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Redefine:顧客価値の再定義 -IoT/IoMの本質的価値とチャレンジ- 富士通総研フォーラム2015に寄せて

2015年10月23日(金曜日)

富士通総研は来年、創立30周年を迎えます。「富士通総研フォーラム」は、幅広いお客様への知の発信の場として1992年から開催しております。私たちは30周年以降を見据え、富士通グループのシンクタンク&コンサルティング会社として、経営者の方々にとってのビジネスの成長・質的向上に資するインテリジェンスをさらに発信する場に「富士通総研フォーラム」を変えたいと考えております。今回は「Redefine:顧客価値の再定義 -IoT/IoMの本質的価値とチャレンジ-」と題して、提言させていただきます。

昨今、一見、説得力があるように見えて具体性がなく、明確な合意や定義のないキーワードが大流行しています。しかし今回の「富士通総研フォーラム」では、現実の様々な社会経済の実態変化を後から捉えて比喩的に使うだけでない、本質的な変化や意味を持つ2つのキーワードを取り上げます。それは「IoT」(Internet of Things)と「IoM」(Internet of Money)です。「IoT」はモノ、「IoM」はBitcoinなどに代表されるお金のインターネットです。インターネットがインフラとなって起きている変化をモノとお金の両面から捉え、「イノベーション」と言われているものの本質に迫りたいと考えています。

最近、「イノベーション」という言葉が濫用されているように感じます。これまでにない全く新しい財やサービスから既存のビジネスプロセスの改善まで、かなり幅広く、また場合によっては都合よく使われており、新しい取り組み全般を示すように思えます。

「イノベーション」と言えば、経済・経営学者のヨーゼフ・シュンペーターが想起されますが、20世紀初頭とは社会経済も大きく変わっており、本質的に全く新しい概念を持つ財やサービスというより、すでにある財やサービスの顧客価値を再定義したものが現在の「イノベーション」の大部分を占めるのではないでしょうか?

例えば、「iPhoneは電話の再発明である」とスティーブ・ジョブズが言っているのは有名な話です。同じアップルで言えばiTunesはレコードやCDを販売するという音楽業界の再定義と言えますし、Googleは百科事典や辞書の再定義、AmazonやAirbnbなど、挙げれば切りがありません。このように、昨今、起きている様々な変化を<顧客価値の再定義>と理解することは、実は、世の中に与える影響やビジネスチャンスをより現実感を持って感じる意味で重要ではないでしょうか?

クレジットカード決済を誰でもできるようにしたSquareは日本でも広まって来ましたが、原点は、「なぜ個人間の決済でクレジットカードが使えないのか? 使えた方が便利だよね」ということだったと言われています。最近ではコンビニエンスストアでSquareのリーダを買うことができます。誰でも初期費用なしで、クレジットカード加盟店と同等、いやスピーディに、かつ軽い負担で決済サービスを利用できるようになりました。これはかなりイノベーティブな出来事ですが、今までのクレジット決済という機能の顧客価値を再定義したものだと考えた方が自然だし、身近に感じられるのではないでしょうか?

イノベーション=人類初の発明、今まで観たり聴いたりしたことが全くないものとなると、私には関係ない遠い世界のものになってしまいます。しかし、既存サービスの顧客価値の再定義と捉えることにより、現実感を伴って開発や実用化、普及に弾みがつくのだと考えられます。

「IoT」という言葉も最初は、ある企業のプレゼンテーションでRFIDによるSCMの変革効果や有効性をアピールするためのものでした。今やその影響や期待は、SCM/DCMの領域、ものづくりやサービス、オペレーションの革新、さらには社会システムの革新まで、グローバルに広がっている状況です。IoTの影響範囲拡大の背景には、ここ数年の間に話題となった「クラウド」「ビッグデータ」「M2M」など様々な技術の積み重ねがあり、それこそがモノのインターネットとしてインターネット上の価値を質、量、精度ともに従来より格段に高めることができた所以だと言えます。社会的認知度を示すハイプサイクルで言えば、「死の谷」はすでに越え、今が「啓蒙活動期」であり、普及の本番です。

日本でこの秋にローンチするAmazon のIoT の試み「Amazon Dash Button」の取り扱いが米国ではすでに始まっています。定期的に補充を必要とするような日用品を簡単に注文できるサービスで、Dash Buttonという横長の小さなデバイスを使います。それぞれ特定のブランドの商品に関連づけられており、多くの種類が用意されています。デバイスの裏に粘着テープがあり、対象となる商品を保管している場所に貼り付けられます。もうすぐ補充が必要だと思ったその場で、このボタンを押して注文できる利便性がどこまで浸透するかは疑問もありますが、三河屋さんの御用聞きや勝手口機能の再定義と言えるのではないでしょうか? 残量の検知はセンサーではないので、完全なIoTではありませんが、注文の回数や周期から次回注文を予測して玄関で待機、などということまでは冗談ではないかもしれません。

ドイツのように国家戦略として新しい産業革命を起こし、世界覇権を狙っている例もありますが、今回の「富士通総研フォーラム」では、国家戦略や一般論ではなく、富士通や富士通総研が具体的に関わっている内容について、どのような思いや狙いでチャレンジしているのか、そこで直面している課題はどのようなものがあるのか、解決の糸口はあるのか、など、第一線で活躍しているコンサルタントから、赤裸々にお伝えしようと思っています。

IoT/IoMの本質的価値を肌で感じていただき、皆様のビジネス価値や質的向上に何らかのヒントとなることができれば幸いです。

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長堀 泉

長堀 泉(ながほり いずみ)
株式会社富士通総研 取締役執行役員常務 第一コンサルティング本部長 金融・地域事業部長
【略歴】
1981年富士通入社、金融機関担当のフィールドSEとして大手地方銀行、メガバンクを担当。
大規模システム統合プロジェクトや新規ソリューション企画に従事。2008年度より富士通総研、2014年度から第一コンサルティング本部長として業種担当コンサルタント全体のマネジメントに従事。