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  4. 【フォーカス】デジタルマーケティングの息吹 ~データエクスチェンジコンソーシアムの狙い~

【フォーカス】

デジタルマーケティングの息吹
~データエクスチェンジコンソーシアムの狙い~

2014年7月25日(金曜日)

【フォーカス】シリーズでは、旬のテーマに取り組むコンサルタントを対談形式で紹介します。

近年、ビッグデータに注目が集まり、統計の専門家やデータサイエンティス トに対するニーズも高まっているが、ビッグデータの活用領域として今後、デジタルマーケティングがよりクローズアップされるだろうと言われている。
本対談では、「デジタルマーケティングの息吹」をテーマに、「データエクスチェンジコンソーシアム」を立ち上げたデータセクション株式会社社長の澤博史氏、ソリッドインテリジェンス株式会社代表取締役の林健人氏と、富士通総研流通・生活サービス事業部の安藤マネジングコンサルタント、今村事業部長に語っていただいた。

1. データセクションのポリシーは「データを情報に、情報を知識に、知識を知恵に」

【今村】
今回は「デジタルマーケティングの息吹」といったテーマで皆さんの知見やノウハウを交えてディスカッションをお願いしたいと思います。まず、御社の取り組みについてお聞かせ下さい。

【澤】
当社は創業当初より「データを情報に、情報を知識に、知識を知恵に」というポリシーでビジネスをしてきました。「データサイエンティスト」という言葉がなかった十数年前からソーシャルデータを集めています。ここ数年、世の中でビッグデータが騒がれるようになり、データサイエンティストの集団を作らなければいけないということで、昨年4月にソリッドインテリジェンスを分社化しました。漸く社会に価値を提供でき始めた段階かと思います。

【今村】
提供されているサービスは具体的にはどのようなものがありますか?

【澤】
Twitter、Blog、Facebook、WEBの掲示板やニュースといったソーシャルメディアの1日あたり8千万件程度のデータを集めて分析するツール、ツールのコンサルティング・リサーチ、お客様のデータとソーシャルのビッグデータを組み合わせて分析エンジンを一緒に作って行くシステム開発を提供しています。そのために、ソーシャルメディアのデータ、データサイエンティスト、プロトタイピング的にシステム開発を早く安くできる部隊を持っています。ビッグデータは仮説検証を繰り返さないとうまくいかないのですが、PDCAを回してスパイラル的に成長していける価値をご提供できることが強みです。実はこの仮説検証サイクルをスピーディに回せることがビッグデータ活用の成功の秘訣だと思っています。

【今村】
セブン&アイグループの鈴木会長も同じことを仰っています。データから仮設・検証のサイクルを回すこと、業務に反映していくことが重要だと。

【林】
弊社で実施してきた過去のプロジェクトも、システムによる解析に加えて、人が分析する流れを繰り返すことで「システム→人→システム→人」とミルフィーユ状に運用してきました。また、システム解析されたデータを人がしっかりと施策に落とし込まないと、お客様にはラスト1マイルが届きません。「人」がデータを解釈・咀嚼して分析することが重要であるのに昔から変わりはないです。弊社のお客様の目的も2009年まではキャンペーンの効果測定や炎上の検知といったリスク分析が中心でしたが、ビッグデータ時代を迎えて、マーケティングをテーマとした案件が増えてきました。我々が考える「データサイエンティスト」とは、システムで大容量データを集計して統計学の専門知識でデータをマイニングしたりする「束ねる」プロ、それを視覚化して物語化することでアイデアにしたり戦略に落とし込んだりする「伝える」プロ、さらにお客様が現場でその戦略や知識を「実行する」プロである、と考えるようになりました。さらに実効性を考えると、これらのプロが三位一体のチームになることが重要です。システムだけでなく人の集団もないと現場とシステムはギャップが激しく現実には落とし込まれていきません。

2. 仮説検証の事例のご紹介

【今村】
仮説を検証していった事例をご紹介いただけますか?

【澤】
博報堂の研究開発局様と共同開発した「Topic Finder」の事例をご紹介します。「Topic Finder」は、我々のデータと、博報堂様が持っているテレビの視聴率やアンケートのデータを組み合わせ、博報堂様の業務にマッチした分析エンジンを作っていったものです。まずは純正の弊社の分析エンジンを社員の方にご利用いただき、博報堂様の業務に合うにはどのようなデータを組み合わせ、どのようなユーザビリティにするかをコンサルティングし、その結果に基づいてプロトタイプを開発し、仮に運用してPDCAを回しました。今では「Topic Finder」は博報堂様の全社員に使われています。さらに、博報堂様のクライアント様に外販しようと、「Topic Finder for Advertiser」という共同サービスも出しています。我々はASPでまずツールを使ってもらい、そこで出た要望を半月~2、3か月で早く安く開発することで、PDCAを早く回せるようにしています。

【写真1】】データセクション(株) 澤 代表取締役社長
【写真1】データセクション(株) 澤 代表取締役社長

【林】
良品計画様の「おかしの家」の例をご紹介します。「おかしの家」は、元々はホームメイド商品で手作りが面倒という難点があり、売れ行きが思わしくありませんでした。当初は「手作りの楽しさ」をPRしていたのですが、「おかしの国に行ってみたい」「世界観を体験してみたい」といった声が圧倒的に多く、訴求ポイントが違うことがわかりました。そこで、有楽町の旗艦店に世界観が体験できる「おかしの街」という街を作ってアピールしたのです。ネットの消費者の声を取り入れ、リアルの店舗に落とし込んで商品購入に誘導した結果、来場者数が15万人、有楽町店の売上も昨年比300%でした。また、ソーシャルでバズが起こるように仕組んで、お客様が購入後に作ったものをアップして拡散していくことにも成功し、大きな成果を得られました。アイデアだけでなく実際の施策として売上向上のためにどうPRするか、業務にどう落とし込んでいくかがいかに重要か分かります。

【今村】
話題や流行を創って拡散していく仕掛けを作れる企業はあまりないですし、効果に驚きました。例えば、「ブランデーに漬ける」という流行もサントリー様が仕掛けています。生活する立場では、「こういうことをやると、こんな美味しいものができる」「こういう世界観を味わえる」といった気づきを提供できることは目先の売上や利益だけでなく、企業の価値・ブランド力の向上に繋がると思います。

3. データエクスチェンジコンソーシアムの狙い

【今村】
データエクスチェンジコンソーシアムを作ったきっかけはどういうことですか?

【澤】
ビッグデータが騒がれて3年経ってもあまり進んでいないのは、炎上などによって企業が手を出しにくい環境になっているからだと思います。日本はそんな状況ですが、海外では実証実験が進んでいます。ビッグデータ活用によってモノが売れる時代が来ると、ビッグデータの活用方法を理解できなければ、モノが売れなくなってしまいます。ビッグデータを基に仮説検証を繰り返して、ニーズの捉え方の良い方法を掴んでいかないと、海外で勝負できなくなってしまうと思うのです。ビッグデータを活用できる環境を整えないと、日本は生き残る道がないのではという志を持ってコンソーシアムを立ち上げたのです。

【図1】データエクスチェンジコンソーシアム設立の意図
【図1】データエクスチェンジコンソーシアム設立の意図

【林】
上の左の図のようにソリッドインテリジェンスは数多くのお客様と個別取り組み(上段の図「ビッグデータ活用の現状」①個別取組 部分)をやっていました。しかし、失敗例の共有が少ないのです。次のアクションをするのに、失敗例も失敗ではなくて、そこから新しいものが見えて業務への活かし方が見えてくる筈ですが、アドホックでトライアルをしようとすると、企業対企業の個別取り組みでは体力がもたない。お客様側も稟議を上げてプロジェクトが開始されると、説明責任や実績を上げなければならず、担当者が引くに引けない状態になりがちです。そうなると腰が引けるし、それでは継続的な取り組みになり難くなってしまいます。ですので、もう少し失敗例も企業を超えて共有できる「場」を作ることができればと考えました((上段の図「ビッグデータ活用の現状」②活用検証 部分)。個人的には日本を強くしたいと思いで取り組んでいます。

【写真2】ソリッドインテリジェンス(株) 林 代表取締役
【写真2】ソリッドインテリジェンス(株) 林 代表取締役

【澤】
グローバルで活躍するには、どういう事業をやればいいか、という視点で考えました。日本がグローバルで勝てる分野はコンテンツとソーシャルメディアだと思っています。5年前ですが、ソーシャルメディアの情報量は日本がアメリカに次いで2位でした。加えて、アメリカの言語処理と違って日本語は単語が区切れてないので分析が難しいのです。情報量が2位で分析が難しいという意味で、言語処理の分野で世界一先行していると思っています。その技術を使って世の中で次に何が出てくるかという予測ができれば、社会のインフラが作れるのではないかと考えたわけです。

【林】
だからこそ、日本の強みで日本を豊かにするために海外に挑みたい、という想いが強いです。欧米では実証実験が進んでいますが、日本ではそうした事例が少なく、今のままでは時間がもったいないと思っています。こうした取り組みは様々な会社で課題として意識されていて、現場で業務をやっている人の方が危機感を持っています。であれば、もう少し集まれる場を用意した方がいいというのがきっかけです。

【今村】
安藤さんも立ち上げプロセスを共有してきたと思いますが、そこで感じていることがあればお聞かせ下さい。

【安藤】
私は元々CRM領域で購買履歴の分析をやっていました。お客様の課題は売上・利益拡大のために具体的な施策をどうしたらいいかということが多いのですが、購買データを見ても何を仕掛けたらいいかわりません。ソーシャルメディアにはヒントが沢山あるので、そこから拾って来れるのが可能性かと思います。コンソーシアムは自社だけでは入手しにくいデータが集まるので、そこでいろいろなデータが集まれば、もっと気づきがあると期待しています。

【写真3】安藤 マネジングコンサルタント
【写真3】安藤 マネジングコンサルタント

【林】
私もDo-Cubeを使わせてもらっていますが、24万人の行動ログが取れるのが重要だと思います。24万人のデータを瞬時に取ってきて、何故そう思ったのか、何をしたいのかがいつでもわかるというのは良い視点だと思います。我々のコンサルでも、具体的な施策に落としていく時に良いヒントになると感じています。

4. データエクスチェンジコンソーシアムの反響と今後の展望

【今村】
コンソーシアムは共通善という下敷きの上で皆の知恵を集めようというコンセプトで始めました。反響はいかがですか?

【写真4】今村 事業部長
【写真4】今村 事業部長

【澤】
経産省さんもそうですが、こういうのを求めていたと仰るお客様が多かったです。こういうコンソーシアムでは何を提供してくれるのかという問い合わせが多いものですが、情報を最初から創り出して一緒にやっていかなければいけないと皆さんわかっていて意識が高かったのに驚きました。先日、第1回全体会議があり、参加型ワークショップをやって、自発的に意見を出してもらう環境を整えましたが、小を捨て大に就く志でやってもらえているのを感じました。

【図2】コンソーシアム展開のロードマップ
【図2】コンソーシアム展開のロードマップ

【今村】
第1回ワークショップでは18コマ×6人×13で約1400のアイデアが出ていますね。

【澤】
私の班はTBS様やDAC様などメディア関係が多くて、メディアをどう変えていこうかという志が一致していたので、全員初対面でしたが、メール交換して、自己紹介して、終わってからも続いています。隣接可能性の良い例ですね。

【林】
驚いたのは、現場の人たちの参加意識が高いことです。マーケティング部でデータ分析している人から、分科会に参加した場合にデータをつき合わせてやりたいので、どれくらい工数がかかるかと現実的な質問をいただきました。また、別領域でコンソーシアムを運営したことがある方からは、「やってみないとわからないですね。可能性の模索も含めて精一杯やりましょう。いずれ参加企業が増えてデータ連携可能性も広がるかもしれないし、現段階で可能性がないと自分達が判断するのは間違っていると思います」と仰っていただきました。むしろ隣接可能性を信じてやることが大事だという意識の高さに驚いたのです。

【今村】
そういう意味で期待値が高まっているし、それに対してどう応えて行くかは我々も知恵を絞っていかねばならないところですね。

【澤】
今回できなかったら日本ではできないという意気込みでやっていきたいと思っています。

【今村】
本日は、お忙しい中、お時間を頂戴し、ありがとうございました。

【写真5】対談者
【写真5】対談者

対談者(写真左から)

澤 博史 データセクション(株) 代表取締役社長

今村 健 (株)富士通総研 流通・生活サービス事業部 事業部長

安藤 美紀 (株)富士通総研 流通・生活サービス事業部 マネジングコンサルタント

林 健人 ソリッドインテリジェンス(株) 代表取締役

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