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米国・シリコンバレーからのビジネス創出 ~米国で先行するInternet of Thingsビジネスを例に~

2015年5月28日(木曜日)

富士通総研は米国西海岸のシリコンバレーにあるFujitsu Laboratories of America (以下、FLA)を活動拠点とし、米国ビジネスの動向調査を行っています。今回は、日本でも注目を浴びている、Internet of Things(以下、IoT)を例に、米国・シリコンバレーがビジネス創出の場として、どのように活用されているかを紹介します。

1. 様々な利害関係者が集まる場

多くのIT企業・スタートアップとベンチャーキャピタルがシリコンバレーに集まっていることは日本でもよく知られています。近年は、これら企業のエンジニア、投資家に加えて、事業会社が研究開発の拠点を設けるようになってきました。例えば、米国の産業IoT先進企業の1つであるGE(General Electric)は、シリコンバレーの対岸にあるSan Ramonにソフトウエアの研究開発センターを開設しています。また、自動運転で注目を集めるGoogleだけでなく、GMやトヨタなども、IoTの関連分野であるConnected Car等の研究所をシリコンバレーに設置しています。この他、スタンフォード大学に代表される各種学術分野の機関・シンクタンクもあり、シリコンバレーはIT企業・ベンチャーキャピタルだけでなく、様々な利害関係者が一堂に会す場であると言えます。

IoTビジネスは、エコシステム(注1)の形成が重要であると言われるように、これまでの技術に比べ、ビジネスの影響範囲が広く、多くの利害関係者を巻き込んで合意形成を行いながら、ビジネスモデルを構築する必要があります。IoTを使ったビジネスを議論する上でシリコンバレーが適している理由の1つは、同じような関心事を持った様々な利害関係者が対面で議論できるという点です。

2. 様々な業界の有識者・顧客と一緒に作るオープン・イノベーション

多くのソリューションプロバイダーだけでなく事業会社がシリコンバレーに拠点を設ける理由には、最新技術の研究開発のほか、ビジネス創出のために、自社だけでなく社外のリソース・知見を活用できることがあります。「オープン・イノベーション」という言葉が提唱されて久しいですが、様々な業界の有識者・顧客が米国だけでなく世界中から集まって来ているシリコンバレーは、特に新しいソリューションの開発・立ち上げに非常に適した場所だと言えます。それぞれ異なる国(マーケット)の事情やニーズに基づいて技術・ソリューションのユースケース、ビジネスモデルを議論することによって、最初からグローバル市場を視野に入れたソリューション、ビジネスモデルを検討できるためです。

3. 技術/製品の実験場としてのシリコンバレー

シリコンバレーは、議論だけでなく、実際に製品・技術を市場の中で実験的に展開している場所でもあり、様々なソリューションやテクノロジーが街中で試されています。

例えば、近年、小売業では、オンライン・オフラインの様々な顧客チャネルを連続的につなげるオムニチャネルが注目されてきました。一方で、Amazon、Google(米国では、Google Expressという宅配サービスを提供等)といった実店舗を持たない小売業者に対し、プレーヤーとしては圧倒的多数の、実店舗を持つ小売業者がどのように差別化を図っていくかが課題となっていました。この流れの中で、オムニチャネルでも実店舗における顧客体験(In-store Experience)に注目した取り組みが具体化してきており、先頃ニューヨークで開催されたNRF retail big show 2015(National Retail Federationが主催する米国小売業界の年次カンファレンス・展示会)では、IoTという観点で、小売店舗向けのデジタルミラーが出展されていました(【写真1】)。

【写真1】NRF retail big show 2015 eBay ブース(筆者撮影)
【写真1】:NRF retail big show 2015 eBay ブース(筆者撮影)

このデジタルミラーを使って、米国の大手百貨店Nordstromは、本社のあるシアトルとシリコンバレーにあるサンノゼのValley Fair店の2店舗で実証実験を行っています。(注2)(【写真2】)

【写真2】Nordstrom サンノゼ Valley Fair店(筆者撮影)
【写真2】:Nordstrom サンノゼ Valley Fair店(筆者撮影)

4. シリコンバレーを起点とし、Global Winnerとなるためのビジネスモデル創出へ

現在のシリコンバレーは、新たにビジネスを創出する場としての側面が大きくなってきていることがうかがえます。特に、世界中からエンジニアだけでなく、様々なマーケットニーズを持った事業者が集まることで、世界の縮図とも言える環境が構築されているのが大きな特徴です。シリコンバレーでビジネスを開発することが、すなわち、世界で勝ち残るGlobal Winnerとしてのビジネスモデルになると考えられています。

注釈

(注1): エコシステム : ここでは、生態系という意味ではなく、経済的な依存関係や協調関係、強者を頂点とする新たな成長分野でのピラミッド型の産業構造といった新規の産業体系を構成しつつある発展途上分野での企業間の連携関係全体を指す。

(注2): Top 500 U.S. E-Retailers - Nordstrom tests web-connected digital mirrors in store dressing rooms - Internet Retailer

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【調査・研究】


石井 宏明

石井宏明(いしい ひろあき)
Fujitsu Laboratories of America, Business Analyst
2006年 富士通株式会社入社。
2007年 株式会社富士通総研へ出向。財務報告分野の業務・ITコンサルティングに従事。
2014年 Fujitsu Laboratories of America(米国・カリフォルニア州)にて、米国のビジネス動向調査に従事。