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親密なマーケティングガバナンスとICTガバナンス

2014年12月17日(水曜日)

1. CMOとCIOの苦悩

企業のグローバル化・多事業化が進むにつれて、企業の顔とも言えるWebサイトをどの程度の塩梅で統制すべきか、という課題に直面します。昨今ではCMO(Chief Marketing Officer)と呼ばれる役職を設置し、CMOが企業のグローバルブランド方針をどのレベルで定め、発信し、定着するのかといった検討を進めるようになってきました。しかし、商品事業部起点のグローバルなブランド訴求方針と、企業ブランド起点のグローバル統合感の演出との間でバランス良いブランド訴求・事業推進するのはなかなか困難です。なぜなら、バランスという課題を事業部門と共通部門という構図で捉えると、多くの方が悩まれているCIO(Chief Information Officer)のICTガバナンスの課題である、事業先行型のグローバル展開を共通統制部門の観点でいかにリードして行くかという課題と共通する観点であるからです。

2. グローバルなマーケティングガバナンスとは

例えば化粧品のようなコンシューマ商品では、商品そのもののブランド価値を構築することを商品事業部が追求し、いわゆる商品ブランドサイトを個別に立ち上げるケースがあります。この場合には商品事業部門は企業視点でブランディングするという発想を持たないため、結果的に企業内に複数のブランドサイト運営が個別に必要となります。一方、企業としてのグローバルブランド統一は全体のデザインテイストを統合することやそれを支えるICT運用の集約から開始し、コーポレート起点の検討が必要となります。特に、M&Aを重ねて成長してきた企業にとっては大きな経営課題です。

多くの企業では商品ブランドを強化することと企業ブランドを強化することが別々に進められてきましたが、CMOはその両者をバランス良く統制すること、つまり市場の多様性と企業内の多様性とのマッチングを主導することを求められています。

【図1】CMOに求められる機能:市場の多様性と企業内の多様性とのマッチング【図1】CMOに求められる機能:市場の多様性と企業内の多様性とのマッチング

このバランスを取った統制という課題解決の先駆者として、ICTのグローバル統制を進めるCIOが課題に直面してきました。つまり、事業部門主導でICTを活用することと、共通基盤としてのICTとを融合させてきた過程で生じる課題と同じ構造だということです。

ネットの普及を背景としたWebによる訴求戦略はICTの展開戦略よりも新しい戦略課題であり、だからこそICTの活用と一体となって考えるべきです。例えば、マーケティングガバナンスを支えるICTとして、企業が外部発信する膨大なコンテンツを維持管理するコンテンツマネジメントシステムのグローバル導入に伴い、システムの運用管理プロセスとコンテンツ運用管理プロセスとの擦り合せがより重要な観点となってきています。

3. ICTガバナンスとの融合が鍵

富士通総研はICTガバナンスの成熟度を事業展開形態と関連させて考えて来ました。グローバル拠点展開のステージに従って、統制できていない状態から、集中化、分散化といった状態を定義することで、目指す状態と施策を明確にしてきました。マーケティングガバナンスも同様なアプローチで、ブランドの地域毎の現状と目指したい状態とを考えると、何を統合して行きたいのかが明確になってきます。なかなか明快な方針が立ちにくいと感じられる際には、下のような分類も1つの考え方として見ていただくと良いと考えます。

【図2】マーケティングガバナンスの方向性【図2】マーケティングガバナンスの方向性

マーケティング分野におけるICTの活用必然性はますます高まっています。今回ブランド観点で述べてきた領域では、商品やIRコンテンツ管理、Webテンプレート適用管理や多言語翻訳管理、モバイルデバイス管理などの実装とブランディング業務との融合が企業差別化を加速します。さらに、プロモーション観点ではオムニチャネル、O2O戦略、ソーシャルデータ分析活用、パーソナライズといった様々な考え方を実行するためのICTは日々進化を遂げています。こういった新たな施策を評価するためには、小さくトライアルを行い、成功しそうな施策をICTと同期してグローバル展開に持ち込むためのガバナンスが必要です。したがって、マーケティングガバナンスはICTの仕組みとセットでしか効果を発揮しないことを鑑みると、場合によってはICTガバナンスを活用してマーケティングのガバナンスの状態を定めて行くことも有効ではないでしょうか。

4. ICTはコモディティではない

今まで、情報システム部門はいかにして事業現場業務を理解し、現場業務と一体化するかということをもくろんできました。現場にとって求められる仕組みを提供するためには必要な取り組みです。しかし、同様な立ち位置で経営を担うCMOやCxOとの協調がCIOの重要なミッションとなっていることは明白で、ますますICTガバナンスがグローバル企業の経営ガバナンスの中核になっています。企業成長のエンジンと言えるマーケティング領域においても、決してICTはコモディティではなく、世界中で日々新たなアイデアを創造し、実践するための必要不可欠な要素であり、差別化を支えるドライバーであると考えます。

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細井エグゼクティブコンサルタント顔写真

細井 和宏(ほそい かずひろ)
株式会社富士通総研 執行役員 エグゼクティブコンサルタント
富士通株式会社入社後、エネルギーSE、英国駐在、製造業SEとして開発・プロマネに携わる。2006年から株式会社富士通総研でビジネスコンサルティングに従事。製造業を中心とした経営戦略立案、業務プロセス革新、グローバルERP戦略策定などを経て、現在はワークスタイル変革とグローバルWeb統合戦略を軸にしたテーマを深耕している。
McGill Univ. Master of Management、(旧)特種情報処理技術者