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今こそ「日本的雇用」を変えよう(3)

―「ジョブ型」雇用をデフォルトに―

2015年8月31日(月曜日)

1.2つの働き方、2つの不幸

「今こそ「日本的雇用」を変えよう(2)」で見た日本的雇用の変質は、主として若者たちの働き方に大きな影響を及ぼすこととなった。1990年代前半までに正社員として企業のメンバーシップを得た者はその地位を保証された一方で、それ以降に社会人となった者たちにはメンバーシップが与えられず、非正規雇用に止まる者が少なくなかったからだ。この変質から約20年を経た現在、30代、40代での非正規雇用が大きく増加している。よく知られているように、20代の場合、正規と非正規の間の賃金格差はさほど大きくないが、非正規雇用にはOJTが施されず人的資本が蓄積しないことと、前述のように日本では同一労働・同一賃金が実質的に成り立っていないことが重なって、30~40代では格差が拡大して行く(【図表1】)。ピケティ現象を背景に、最近再び格差への関心が高まっているが、多くの識者が指摘するように、日本の問題は、米国のように一部の突出した高所得者に富が集中することではなく、平均的な生活水準に達しない貧困者の増加にある(注1)。その背景に、こうした中高年非正規雇用の問題があることは言うまでもない。

【図表1】正規雇用と非正規雇用の賃金格差
【図表1】正規雇用と非正規雇用の賃金格差
出所)厚生労働省「非正規雇用の現状」、2012年9月

さらに深刻な問題は、こうした低所得の若者の増加が未婚化を通じて、本シリーズの冒頭に掲げた少子化、人口減少に拍車を掛けている恐れがあることだ。わが国の出生率が1970年代前半の2超から大きく低下してきた(2005年の1.26をボトムに近年やや上昇していたが、昨年は1.42へと9年ぶりに低下した)ことは周知の通りだが、結婚した夫婦が生む子どもの数は大体2超を維持しており、出生率の低下は主に未婚化の結果だった(注2)。もちろん、未婚化には様々な理由があるが、見逃せないのは、雇用の安定しない男性は配偶者を得難くなっているという厳しい現実である(【図表2】)。いまだに性別役割分業意識の根強い日本では、女性は、安定した収入を稼ぐ男性と結婚できるまで親と同居して待とうとするからだろう(注3)。

【図表2】雇用形態と未婚化
【図表2】雇用形態と未婚化
出所)「男女共同参画白書2014年版」

それでは、正社員の地位を勝ち得た若者たちは幸せなのだろうか? 非正規雇用の若者より恵まれているのは間違いないが、「今こそ「日本的雇用」を変えよう(1)」で述べたように日本の正社員の労働時間は極めて長い。特に、企業が正社員の数を絞り込んだ90年代後半以降は、若年の正社員の数が大幅に減ったため、20代~30代の正社員の残業時間は非常に長くなっていると言われる。「仕事が忙し過ぎて、異性と出会う機会自体がない」とはよく聞く嘆きである (注4)。結局、日本的雇用が変質した結果、若者たちには2つの働き方が生まれたが、それは2つの不幸な働き方ではないのだろうか(注5)。

2.つまみ食い的規制緩和の弊害

以上に見たような、とりわけ「変質」後の日本的雇用が抱える問題は、すでに広く認識されており、政府からも様々な改革への政策や提言が打ち出されている。しかし筆者は、日本的雇用が日本型経済システムの中核にあり、財政や教育などの制度とも密接な関係にあることを踏まえると、「メンバーシップ型」という日本的雇用の本質に手を着けることなく、つまみ食い的に規制緩和を進めると、弊害の方が大きいのではないかと懸念している。この点について、少し説明しておきたい。

その第1は、解雇規制の緩和についてである。実は、この点の理解において、本稿で繰り返し言及してきた濱口桂一郎氏の研究が最も大きなインパクトを与えたと考えている。日本では、業績不振時などでの整理解雇に際して、企業側が(1)人員削減の必要性、(2)解雇回避の努力義務(注6)、(3)被解雇者選定の妥当性、(4)解雇手続(労働組合、労働者への説明、協議)という4条件を満たさない場合には、解雇自体が無効になるという「解雇権濫用法理」がある。これに対し、筆者を含む多くのエコノミストは、この解雇規制の厳しさ(特に(2))の結果、企業が雇用に対して過度に慎重になり、失業や非正規雇用が増えている。だから、この規制を緩和することが必要だと考えていた。しかし、濱口氏が明らかにしたことは、これは仕事の内容や仕事の場所などに関して、会社が極めて広範な指示・命令権を持つことへの対価であるという点だった(労働者が「どんな仕事でもします」と言い、その約束に従ってきた以上、何かの仕事は見つけられるはずであり、会社には見つける義務があるという論理だ)。実際、日本では厳しい整理解雇の規制が存在する一方で、配置転換や転勤だけでなく、出向や転籍の命令に対しても労働者が抵抗する権利は認められないことが判例で確立しているとのことである。そうであれば、企業は解雇規制の緩和を求める代わりに、雇用契約の無限定性の方を改めれば良いだろう(注7)。

第2は、ホワイトカラー・エグゼンプション(注8)の導入についてである。個人的な話になるが、職業生活の大部分を調査・研究部門で過ごしてきた筆者にとって、残業時間規制は極めて厄介なものであった。調査・研究は、労働時間で成果が決まらない仕事の代表であり、正直「工場と一緒にしないで欲しい」と思ったのは一度や二度ではない。しかし、濱口氏の主張を踏まえて考え直すと、調査・研究部署でも、一人ひとりの職務が明確に決まっていたわけではない。そのような場合には、上司がしっかり管理しないと、際限ない長時間労働になりがちだった。現在の日本の無限定正社員に対し残業規制を緩和すれば、特に悪意ある上司の下では危険な事態を招きかねない。やはり職務の明確化を先行する必要があろう。

第3に、「限定正社員」導入の議論がある。限定正社員と「ジョブ型」正社員の関係は定かでないが、どうやら大まかな仕事の分野や勤務地は「限定」するが、明確な職務規定(job description)を定めるものではなさそうである。銀行や商社などの一般職のイメージとも考えられるが、そうであれば、特段の規制改革は必要ではない。もちろん、無限定正社員と非正規雇用の間にもう少しバランスの取れた第3の職種を設けようという意図はよく分かる。しかし、これまで述べてきたように、問題の所在が正社員の無限定な働き方の方にあるとすれば、それをデフォルトとしたまま、別途「限定」正社員の仕組みを加えることで良いのか疑問が残る。

3.「ジョブ型」雇用をデフォルトに

むしろ、今本当に必要なのは、職務の定めのない「メンバーシップ型」正社員に代えて、明確な職務規定を雇用契約に書き込んだ「ジョブ型」正社員を雇用形態のデフォルトとすることだと筆者は考えている。職務が決まっているため、その仕事が無くなったり、支店や工場が閉鎖されれば雇用を失うが、そうでない限り長期雇用である(注9)。雇用の不安定を心配されるかもしれないが、これまでの職務履歴(job record)が記録されていれば、再就職にも役立とう(「○○会社××部所属」だけでは、他社の人にはどのような仕事ができるのか分からない)。その場合、給与は基本的に職務給になるが、カイゼンが得意な日本人には、職務として「やる仕事は明記するが、やり方までは決めない」ことで、やり方の工夫に対し成果給(ボーナス?)を加える部分的成果主義はあってもいいかもしれない(注10)。給与水準は、今や夫婦共働きがデフォルトの働き方だという前提(【図表3】)の下で、

ジョブ型正社員2人分=日本型正社員1人+パート主婦1人+α

くらいで良いのではないか。これで子育ては十分可能なはずだ。

【図表3】共働き等世帯数の推移
【図表3】共働き等世帯数の推移
出所)「男女共同参画白書2015年版」

もちろん、「ジョブ型」正社員以外にも働き方はあって良い。1つは「残業、転勤、何でもあり」でモーレツに働く管理職と一部の幹部候補生だろう。ジョブ型が基本の欧米では、「他の者に属せざる仕事」は管理職の仕事であり、管理職は高給を食む代わりによく働く。ただし、彼らは失敗すれば責任を問われるし、より高い地位と報酬を求めて転職して行くので、メンバーシップ型にはならない。従来の日本では、メンバーシップを与えられた正社員は「誰もがいずれ管理職」という前提で、「○○君、あれをやっておいてくれたまえ」などと指示を与えるだけの管理職が増え過ぎたことが、ホワイトカラーの低生産性につながっているのではないだろうか。

他方、これからはますます女性や高齢者に働いてもらわなければならない以上、よりフレキシブルな働き方も必要である。幼い子どもを抱えた女性はどうしても短時間労働にならざるを得ないし、高齢者の中には、収入のためというより、健康と生きがいのために短時間なら働いてもよいと考える人たちがいるだろう(先に見たように、相当な高齢になっても働きたいと思う高齢者の数が多いことが、今後、超高齢社会へと向かう日本の数少ない強みの1つである)。こうしてジョブ型正社員を中心として、その両側にモーレツ管理職とワーク・ライフ・バランス重視型の働き手がいるイメージになる。こちらの方が、現在の「一生食うには困らないが、いつも会社の言いなり次第の生き方を強いられる無限定正社員(多数派)」vs「低所得で、将来不安のため結婚もできない非正規労働者(少数派)」という図式よりも、遥かにまともな社会だと筆者は思うのだが、いかがだろうか。

4.戦略的補完性とビッグ・プッシュ

それでは、こうした変革はどうしたらできるのだろうか? ジョブ型の雇用契約は現在でも可能だから、これは規制の問題ではない。本来であれば、1995年の日本的雇用の変質において日経連がリード役となったように、その後継者である経団連が旗を振って変革を進めるのが望ましいと思う。しかし、現在の財界には日本型雇用そのものを変える意思はなく、メンバーシップ型雇用を残したままで解雇規制緩和やホワイトカラー・エグゼンプション導入といった、自らに都合のよい規制改革を求めて行く方針のようである。

しかも、ここで難しい問題となるのは、他の会社が日本的雇用を続けている限り、自社も日本的雇用の方が有利という、いわゆる戦略的補完性(strategic complementarity)が存在することだ(注11)。実際、他の会社がメンバーシップ型を維持しているなら、転職市場は発達しないので、中途採用は容易でない。しかも、途中でメンバーシップから離脱した社員は何らかの問題ある人物と見なされがちである。そうなると、労働者はメンバーシップ型よりも職を失う確率の高いジョブ型の働き方を敬遠するようになるだろう。結局、ジョブ型雇用をデフォルトとするような会社の数は増えず、夫婦2人がジョブ型で共働きといった先の家族の姿はあり得ないことになってしまう。しかし逆に言えば、各社が一斉にジョブ型雇用をデフォルトとするように転換することなら可能なはずである。経済理論的に言うと、戦略的補完性がある場合には、(1)皆がメンバーシップ型と、(2)皆がジョブ型という2つの均衡が存在する(筆者の理解では、(2)の方が「良い均衡」)ことになる。問題は、(1)から(2)へなかなかジャンプできないという点にあるが、経済理論が示唆するのは、そういう場合に、政府のような大きなプレーヤーが掛け声をかけて皆で一斉にジャンプする方法である。これは、しばしばビッグ・プッシュ(big push)などと呼ばれる。

ここで大変に興味深いのは、このビッグ・プッシュこそ、これまで安倍政権が成長戦略などで何回も使ってきた得意技だという点である。その第1が、政労使会議などを使って企業に賃上げを迫ってきたことだ。前にも見たように、日本のデフレの大きな要因の1つは賃金の低下だったから、デフレ脱却には賃上げの実現が鍵になる。しかし、円安などで企業収益は改善しても、他の企業が賃上げをしない中で自社だけが賃上げを行えば競争上不利になるので、「賃上げは収益改善がもう少し定着してから」と考える企業が多かった。これに対し、円安で物価が上がっても、賃金が上がらなければ実質賃金が目減りして、経済の好循環につながらないと考えて、首相を先頭に政府が賃上げ圧力を掛けたのだ。これは、典型的なビッグ・プッシュ政策である(注12)。第2は、女性の登用の推進である。女性の登用に関して戦略的補完性があるかは微妙だが、これまであまりにも遅れていた女性の登用が少しずつ進み始めたのは間違いない(注13)。第3は、コーポレート・ガバナンス重視だろう。中でも注目すべきは、機関投資家に企業経営への監視役を求めたスチュワードシップ・コード(注14)の導入である。従来、日本の保険会社等は多額の株式を持っていても、自社だけが経営陣に厳しい態度で臨めば、団体保険の獲得や年金の受託等で不利になることを恐れて積極的な発言は慎むことが多かった。こうした消極姿勢に対し、スチュワードシップ・コード導入は、政府が大株主としての責任を求めたもので、現に最近では機関投資家の企業経営への発言(voice)は活発化しつつある。

さらに興味深いのは、こうした政府のビッグ・プッシュが海外の投資家などから高い評価を受けている点だろう。実際、海外の投資家が最も評価している成長戦略は、賃上げとコーポレート・ガバナンス強化だとも言われる。また、今年に入ってからの日本の株価堅調の背景には、こうした評価が影響しているとの見方もある。だとすれば、安倍政権としては、ここで「日本的雇用を変える」という大きな目標を成長戦略の柱に掲げて、もう一度ビッグ・プッシュ政策を試みてはどうだろうか(注15)。

注釈

(注1) : 日本の場合、貧困が特に目立つのはシングルマザーである。幼い子どもを抱えた母親が「残業、転勤、何でもあり」の日本型正社員として働くのは不可能なため、低賃金のパートで働くことが多いからだ。近年、子どもの貧困が急増しているのも、シングルマザーの増加によるところが大きい(阿部彩『子どもの貧困』、岩波新書、2008年を参照)。

(注2) : 結婚持続期間15~19年の女性が産んだ子どもの数を完結出生児数と言うが、この数字は70年代前半から2.2前後で安定していた。確かに、ごく最近は2005年に2.09、10年に1.96とややはっきりした低下が見られている。ただし、これは夫婦が希望する子どもの数が減ったというより、晩婚化が進んだことによる生理的な出生力の低下の反映と見られている。
以下、結婚と出生率などを巡る議論については、山田昌弘『少子社会日本』(岩波新書、2007年)を参照。

(注3) : この関連でやや気になるのは、最近の民間アンケート調査などでは女性の間での専業主婦志向の強まりが指摘されていることである。シロガネーゼなどという表現が典型だろうが、総合職などで長時間労働を強いられるより、高所得の男性と結婚して専業主婦となるのが「勝ち組」だという意識が拡がっているのではなかろうか。

(注4) : ちなみに、これは正社員のみへのアンケートではないが、昨年の内閣府『結婚と家族形成に関する意識調査』によると、未婚かつ恋人のいない20代、30代の男女に「交際への不安」について聞くと、圧倒的多数(55.5%)の答えは「そもそも出会いの場所がない」ということであった。

(注5) : こうして工場労働者もオフィス労働者も、大企業従業員も中小企業従業員も、押し並べてサラリーマンと呼ばれた「普遍的職業」は消滅した。それにしても、1985年というバブル以前の時点で、「問題は、私がかつて『普遍的職業』(=サラリーマン、引用者注)と呼んだものが消滅する、あるいは消滅しつつある可能性である。・・・特技のないものには場がなくなりつつあり、技能を有しない水準のサービス業しか用意されない可能性がある」と書いた精神科医・中井久夫の慧眼(けいがん)は瞠目(どうもく)に値する(中井久夫「現代中年論」、『「つながり」の精神病理』、ちくま文庫、2011年所収)。

(注6) : 具体的には、残業の抑制だけでなく、新規採用の停止、配転・出向・転籍、非正規労働者の雇止め、休業、減給、希望退職の募集などが求められる。このうち、特に新規採用の停止や、非正規雇用の雇止めなどが、正社員の既得権を守るために、若者や弱者が犠牲になるということで批判されてきた。

(注7) : ただし、整理解雇が難しいのは、労働組合などが裁判に訴える力を持つ大企業のみである。一方、中小企業では恣意的な解雇が行われても、労働者は泣き寝入りの場合が多いと言われる。八代尚宏教授が主張するように(八代尚宏『日本的雇用慣行を打ち破れ』、日本経済新聞出版社、2015年)、中小企業の解雇濫用に対し解雇の金銭保証ルールを導入するのは一案であろう。

(注8) : ホワイトカラー労働者(主に事務に従事する人々を指す職種・労働層)に対して労働時間規定の適用を免除することをいう。日本では、2014年5月28日の安倍首相を議長とする産業競争力会議で提案され、労働規制を所管する厚生労働省も高所得の専門職を対象に導入の方針を固め、新成長戦略の目玉として6月に閣議決定された。

(注9) : 長期雇用であれば、企業は労働者にOJTを施すインセンティブを持つ。日本の「現場の力」を支えるのはOJTとカイゼンの力だ。小池和男教授らが強調したのも、基本的に現場の熟練だったはずである。逆に、無限定正社員のホワイトカラーへのOJTは「カイシャの掟」を学ばせるだけである。「変質」後の日本的雇用では、OJTを施す対象が誤っている。

(注10) : ちなみに、日本では成果主義がうまく行かなかったと言われるが、そもそも職務が決まっていなければ成果を測りようがないのだから、当然の結果である。

(注11) : この点についてより詳しくは、青木昌彦・奥野正寛・村松幹二「企業の雇用システムと戦略的補完性」(前掲青木・奥野『経済システムの比較制度分析』所収)を参照。

(注12) : この政策は、オーソドックスな経済学者などからは評判が悪いが、筆者は昨年2月の本欄「春闘に望む」でビッグ・プッシュとしての賃上げ政策を支持した。こうした政府からの後押しもあって、昨春の(定昇部分を除いた)ベースアップは+0.4%、今年は+0.6%だった。上昇幅は僅かで、円安や消費増税に伴う物価上昇幅には及ばなかったが、来年の上昇幅はさらに拡大することが期待される。デフレ脱却の観点からは、着実な前進と評価できよう。

(注13) : 企業ではなく、女性の選択の方に着目すれば、社会的な活躍を目指す女性の数が少なく、結果的に成功事例が少ないと、仕事で苦労するより専業主婦で「勝ち組」になりたいと思う女性が増えるだろう。一方、多くの女性が社会的活躍を目指し、成功事例が増えれば、ますます社会的成功への欲求が高まるということはあるかもしれない。

(注14) : 金融機関による投資先企業の経営監視などコーポレート・ガバナンス(企業統治)への取り組みが不十分であったことが、リーマン・ショックによる金融危機を深刻化させたとの反省に立ち、英国で2010年に金融機関を中心とした機関投資家のあるべき姿を規定したガイダンス(解釈指針)。日本でも金融庁のもとで有識者検討会による「日本版スチュワードシップ・コード」が提案され、多くの機関投資家が受入れを表明した。

(注15) : もちろん、ビッグ・プッシュだけでなく、法規制の面からの対応も併用すべきである。その場合の鍵は、同一労働・同一賃金のenforcementを強化することだろう。職能給というフィクションの最大の弱点は、「潜在的な転勤の可能性」などだけでは正社員とパートの賃金格差を合理的に説明できない点にある。

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早川 英男(はやかわ ひでお)
経済研究所エグゼクティブ・フェロー
1954年愛知県生まれ。1977年東京大学経済学部卒、日本銀行入行。1983~1985年米国プリンストン大学大学院(経済学専攻)留学(MA取得)。調査統計局長、名古屋支店長などを経て2009年日本銀行理事。日本銀行在職期間の大部分をリサーチ部門で過ごした後、2013年4月より現職。
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