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【フォーカス】お客様とともにイノベーションを生み出す“デザイン思考”の実践

2014年5月20日(火曜日)

【フォーカス】シリーズでは、旬のテーマに取り組むコンサルタントを対談形式で紹介します。

近年、イノベーションを起こすためのアプローチとして「デザイン思考」が脚光を浴びている。デザイン思考とは、「人々、社会のニーズに焦点を置き、解決すべき問いを設定し、プロトタイプを作りながらアイデアを進化させていく試行錯誤型のアプローチ」を指すという。デザイン思考を取り入れて新規ビジネス・サービス開発プロジェクトに取り組む富士通総研(以下:FRI)長堀執行役員、佐々木チーフシニアコンサルタント、黒木シニアコンサルタント、富士通デザインの坂口チーフデザイナーに、プロジェクト現場での体験を語ってもらった。

【写真1】対談風景全体

1. ファシリテーションの価値は、多様性から思いもよらないアイデアを生み出すこと

【長堀】
近年、新規ビジネスやサービス開発の場面で「デザイン思考」が企業活動の中で取り入れられています。単なるファシリテーションは評価されないという声もありますが、私は「デザイン思考」の中では非常に重要だと思っています。ファシリテーションの価値について、どう考えていますか?

【佐々木】
皆の総和で納得できるものを作るだけでなく、元々誰も考えていなかったものをグループのダイナミズムで生み出すことが価値だと思います。「デザイン思考」の1つの要素である「多様性」をどう取り込むかがポイントです。

【黒木】
私はプロジェクトメンバーの皆さんが新しいことにチャレンジしたいと思うエネルギーや主体性をより強くすることが大事だと考えています。予め論点は整理しておきますが、対話を通じて見えてくる文脈を読むことを意識し、それぞれの思いが交わる部分や共通の拠り所になりそうなところを表出化させることが価値だと思います。

【坂口】
私もお客様の文脈を捉えることは大事だと思います。その文脈をデザインに落とし込むための創造的な場の組み立てを設計し、コミュニケーションをドライブしていくことが価値だと思います。

【長堀】
心理学的要素も含まれるのかもしれませんね。人の考えをうまく引き出し、最高のかたちで表出化させる、総合プロデューサー的な役割だとも思っています。

2. 新しい関係性を生み出す“場”が重要

【長堀】
メンバーの経験や問題意識を共有し、新たな文脈を創り出すための“場”が大事だと言われています。例えば定例的な会議を喫茶店でやるだけでもいつもと異なる話になります。人、方法論、空間など場を構成する要素は様々だと思いますが、どんなことを意識しながら場を作っていますか。

【坂口】
私が以前、設立に携わったフューチャーセンター(注1)も一つの場だと思うのですが、そこではファシリテーション、メソドロジー、プレイス、ホスピタリティの4つの要素を兼ね備えることを大事にしていました。特にホスピタリティは重要で、コーヒータイムや飲み会まで含めてトータルに演出することがポイントだと考えています。

【黒木】
新たな視点を持ち込むための刺激の1つとして毎回違う場所で打ち合わせをやりたいと仰るお客様もいます。方法論はもちろん大事ですが、会議の名称を変えるといった小さな工夫も含めて、少し突飛なことでも言いやすい雰囲気を作ることを日頃から意識しています。

【写真2】坂口
【坂口チーフデザイナー】

【佐々木】
先日、研究の一環としてプロトタイピングワークを行ったのですが、身体全体を動かすことを大事にしました。実際に体験することで、今まで見えていなかった新しい関係性を発見することができると思っています。

【長堀】
以前、コンペで敗退した理由をお客様に尋ねたところ、他社の方が「楽しかった」という感想でした。お客様に「やってみたい!」と思っていただくためには、「楽しい」や「遊び心」を場に取り入れなくてはならないと思います。そのような場だからこそ、創造性が発揮されやすくなるのではないでしょうか。FRIも創造性を刺激し、新しいチャレンジができる場を作る構想があります。小さくてもよいので、実現したいですね。

【坂口】
そうですね。FRIには、実践知研究センター(注2)もありますし、知識創造のための場がもっとあってもよいと思います。

3. 従来のコンサルティングアプローチとは相容れない?

【坂口】
これまでのコンサルタントのアプローチと「デザイン思考」は相反するところもあるのではないですか?

【長堀】
相反するとは思いません。分析的にロジックツリーを作るのとあまり違わないと思っています。コンサルタントはいろいろなことを打破する相談役なので、課題解決型でもデザイン思考型でもいいと思います。

【写真3】長堀
【長堀執行役員】

【黒木】
お客様が何か新しいチャレンジをする際に、デザイン思考的なアプローチと課題解決型で用いるようなロジカルなアプローチの両方が必要だと考えています。プロジェクトの目的や場面によって、使い分けています。

【佐々木】
一流のコンサルタントはデザイン思考的アプローチをできているし、一流のデザイナーはロジカルでもあります。行き着くところは同じかもしれません。あえて、違いは何かと言えば、「デザイン思考」ではアウトプットを形にすることに拘ります。お客様にはっきり悪いと言われなくても、反応があまりよくないと感じたら作り直して、また反応を見ての繰り返しですね。

【写真4】佐々木
【佐々木チーフシニアコンサルタント】

【長堀】
はじめから完璧性を求めたら、いつまでも市場に出せません。失敗確率が高いのを良しとして取り組むことも必要ですね。失敗を成功への過程と捉えられるかどうかも大きい。

4. イノベーションへのチャレンジを身近なものにしていくためには?

【長堀】
イノベーションへのチャレンジを一過性のイベントでなく、普通のことにしていきたいですね。まずは入口としては、「楽しければいいじゃない」というのを増やしていきたいですね。楽しいから良いというのは軽佻浮薄と言われますが、人は往々にして楽しそうとか、面白そうとか欲求を満たすものに惹かれます。もっと身近にしていくためのコツがあれば教えてください。

【佐々木】
机上で検討するのではなく、現場に足を運ぶことがコツの1つだと思っています。現場観察では素朴な疑問を大事にしています。坂口さんは現場観察の際に目を輝かせて、お客様の解説を掘り下げて聞いていきます。現場のことをわかった気になって、よくある課題を並べるのは危険です。

【坂口】
現場観察でネタを探しているんです。必要な要件抽出ではなく、自分の中のストーリーやインサイト、説得のためのネタです。それがないと、良いデザインやアイデアの飛躍も含めてピリっとくるものが生まれません。

【写真5】黒木
【黒木シニアコンサルタント】

【黒木】
人はみな何かしらのクリエイティビティを持っていると思うのですが、それを刺激するための視点の持ち方や表現の仕方がわからなければ、やはり難しい。当たり前かもしれませんが、それぞれの基本的なセオリーを学ぶことと試しにやってみることが大事だと思っています。

【佐々木】
そうですね、日常的に使う基礎スキルとして自然にできないといけないと感じています。そもそもイノベーションは再現性がなく、デザインそのものです。私たちコンサルタントもお客様の組織やそこにいる人と一緒に無から生み出すといった原点に立ち戻ることも重要だと感じています。

【長堀】
形も含めてあり方そのものまで再構成し直すという意味で、“de-sign”ですね。私たちがお客様に提供するコンサルティングの本質に近いと思います。

【写真6】対談者

対談者(写真右から)

長堀泉 (株)富士通総研 執行役員 金融・地域事業部 事業部長

坂口和敏 富士通デザイン(株)ソフトウェア&サービスソリューションデザイン事業部 チーフデザイナー(実践知研究センター研究員 第3期生)

黒木昭博 (株)富士通総研 産業・エネルギー事業部 シニアコンサルタント
製造業の企画業務を中心としたコンサルティングに従事。
現在はICT中期計画策定、ICTを用いた新規サービス企画を中心に活動。

佐々木哲也 (株)富士通総研 産業・エネルギー事業部 チーフシニアコンサルタント
2003年(株)富士通総研入社。製造業の企画業務を中心としたコンサルティングに従事。
現在は新規事業・サービス企画分野において、ワークショッププログラムやプロトタイピングを用いながらICTを活用したアプローチを実践中。
関連論文:お客様とともに未来を創るコンサルティングアプローチ
関連サイト:あしたのコミュニティーラボ      

注釈

(注1) : フューチャーセンター : 企業、政府、自治体などの組織が中長期的な課題の解決を目指し、様々な関係者を幅広く集め、対話を通じて新たなアイデアや問題の解決手段を見つけ出し、相互協力の下で実践するために設けられる施設。
富士通エフサスの「みなとみらいInnovation & Future Center」

(注2) : 実践知研究センター:共通善にもとづいた事業活動を実現するために必要なビジネスモデルやリーダーシップのあり方について実践的な研究活動を行う、富士通総研経済研究所理事長の野中郁次郎をセンター長とする組織。2011年4月1日設立。

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