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  4. グローバルでの経営情報の有効活用とその整備

グローバルでの経営情報の有効活用とその整備

2013年8月29日(木曜日)

1. 情報は、ヒト・モノ・カネに並ぶ、企業にとっての重要な資産

ヒト、モノ、カネに加え、“情報(*1)” が第4の経営資産と言われるようになって久しい。

企業が情報に対してどう取り組むか、企業内の個人レベルおよび全社レベルで情報をどう活用するかが、競争優位性の確立に最も大きな影響を与えており、情報の活用目的に合わせて、正確(情報の確からしさ)で有益(情報の新しさ)な情報を適正なタイミングで収集、活用し、スピーディーな意思決定を重ね、最終的に経営的な成果に結びつけていく必要がある。

ビジネススピードが早まり、競争環境がグローバル化するなど、経営としての意思決定が複雑になっている現在、“経営情報管理”の巧拙が業績や市場地位を決定するといっても過言ではない。

2. グローバル全体のコントロールについて難易度が増加している

日本国内で得た高い技術力・ブランド力を活かした製品を生産コストの安い海外で生産し、国内・海外市場へ製品を販売してきたが、為替の影響、経済連携協定、グローバル企業との競争激化の影響もあり、特に製造業においては、「事業再編」と「経営の現地化」を推進している状況である。

  1. 事業再編:販売チャネルや現地ブランド・商品等の獲得に向けた、グローバル企業とのアライアンス、資本提携、買収・合併による事業再編
  2. 経営の現地化:製品開発拠点や生産拠点の海外移転による生産活動の地産地消(現地調達、生産、販売)、EMS(Electronics Manufacturing Service)の活用、製造委託、を通したグローバル生産体制の見直し

「事業再編」と「経営の現地化」の戦略に対し、業務の実行に際しては、各拠点や事業毎に任せきりにしてしまっているのが現状である。このため、各拠点や事業毎の現場オペレーションや情報システムが分散し、バラバラの状況になってしまいがちであり、グループ全体のコントロールについて難易度が増している。(管理が個別に展開、発展し、拠点での情報管理の個別最適化が進みがちである。【図1】)

【図1】各拠点や事業毎の現場オペレーションや情報システムが分散 【図1】各拠点や事業毎の現場オペレーションや情報システムが分散

3. 経営情報活用に向けた問題

各拠点での個別最適に伴い、各現地法人の情報をスピーディーに把握し、市場環境変化に対応する「製品別、市場別等のグローバルでの収益管理」に向け、必要な情報(機種別、商品・サービス別、市場別収益情報)を収集し、分析し、経営情報として活用する必要性を感じているが、業務面およびシステム面において問題を抱えているのが現状である。以下に業務上の苦労とシステム面の問題を示す。

 【業務上の苦労】

  • 情報入手の手間(時間がかかる):異なるアプリケーションが散在することにより情報の収集に時間を要している。そもそも必要な情報にアクセスできないので、情報の管理者から必要な情報を入手する必要がある。
  • 情報粒度や精度のレベルの違い:収集情報が信用できないので、重複、不完全、不正確なデータの一貫性確保に時間を要している。そもそも、情報の意味が分からない。
  • 分析パターンが多様:分析部門、役職により、データ収集、分析結果の見せ方が多様な上、要求されることが頻繁に変わる。

 【システム面からみた問題】

  • システム間のコード体系の相違:分析用のコード変換テーブルを設定するも、コードが増えるたびに変換テーブルの設定が必要となり、運用負荷が増える。
  • データの不整合:POの数量・価格の変更が販社、製造会社のシステム間で整合性をもって行われないと、そのままでは分析データとして使えない。

4. 経営情報基盤構築に向けて

グローバルでの経営情報の有効活用に向けた考え方には、【図2】に示すように4つあり、グローバルにおける事業の展開状況、業務・情報連携の程度により選択する必要がある。

【図2】グローバルでの経営情報の有効活用に向けた考え方 【図2】グローバルでの経営情報の有効活用に向けた考え方

5. データを活用可能な状態で維持・運用するための業務・ツール機能

経営情報活用に向け、上記(1)、(2)の考え方については、全社統一的なシステム構築や情報のガバナンスにより解決することができるが、(3)「疎結合」に関しては、業務およびシステム機能において、以下のように継続して改善していく必要がある(【図3】)。継続的な改善に向けては、元データの定義、変更、所在管理、運用体制、ルール整備など、データマネジメントの仕組み作りも忘れてはならない。

【図3】「疎結合」における業務およびシステム機能の継続改善 【図3】「疎結合」における業務およびシステム機能の継続改善

6. おわりに

これまで「グローバルでの経営情報の有効活用とその整備」に対する課題と対応の考え方について述べてきたが、経営情報の有効活用をご検討されているお客様の一助になれば幸いである。

注釈

(*1)情報 : 企業活動によって生み出される情報や企業活動を支えるマスターデータ等を情報と捉えているが、昨今は、企業活動とは関係のない、個人によって生み出される大量の情報を含めて活用する動きもある。後者はBigDataの活用と捉え、本編では言及しない。

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小川 敬造(おがわ けいぞう)
株式会社富士通総研 産業事業部 マネジングコンサルタント
カリフォルニア州立大学 経営学修士
製造業のお客様を中心に、新規事業や情報戦略策定、グローバルITガバナンス等のコンサルティング活動を多く手掛ける。