し、企業グループ全体における競争力を担保した上で、標準化を実現することが重要だと考えます。

また、グローバルマネジメントプロセス実現のためのグローバル経営基盤の展開においては、多種多様な利害関係者がプロジェクト推進上の大きな障壁となるケースが多く、利害関係を整理し、標準化をスムーズに推進していけるだけの適切な体制を構築できるかということもポイントとなります。

3. 展開後の拡がり

業務プロセスを標準化してシステムを導入するだけでは、グローバルマネジメントモデルによる経営の見える化が実現されたとは言えず、それらを活用して目標を達成することが最終的なゴールとなります。最近では、自動車メーカーやそれに関わる自動車部品メーカーがメキシコやブラジルなどの新興国へ展開するケースも増えてきており、グローバル最適を追求するためには、日本企業が克服すべき障壁は多々あるように見えます。

しかし別の見方をすれば、ハードルが高いからこそ、競合他社が真似しようとしても難しく、持続可能な競争優位をもたらすことができると考えられるでしょう。

関連サービス

【ICTグランドデザイン】
ICTに関わる豊かな知見と最新の技術を活かし、経営の基盤となるICT環境・情報を的確にデザインすることで、経営革新の実現を支援いたします。


東 大祐

東 大祐(ひがし だいすけ)
株式会社富士通総研 テクノロジーソリューション事業部 チーフシニアコンサルタント
富士通入社以来、SEとして製造業のお客様を中心に基幹業務へのERP導入を実践。2009年から株式会社富士通総研で、ビジネスコンサルティングを開始。現場での導入経験を強みに、業務プロセス改革、基幹業務再構築を深耕。現在は、グローバルERP展開戦略策定、拠点展開プロジェクトのリードコンサルとしてお客様の経営・業務課題解決に携わっている。