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ハッカソン最前線 ~僕らのイノベーションメソッド~

2014年9月12日(金曜日)

最近、新たなイノベーションの手段としてハッカソンと呼ばれるイベントへの注目が集まっています。ハッカソンはエンジニアが集まり、短期間でアプリケーションなどを集中的に開発するイベントです。企業の期待は高く、高額賞金を出すイベントも出ています。一方で参加側の期待も高く、イベント告知後すぐに定員が埋まるなど非常に注目度が高まっています。

本稿では、2014年4月NASA主催のハッカソンISAC(International Space Apps Challenge)の現場での体験と見えてきたハッカソンの課題、今後の期待について述べます。

1. ハッカソン参加レポート

開催にあたり150名超の参加者が東大駒場リサーチキャンパスに集まりました。まずはチームビルディングも兼ねて、チームごとに開発するアプリケーションのテーマ決めを行います。ISACも含め多くのハッカソンでは、アイデアソンと呼ばれるアイデア出しフェーズを経て、各チームが開発テーマを決めます。主催者が企業の場合、課題解決型の方針が設定される場合が多く、例えばNHKハッカソンでは「若い世代にテレビニュースを楽しんでもらう方法を開拓する」という方針が掲げられました。

ISACにて、私のチームは「衛星画像を使った食糧問題解決のための地球規模での農地最適化」というアイデアのもと、プログラマーやデザイナー、ディレクターなど多様なスキルを持つメンバーが集まりました。他チームのテーマの中にはスペースデブリやインフルエンザといったキーワードがあり、社会的問題の解決が開発モチベーションとなっていることが窺えました。17チームが編成され、開発に移ります。

【開発風景 (photo by Akiko Yanagawa, ISAC Tokyo Bureau, CC BY)】 【開発風景 (photo by Akiko Yanagawa, ISAC Tokyo Bureau, CC BY)】

開発の素材として、NASAやJAXAの宇宙関連データやAPIはもちろん、3Dプリンターなどのハードウェア、企業の開発中の商品まで多様な素材が提供され、自由に組み込むことができます。私のチームでも、アプリケーションと連動して照明パターンが変化するPhilips社のHueも追加で用いることとしました。

開発にあたって、データハンドリング(データ調査と収集、加工、結合)、データ分析、アプリケーション開発、デザインの検討、Hueの調整、プレゼンテーション資料の作成、作品の英語での登録、タスク管理など、多様な能力と役割が求められますが、メンバーが個々の強みを発揮し、土日を通して作業することで完成に結びつきました。

【要件の検討・Hueのハック(photo by Akiko Yanagawa, ISAC Tokyo Bureau, CC BY)】 【要件の検討・Hueのハック(photo by Akiko Yanagawa, ISAC Tokyo Bureau, CC BY)】

ハッカソンの締め括りとして、アプリケーションの実演も含めて、審査員にプレゼンテーションします。私たちのチームは社会問題解決への可能性を評価され、3位に入賞することができました。

【プレゼンテーション(photo by Akiko Yanagawa, ISAC Tokyo Bureau, CC BY)】 【プレゼンテーション(photo by Akiko Yanagawa, ISAC Tokyo Bureau, CC BY)】

2. 開催側・参加側のメリット

開催側はハッカソンの成果にイノベーション、例えば全く新しいコンセプト商品のプロトタイプなどを期待しています。実際に今回の作品も、ハッカソン後にIT企業からビジネス展開に向けた話を持ちかけられ、イノベーション手段としての可能性を感じました。

また、参加側にとっても技術の習得や人脈の開拓、情報の収集などメリットがあります。ハッカソンへの期待は人それぞれですが、個人的には、各々が問題意識を持つテーマに対して、多様なスキルを持つメンバーが集い、データ・デバイス等の素材が与えられることで、課題解決に向けたアイデアをプロトタイプまで昇華できる点が魅力であると感じました。

3. ハッカソンをイノベーションにつなげるために

ハッカソンをイノベーションに繋げていく上での問題の1つとして、開発の継続性が挙げられます。土日で開発が終わり、メンバーが解散してしまうケースがほとんどです。時間がない、メンバーがいない、といった理由で良いアイデアだがお蔵入りになってしまう作品も多いのではないかと感じます。

そのため、ハッカソンのアウトプットをよりイノベーションに繋げやすくするために、継続的に多様な知見を持ったメンバーが作品をブラッシュアップできる環境を整えることが課題の1つであると考えます。

4. Enjoy Hackathon!

ハッカソンの成果をよりイノベーションに繋げやすくするために、ハッカソンの強みである短期集中的な開発に加えて、じっくりと時間をかけた調査やプロダクトの洗練、外部からのアドバイス、支援者とのマッチング、など様々なアプローチを融合させる試みがなされています。例えば、オープンデータ活用の推進組織であるLinked Open Data Challengeでは、作品アイデアに対して、メンバーが定期的に集まれる場を作り、新たなメンバー・知恵を入れながら継続的にブラッシュアップできる環境の提供を試行しています。

こうしたイベントはまだまだ試行錯誤の段階にあり、多様なメンバーのスキルや問題意識、キャラクターが活かせると感じます。社会変革やビジネス変革を目指す方は是非、ハッカソンを通じてイノベーションを体験してみましょう。

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石村 コンサルタント 写真

石村 彰大(いしむら あきひろ)
株式会社富士通総研 ビジネスアナリティクス事業部 コンサルタント
【略歴】2010年 東京大学農学部卒; 2012年 東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了、株式会社富士通総研入社; 2014年 Linked Open Data Challenge Japan 実行委員
ビッグデータビジネスの企画、データ分析のコンサルティングおよび、農林水産分野でのICT利活用に関するコンサルティング業務に従事。