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ダイバーシティ経営の中で高まる高度外国人材の活用ニーズ(後編)

~高度外国人材活用のポイント~

2013年8月28日(水曜日)

高度外国人材の活用について、前編では日本企業において高度外国人材の活用がなぜ必要なのか、高度外国人材を活用するメリットとその課題について述べました。今回は、日本企業が高度外国人材を活用して、より高い効果を上げるためにはどのような点に留意すべきか、企業と高度外国人材の考え方のギャップを踏まえながら、高度外国人材を活用していく際のポイントについて述べます。

1. 高度外国人材と企業との考え方のギャップ

日本企業で働くことに、夢と希望を持って入社してきた高度外国人材の多くは、実際に日本企業で働く中で、自分自身と企業との間に、考え方のキャップが存在することを強く感じるケースがあります。両者のギャップの代表的な例としては、【図1】のようなものが挙げられますが、こうしたギャップを解決しないまま放置すると、高度外国人材の不安や不満要因となり、その結果、定着せずに短期間で辞めてしまう原因にもなってしまいます。

【図1】企業と高度外国人材のキャップ例 【図1】企業と高度外国人材のキャップ例

2. 活用にみられるギャップ

日本の企業は、国籍に関係なく優秀な人材を採用するという視点から、高度外国人材を日本人と同様に採用し、配置や職務経験においても日本人と同様に扱っている場合が多く見られます。外国人に対して平等な扱いであると、好感を持たれる一方で、時間の経過とともに、日本人とは異なる、外国人としての能力や特長をもっと活かしたい、また、活かして欲しいという思いが、高度外国人材には強くなってきます。具体的には、「語学力」、「海外市場へのアプローチ」、「グローバルビジネスでのリーダーシップの発揮」、「海外のビジネス習慣に関する知見」など、外国人ならではの能力を発揮したいと思ってくる場合が多いのです。

日本人の社員と同等の扱いをしようとする企業と、外国人ならではの能力を発揮したい高度外国人材との間のミスマッチが、現実的な問題として顕在化するのです。換言すると、多様な人材の価値を活かす意識がなければ、高度外国人材を採用して、活用する意味がないとも言えるでしょう。

3. 評価に見られるギャップ

多くの日本企業は、成果主義に基づく人事制度を導入していますが、長期雇用を前提とする評価制度の中での成果主義であるため、高度外国人材は、「仕事の結果についての評価をはっきり伝えてくれない」、「どのようにすれば昇進できるのか、明確な基準が分からない」、「海外では優秀な人であれば、若い年齢でも管理職になれるが、日本では実質的には年功序列になっている」など、評価基準の不透明性や年功序列的な昇進に対する不満と戸惑いを感じています。この状況を生じさせる背景には、高度外国人材を雇用している企業が、高度外国人材に対して、自社の制度を明確に伝えきれていないことがあります。高度外国人材に対しては、1つ1つの仕事に対して明確な評価を行い、それを論理的に説明し、また、処遇していく必要があるということです。

4. キャリア形成に見られるギャップ

長期雇用を前提とした日本人社員と異なり、高度外国人材は、仕事への意識が高い分、プロフェッショナル志向、キャリア志向が強いと言えます。高度外国人材の多くは、「長期雇用を前提に、長時間かけて人材を育成し、10年かけて管理職になるという感覚がなじめない」、「3年後、5年後のキャリアパスを明確に示して欲しい」という意見を持っている人が少なくないということです。

高度外国人材のモチベーションを高め、能力を発揮してもらうためには、キャリアプラン(職業上の目標、将来の計画)を共有し、キャリアパス(昇進・昇格のモデル、道筋)を明確に示し、キャリア形成への見通しがつけられるようにすることが大切です。

5. 働き方に見られるギャップ

仕事と生活のバランスについての考え方にも相違があります。日本人にとっては、残業や休日出勤は、その善し悪しはともかく、さほど珍しいことではありません。しかし、海外では、一般の労働者には残業する習慣はなく、仕事を終えると、家族との時間、自分の時間を大切にするのがライフスタイルとなっています。もちろん、日本企業で働く高度外国人材が、日本的な働き方について必ずしも否定しているわけではなく、残業すること対しても理解はしています。しかしながら、高度外国人材を雇用する企業は、こうした相違点が存在しているという点にも目を向けるべきです。ライフスタイルに対する価値観の違いを踏まえて、労働環境を整備する必要があるだけではなく、これを機会に日本人の働き方自体を見直すことも大切な取り組みになるからです。

6. 高度外国人材を活用するための要諦

これまで述べてきたように、企業における高度外国人材の活用は、中堅・中小企業を含め、日本企業のグローバル化や日本人社員の内なる国際化に、大きく貢献することになります。また、少子高齢化やグローバル化が進展する中で、女性やシニア人材の活用だけでなく、高度外国人材を活用することにより、中堅・中小企業における人材不足を解決し、組織を活性化する施策となることは間違いないものと考えます。

以下に、高度外国人材を活用するにあたっての「3つの要諦」を示します。

  1. ホンネで話し合うことで、相互利益の最大化を図る
    高度外国人材を雇うコツは、事前にしっかりと話し合うことです。何を期待しているのか、給料や労働時間などの条件、キャリア形成の考え方など、会社として伝えるべきことをしっかりと伝えることが必要です。同時に、高度外国人材の希望を聞いておくことも重要です。何年くらい働きたいと思っているのか、将来は、どのような仕事に就きたいのかなど、本人が何を求めて働こうとしているのか、ホンネを聞くことが重要になるということです。
    文化の違う社会で育ってきた高度外国人材に対して、日本人の若者以上に丁寧に対応することが、相互利益の最大化につながる第一歩となるのです。
  2. 高度外国人材の活用にあたっては、既存の制度をうまく適用する
    高度外国人材を雇うために、自社の制度を一から見直す必要はありません。高度外国人材に、現在の制度をしっかり説明し、理解を求めればよいのです。しかし、日本人とは少し異なった志向を持っているために、部分的な調整は必要となります。
    また、ある制度について、同じ雇用形態なのに高度外国人材には適用するが、日本人には適用しないとすると、社員間の公正感に悪影響を与えることになりますので、外国人に対してだけではなく、日本人社員への説明も丁寧に行う必要があります。
  3. 社内言語を英語化するよりも、相互の異文化理解が必要となる
    高度外国人材を雇うには社内の公用語を必ずしも英語にする必要はありません。高度外国人材が、日本語が分かるのなら、わざわざ英語を使う必要もないからです。
    しかしながら、日本語能力が十分でない高度外国人材がいる場合には、配慮が必要になるのも事実です。この場合の配慮とは、社内の文書をすべて英語表記にすることを意味するものではありませんが、状況に応じてバイリンガル化を検討することも必要となるということです。英語はコミュニケーションの手段であって目的ではないのです。社員同士がわかり合えるという目的に合致した手段を選択すればよく、毎日机を並べて仕事をしていれば、自然に共有情報が増えてくるのも事実です。難しく考えるのではなく、気楽に考えて取り組むことによって、良い効果が期待できるようになるということでもあります。 

おわりに

日本の社会は、少子高齢化やグローバル化の波を避けては通れない状況にあります。こうした中、高度外国人材の活用を通して、日本人社員の意識を変え、日本企業の組織を活性化することが期待されています。本稿が、高度外国人材の活用への、最初の一歩を踏み出す参考になれば幸いです。

富士通総研では、平成25年度も厚生労働省の委託を受け、高度外国人材活用実践マニュアル(*)の更新版の作成、企業の高度外国人材の活用をご支援する出前講座の開催を予定しています。高度外国人材の活用を考えていらっしゃる企業様は、是非お問い合わせ下さい。

注釈

(*)「高度外国人材活用のための実践マニュアル」 : 厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/oshirase/110224a.htmlを参照。
平成25年度には、より内容を拡充した実践マニュアルの更改版が作成される予定です。

シリーズ

ダイバーシティ経営の中で高まる高度外国人材の活用ニーズ(前編)
~高度外国人材活用のメリットと課題~

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セミナー「高度外国人材は企業競争力を高める (主催:厚生労働省)」

論文「グローバル化の中で期待される高度外国人材の活用」

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組織・人材に関わるダイバーシティー、グローバル化、技術・技能伝承などの課題を踏まえ、戦略策定から、制度設計、人材・組織開発をお客様とともに実施していきます。


狩野史子

狩野 史子(かのう ふみこ)
(株)富士通総研 環境事業部マネジングコンサルタント
東京銀行、東京三菱銀行(現 三菱東京UFJ銀行)を経て、1998年(株)富士通総研入社。
専門分野は、人材育成関連分野、国内外の産業調査・企業調査、MOT(技術経営)関連の各種調査、コンサルティング等。